ヤマハ、オルガン音源&ドローバー搭載のステージキーボードにピアノ鍵盤の88鍵/73鍵モデル「YC88」「YC73」

ポスト

ヤマハから、オルガン専用音源とドローバーを搭載したステージキーボードとして注目を集めた「YC61」に続き、88鍵モデルと73鍵モデルがYCシリーズに追加。新たにハンマーアクション鍵盤を備え、音色を強化した「YC88」「YC73」が1月23日に発売される。新製品発表会にはゲストとして音楽プロデューサーや鍵盤奏者として活躍するYANCYさんが登場し新モデルの演奏を披露、その魅力を語った。


「YC88」「YC73」は、ライブステージに必要な音色バリエーション、フィジカルインターフェイスを備えたステージキーボードの新モデル。昨年4月発売の「YC61」は、ステージキーボードに必要なピアノ、オルガン、シンセサイザーといった基本音色を高次元に再現するため、リアルな響きのAWM音源、トーンホイール方式のヴィンテージオルガンを忠実に再現したVCMオルガン音源、そしてFM音源という各分野に優れる3種類の音源を贅沢に搭載。シームレスで直感的な操作を可能とする操作性、用意な運搬、設置を可能にする可搬性を備える。


▲YCシリーズは、アナログ機器の飽和した音や非連続の特性までも忠実に再現するVCM(Virtual Circuitry Modeling)技術をもとに開発したVCMオルガン音源、リアルな響きのAWM2音源、80年代を象徴するサウンドのFM音源の3種の音源を搭載。

▲YC61はVCMオルガン音源に加え、VCMロータリースピーカー、セミウェイテッドウォータフォール鍵盤を搭載。オルガンに強いステージキーボードとして高い評価を得た。

特に物理ドローバーを備えたVCMオルガン音源とVCMロータリースピーカー、セミウェイテッドウォーターフォール鍵盤を備え、オルガンの伝統的な演奏表現に対応できるキーボードとして好評を得た。今回登場の新モデルはこれらサウンドや機能はそのままに、本格的なハンマーアクション鍵盤を搭載することで、さらに広いニーズに対応する製品となっている。


▲「YC88」

「YC88」はグランドピアノさながらのリアルなタッチを持つナチュラルウッドグレードハンマー3鍵盤(略称はNW-GH3鍵盤)を搭載。象牙調の白鍵には天然木の無垢材を使用、黒鍵は黒檀調仕上げとした。アコースティックピアノ同様の木製鍵盤は自然なタッチと重量感を生み出し、低音域の鍵盤タッチは重く、高音域では軽くなるハンマーアクション機構がグランドピアノのタッチを再現。また、鍵盤タッチを検知するセンサーにはヤマハ独自のトリプルセンサーを採用し、グランドピアノ同様の音切れのない高速な同音打鍵も可能としている。


▲「YC73」

一方の「YC73」に搭載されるのは、伝統的なエレクトリックピアノの演奏感を持つバランスドハンマースタンダード鍵盤(BHS鍵盤)。エレクトリックピアノのスタンダードであるE-to-Eレイアウトを採用。コンパクトでありながらピアノ曲にも対応できる広い音域と均一でクセのないハンマーアクションが、エレクトリックピアノはもちろん、アコースティックピアノからオルガン、シンセサウンドまでさまざまなサウンドと演奏表現に対応できる心地よい演奏感を実現している。多彩なジャンルや奏法への対応力という点では、YCシリーズ中最も万能で汎用性の高い鍵盤と言える。


▲YCシリーズはそれぞれ鍵盤の異なる3モデルをラインナップ。演奏スタイルや鍵盤タッチへの嗜好に合わせて最適なモデルが選択できるようになった。

2機種の発売にあわせ、ファームウェアもアップデート。YC OS v1.1にはアコースティックピアノ音色としてNashville C3とLive CF3、エレクトリックピアノ音色として73 Rd Studio、74 Rd Stageの計4ボイスを追加収録。これらの新ボイスをフィーチャーした8種類のライブセットサウンドも追加収録される。なお、YCシリーズは今後もアップデートごとに高品質なステージキーボード音色を追加していく予定となっている。


▲音色設定を切り替えてもLEDインジケーターで現在の設定をすぐに確認できるオルガンセクションのドローバー(左)とキーボードセクション(右)。ツマミやボタンは各専用セクションに配置。One-to-Oneスタイルのユーザーインターフェイスで、直感的な操作が行える。

現場のニーズに応える本物のサウンドを揃えたYCシリーズは、シームレスで直感的なユーザーインターフェイスも魅力。1つのコントローラーに1つの機能を割り当てる「One-to-One」スタイルを基本とし、ボイス、エフェクトなどの各専用セクションにノブやボタンを配置し、どのようなシチュエーションでも直感的に素早いコントロールが可能。プレイヤーがわずらわしいパラメーター操作に時間を取られることなく、演奏に集中できる。また、過酷なライブユースにも耐える可搬性と堅牢性、USBインターフェイス機能、マスターキーボード機能も備え、ライブはもちろん、配信や音楽制作などさまざまなシーンに対応。生演奏による表現にこだわるキーボーディストのニーズに高い次元で応える。


▲専用ケース「SC-YC88」「SC-YC73」は本体と同じ1月23日発売。価格は30,000円(税別)。

「YC88」「YC73」のオプションとして、専用ソフトケースが本体と同時発売。キャスターとグリップが付いていて容易に牽引することが可能だ。

1月14日に開催された新製品発表会には、音楽プロデューサー、作・編曲家、ピアニスト、鍵盤奏者として活躍するYANCYさんが登場。「YC88」「YC73」を演奏し、その多彩なサウンドとステージキーボードとして魅力を紹介した。


▲YANCYさんはシンガーソングライターとしての活動と並行してさまざまなアーティストのレコーディングやライブサポートに参加。アレンジャーやサウンドプロデューサーとしてもレコーディング作品やCM作品を手掛ける。大学在学中にピアニストを目指し渡米。西海岸、ニューオリンズでの活動の後、帰国後はロックやポップスの音楽シーンに進出。幅広い音楽的バックボーンを持ち、ルーツミュージックファンを魅了するブルース、ニューオリンズスタイルのピアノ演奏から、八代亜紀のミニアルバムの全曲プロデュースまで、シーンを自在にまたいで活動している。

まずは昨年から使用しているという「YC61」の使用感について。「こんなオルガンが軽くなってしまって、びっくりするくらい音色も鍵盤の弾き心地もよくて。ただ、ピアノやエレピサウンドもすばらしいクオリティのものが入っているのに、ウォータフォール鍵盤だとちょっと全部を出しきれないかなっていうところがあったんですけど。今回新たにいろんな鍵盤で弾くことができる。最も願っていたこと」と新モデルに抱いていた期待を語った。


「YC88」で最高峰のグランドピアノCFXの音色を弾いた感想として、「低音の響きとか高音の繊細な感じとかすばらしい音が収録されてるんですけど、それをこの鍵盤で弾いたらすごくいい。同じ音色はYC61にもあったんですけど、やっぱり鍵盤によっても表現力がすごい違う」と驚きを隠せない様子。「小さな音から大きな音まで非常に繊細に表現できて、一世代前のピアノに比べて、ほんとにアコースティックピアノを弾いてるような気持ちになるくらいの完成度の高さ」とコメント。新音色のNashiville C3については「CFXほど低音は出ないですけど、ホンキートンクみたいな感じも少しありながら、わりとおもしろい音色」と軽快な演奏を披露し、「けっこう好きですね」と一言。

「YC61」でオルガン音色を使う際、2つの音色をスプリットするには鍵盤が足りず、2段鍵盤設定にしてもう1台の鍵盤をMIDIでつないで使用していたというYANCYさん。88鍵の「YC88」なら1台でこなせるとも。「88鍵を生かせばスプリットで自由に弾いていくことができるじゃないかな。もちろん、音源としてはYC61同様すばらしく完成されたドローバーのオルガンの音源、ドライブとロータリースピーカーのシミュレーターもすばらしい完成度で、本当に弾いてて楽しい楽器です」。ピアノタッチの鍵盤でオルガン音源を弾くことについては、「ウォーターフォール鍵盤の良さはあると思うんですが、意外と(YC88の)この鍵盤で弾いても音源がいいので、弾いてて気持ちはいいですね。確かにウォーターフォールでなければできない表現もあると思うので、そちらはYC61を使った方がいいかと思います」と両者を比較。「ライブで使うのに、ピアノもオルガンも行ったり来たりしながら弾くにはすばらしいセッティング」と「YC88」のメリットを語った。


「本物のFM音源を使ったエレクトリックピアノもすばらしい音色がいっぱい入っています。ちょっと弾くといつまでも弾いていたくなってしまうような感じ。なぜかなとちょっと考えてたんですけども。昔のDX7なんかを引っ張り出してきて、弾き比べもしてみたんですけど、圧倒的にダイナミクスが……、ものすごいダイナミクスが出せますね。小さい音から大きい音まですばらしく表現力がある楽器だなと思って。また、本物のFM音源なので、PCMとかで作った音源とまったく違った、ものすごくみずみずしい音色で、弾いていてほんとに楽しいですね。」

続いて「YC73」について、「バランスハンマー鍵盤はYC88よりも少し軽いタッチで弾けるので、もちろんピアノもいい感じで弾けるんですけど、エレクトリックピアノやクラビがすごく弾きやすい鍵盤ですね」と紹介。こちらもエレクトリックピアノ音色は「ダイナミクスがすごく出せる」「非常に表現力がある音」と高評価。ファンキーなプレイを披露し、「本物のエレクトリックピアノも非常に繊細な音から、大きな音になった時の歪みとかをコントロールする喜びがあるんですけども。この音はほんとにそれが同じように、本物を弾いてる時みたいな楽しさがあります」と笑顔。


新音色となるローズサウンド「Rd Studio」は、「この音がほんとに好きで。僕も73年のローズを持ってるんですけど、まさにこういう音だなあと。特に低音がすごく本物に近い感じがします」と賞賛。「特にこの低音の歪みとかも、強く弾いた時にはこういう音がするなあっていう感じなんですよね」「この音にたとえば……。YCシリーズもCPシリーズもそうなんですけど、すべてのパラメーターに一瞬でアクセスできるように作られているので、これにちょっとエフェクトをかけるとどんどん音が変化するので、そのあたりもちょっと聴いていただけたら」と本体パネルを操作。コーラスを一瞬で設定し終えると、先程とは違ったより透明感のあるサウンドに。さらにフェイザーを加えファンキーなサウンドへ。エフェクトだけでサウンドのバリエーションが広げられることを示し、「エフェクトのクオリティもすごい高いです」とコメント。

異なる音源を同時に、発音数を気にせずに弾くことができることを紹介すべくプレイされたのは、ライブでよく弾いているという、アコースティックピアノにうっすらパッドを混ぜた音色。「ピアノサウンドだけで弾くところにパッドをちょっと混ぜると、新たな響きが出まして。そういう設定も弾きながらどんどん試していくこともできますから、僕はけっこうリハーサルの時にも弾きながらどんどん音を重ねたりとか、スプリットをかけたりとか……。ほんとにありがたいですね。一昔前のキーボードだとやっぱりやってる最中にその作業が間に合わなくて(笑)、結局休憩時間に一生懸命音を作ったりとかするんですけども。一瞬でそこに行き着けるので。あと、弾いてる途中でもっとリバーブを……。たとえば今の音色なら、ピアノを弾きながらパッドの音をもっと後ろに持っていきたいと思ったら、パッドのリバーブを選んで上げさえすれば、完璧にそれもできてしまうんで」「とにかくすべてのアクセスのよさ! が、非常に助かってますね」。


「YC73」でのピアノ音色演奏については「YC88よりも軽いタッチで弾ける」と紹介。「88鍵とはまた違った弾き方をしなければならないところもあるんですが、音色とのマッチングはとても考えられてるなと思います」。

ステージキーボードならではの、複数の音色をミックスした使い方も紹介。「いろんな音をレイヤーして同時に鳴らすこともできますし、スプリットでスプリットポイントを決めて割り振っていくこともすぐにできるので、1台あればすべてできてしまう」と、左手にオルガン、右手にピアノとパッドを同時に鳴らすセッティングでプレイ。シンセサウンドやベースを組み合わせる例も示し、「いろんな組み合わせができますので、使う人の感性でいろんな可能性が広がるんじゃないかなと思います」。


▲最後はオルガンサウンドで「YC61」と「YC73」を2弾鍵盤として演奏。ドローバー操作を交えながら、極上のオルガンサウンドを聴かせた。YCシリーズはどのモデルも2段設定ができるので、MIDI鍵盤をつなげば2段積みでの贅沢な演奏ができるとのこと。

製品情報

◆ステージキーボード YC88
価格:オープン
◆ステージキーボード YC73
価格:オープン
発売日:2021年1月23日

関連画像&映像

◆YAMAHA 画像&映像
この記事をポスト

この記事の関連情報