【インタビュー】VALSHE、「人間味のある10年」を振り返って

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■全て集約されている

──では、ヴィジュアルについても教えてください。過去にも白い衣装を着ることはありましたが、ここまでドレッシーな雰囲気ではなかったですよね。

VALSHE:これまでのVALSHEが全て集約されていることを踏まえて、衣装については今回、まわりの人にも相談したんです。「黒? 赤? 金?」って。ディスコグラフィーを振り返っても非常に多色だなとあらためて思う中、「何色にでも染まれるのって白だよね」っていう話になったんですけど、アニバーサリーというテーマを受けて「VALSHEにウエディングドレスを着せてみたら? VALSHEならカッコよく着るよ」という意見が出たこともあり、今回の衣装は腰から下がウエディングドレス風のデザインで、上はカッチリしたこれまでのVALSHEらしいナポレオンジャケットを着ています。

──「Myself -DECADE-」を新たに録音した理由についても教えてください。

VALSHE:「Myself」はデビューミニアルバムのリード曲なんですが、ライブだったり、いろいろな場面で歌ってきた楽曲でもあり、自分のスタートという意味でも大事にしてきた思い入れの強い楽曲なんです。10年を経た進化や変化が顕著に感じられることをしたくて、「いちばん最初の作品を今のVALSHEで歌いたい」と思ったのがシンプルな動機です。



──Didc2には「Myself」のオリジナル・ヴァージョンが収録されていますが、新たに録音した「Myself -DECADE-」のVALSHEさんのボーカルには強い意志が感じられるし、サウンドもライブ感があり、迫力があります。

VALSHE:ははは。熱気がありますね。当時の「Myself」はデジタルサウンド主軸で構築しているんですが、ライブで生のバンドと一緒にツアーをしたりする中、いちばんわかりやすく進化してきた楽曲でもあるんですね。ベストアルバム制作当初は原曲リスペクトでデジタルなアプローチをしようと思っていたんですが、今の自分が提示したいものを考えた時にバンドならではのサウンド、アレンジにしようって。急遽メンバーを招集してレコーディングしたヴァージョンです。



──今とは表現の仕方が違うとは言え、“信じる事で恐れずいられる”とか“自分だけの道を作れ”という歌詞は一貫してVALSHEさんがメッセージしたことだと思いました。

VALSHE:そうですね。「今の自分ならこういう考え方をするな」という楽曲もありますけど、「全然変わってないな」と思える歌詞のほうが多いです。「Myself」はデビュー前に書いた歌詞ですが、「今もこう考えるな」という要素がたくさん詰まっているんです。オリジナルとサウンドの違いが明確にわかるという意味でも、歌詞的にも再録するなら、この曲しかないなと思いました。

──デビュー前に動画で発表したカバー曲を「右肩の蝶 -2020-」として収録した想いというのは?

VALSHE:「右肩の蝶」はweb上の動画をカバーさせていただいた曲で、もちろん大好きな曲だから歌ったんですが、自分の中ではその当時それ以上の認識はなかったんです。ただ、ファンの方がVALSHEが歌ったこの曲をすごく大事にしてくれているのはずいぶん前から知っていて、大切にしてくれたものを自分も大切にしたいと思う心情の変化があって。きっと今、歌ったら喜んでくれるんだろうなってね。

──そうだったんですね。

VALSHE:とは言え、その時は「右肩の蝶」をカバーする意味や意義がまだ自分の中で明確になっていなくて、ベストに“統一”というタイトルをつけた時にファンの想いを汲み取りたいなって。そこから楽曲を作ったのりぴーさんとコンタクトをとって新たに生まれ変わらせることができるなら、ぜひやりたいという話になっていったんです。リアレンジはされていますが、もともとのサウンド感や声で遊んでいる部分はリスペクトの意味で引き継いで、メロディの一部や声の要素のアプローチを一新しているので「懐かしいけれど、全然違うな」って思っていただける曲になっていると思います。

▲『UNIFY -10th Anniversary BEST-』通常盤

──Disc2の最後の曲「フィラメント」はのりぴーさんが作曲・編曲、dorikoさんが作詞を手がけています。10周年のVALSHEさんを祝福している曲のように響いてきて感動しました。

VALSHE:こっちの新曲は11年目に対して提示できるものにしたかったんですが、この位置は自分では書きたくなかったんですね。関わりを持つことができたこともあり、のりぴーさんにお願いしたんですが、のりぴーさんのVALSHEのイメージで自由に書いてほしいとお伝えしたんです。歌詞は「UNIFY」と親和性がある内容になっていて、VALSHEの唯一の証人といってもいいdorikoさんにお願いしました。

──10年間の活動にずっと関わってきた方でもあるからですか?

VALSHE:そうです。チームVALSHEの一員の側面もあり、プライベートを含めていろいろな出来事を第三者の立ち位置で見てきてくれた人なので、「証人になって。あなたが見てきたVALSHEを書いて」って頼んだんです。「UNIFY」の中に“Certify”というキーワードが出てくることもあり、今回のベストには証人が必要だなと思ったんです。

──“向けられた笑みも涙さえも 全て力に変えてみせよう”という歌詞がさまざまなことを乗り越えてきた今のVALSHEさんを思わせるし、“メメントモリを口にしながら 100年先も抗い続けよう”という箇所もVALSHEさんが貫いている姿勢だと感じました。

VALSHE:自分自身も初めて歌詞を読んだ時にすごく感動しました。「doriko、こんなふうに見てくれてたの?」って。「VALSHEは戦士のようですね」って言われました。

──同感です(笑)。ソロだからか孤高の戦士みたいなイメージがあります。

VALSHE:「フィラメント」というタイトルも光栄だなって。dorikoに「VALSHEはLEDじゃないんです」って言われたんですけど、“フィラメント”って白熱電球の芯という意味なんですね。自走で光ってるみたいな(笑)。スイッチひとつでずっと同じ光量を保つLEDではなく、熱量を注げば注ぐだけ光るのがVALSHEだって言ってくれて。嬉しかったですね。

──未来との架け橋になるのが「フィラメント」のポジションなんですね。

VALSHE:はい。なのでDisc2の最後に入れさせていただきました。

──最後に12月18日にTSUTAYA-O-EASTで開催されるコンセプトライブ<VALSHE CONCEPT LIVE 2020 「VVV -VALSHE VS VALSHE->について予告をお願いします。

VALSHE:現在、まだ内容については検討中なんですが、10周年の記念ライブについてはまだ開催の希望を持っているので据え置いているんです。コンセプトライブに関してはこういうご時世なので可能なことと不可能なことが演者にとってもお客さんにとってもある中、「こんな楽しいことができるんだよ」っていうことを提案できるステージにしたいと思っています。今でなければ“VALSHE VS VALSHE”というタイトルも思いつかなかったでしょうし、現時点での構想が実現したらかなり面白いことになると思うので、ぜひ楽しみにしていてください。

取材・文◎山本弘子

Best Album『UNIFY -10th Anniversary BEST-』

2020年11月25日(水)発売
■初回限定盤(2CD+1DVD)
¥5,280(税込) ¥4,800(税抜)
JBCZ-9108~9109
※10周年メモリアルフォトブックレット
[特典DVD]
・「UNIFY」Music Video
・Making of 「UNIFY」

■通常盤(2CD)
¥3,300(税込) ¥3,000(税抜)
JBCZ-9110~9111
※白皙描き下ろしイラストジャケット

[CD Disc1]
1.UNIFY
2.Myself-DECADE-
3.ACE of WING
4.present.
5.紅蓮
6.「SYM-BOLIC XXX」
7.Are you Ready?
8.追想の理
9.今生、絢爛につき。
10.激情型カフネ
11.ラピスラズリ
12.White Prelude
13.WONDERFUL CURVE
14.MONTAGE
15.RIOT
16.ジツロク・クモノイト

[CD Disc2]
1.君への嘘
2.TRIP×TRICK
3.TRANSFORM
4.marverous road
5.RAGE IDENTITY
6.Butterfly Core
7.BLESSING CARD
8.Tigerish Eyez
9.Fragment
10.AFFLICT
11.PLAY THE JOKER
12.jester
13.REVOLT
14.Myself
15.右肩の蝶-2020-
16.フィラメント

<VALSHE CONCEPT LIVE 2020 「VVV -VALSHE VS VALSHE-」>

2020年12月18日(金)東京・TSUTAYA O-EAST
■第1部
OPEN 13:30 START 14:30
■第2部
OPEN 18:00 START 19:00

全席指定
¥6,600(税込)
※ドリンク代別途必要
※未就学児入場不可
※ローソンチケット電子チケットのみ
※販売枚数制限:2枚

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