【レポート】NOCTURNAL BLOODLUST、2年2ヶ月ぶり有観客ライヴで「コロナなんて糞喰らえ」

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NOCTURNAL BLOODLUSTが去る2月23日、東京・Veats Shibuyaにて<THE DAWN OF A NEW AGE>と銘打ちながら、二回の公演(開演時刻はそれぞれ15時半/18時半)を実施した。

◆NOCTURNAL BLOODLUST 画像 / 動画

想定外の紆余曲折を重ね、一時期はバンド自体の存続の危機にも瀕してきた彼らは2年以上にわたり通常のライブ活動から離れていたが、水面下で着々と態勢を整え、2020年10月にはValtz、Yu-taroという2人の新ギタリストを擁する現ラインナップを公式に発表。12月にはミニアルバム『The Wasteland』の発売を経て、新布陣のお披露目となる無観客配信ライブも実施している。そして、いよいよ満を持しての有観客形式でのライブがこの日に実現に至ったというわけだ。会場のVeats Shibuyaは2019年9月開業という新しいライブハウスで、彼らがそのステージに立つのも当然ながら初のこと。“新たな時代の夜明け”という意味合いの公演タイトルが象徴するように、まさしく“初”ずくめのライブとなった。


二回の公演を通じての内容に極端な差異はなく、いずれも『The Wasteland』を軸としながら、そこに収録されていた6曲、そして同作に先駆けて序章的に連続配信リリースされていた「ONLY HUMAN」「Reviver」「Life is Once」という3曲のシングルを軸に据えた演奏プログラムが組まれていた。が、たとえば両公演の幕開けを飾っていたのが1stアルバム『GRIMORE』(2013年)に収録の「Pleasure of Torture」、2ndアルバム『THE OMNIGOD』(2014年)からの選曲となる「Punch me if you can」、そして2015年に会場限定シングルとして発売されていた「銃創」へと続く過去の代表曲の三連打だった事実からも明らかであるように、今回の新局面突入が過去との決別とイコールではないことも示されていた。実際、そうした従来のライブを彩ってきた鉄板曲たちと『The Wasteland』の世界が違和感も温度差もなく溶け合っているさまが印象的だった。

ただ、当然ながらそうした状態が成立しているのは3曲の配信シングルや『The Wasteland』の制作を通じて改めてお互いの共通項や特性を確かめあい、バンドとしていっそう音楽的に焦点の絞られた状態にある5人が、過去の楽曲群を2021年という現在に似つかわしい状態へとアップグレードさせることに成功していたからこそだといえる。実際、個々のテクニカルな演奏と、それが重なり合った際の整合性や音圧といったものについては、かねてから欧米の同時代的バンドと比較しても遜色のないものを持っていた彼らだが、現在のたたずまいは記憶の中にあるそれ以上に説得力に満ちたものになっている。しかもアグレッションやヘヴィネスばかりではなく、このバンドなりの緩急といったものが、的を射た曲順構成により見事に活かされ、その音世界の奥行きや立体感が存分に伝わってくるライブとなっていた。



同時に驚かされるのは5人のスタミナについてだ。当然ながら一日に二回公演を行なうというのはロック・バンドにとって普通のことではないし、フロントマンの尋もMCの中で認めていたが、彼ら自身も当初は無理だと感じていたのだという。実際、彼らのように攻撃的なライブでの完全燃焼を身上とするタイプのバンドの場合、第一部で本当に全力を使い果たしてしまっては第二部を燃料切れの状態で迎えることになるし、逆にそこで第二部に向けて余力を残すことを意識しすぎれば第一部が生半可なものになってしまい兼ねない。しかしこの夜の彼らは、どちらのケースとも違い、どちらのステージでもエネルギーのすべてを放出しているように感じられた。それはもちろん実際の体力や精神力の強さとも無関係ではないはずだが、何よりも念願の有観客ライブが実施できたという喜び、ずっと自分たちの主戦場としてきたライブ・ステージへの帰還を果たすことができたという感慨が、この日の彼らをいっそう強くしていたのではないだろうか。

実際、Veats Shibuyaは本来、スタンディング形式でのライブ開催を前提としている会場ではあるものの、この日はフロアに椅子が並べられ、来場者たちは着席のまま観覧することまでは強いられなかったものの、その場から移動することが叶わない状態にあった。ライブで味わうことを心待ちにしてきた曲を一緒に合唱することはおろか、歓声をあげることすらも禁じられていた。が、マスク着用を義務付けられ、大声をあげられない状態でも、ステージに近付いたりモッシュ・ピットを作ったりすることはできなくても、その空間にはライブならではの極上の熱が渦巻いていた。その場から動くことが叶わなくても頭を振ることはできるし、拍手をすることは可能だ。しかも、前後左右に余裕のある環境でステージに全神経を集中させているからこそ味わえるもの、発見できるものというのもある。当然ながらバンド側もオーディエンスの側も、世の中がパンデミックに見舞われることになる以前と同じ環境でライブの醍醐味を味わいたいはずではあるが、こうした逆境だからこそ発揮される力というのもあるはずなのだ。



第一部の冒頭、尋は「気合入れてけよ! コロナなんて糞喰らえだ。テメエらが溜めてきたもの、全部吐き出せ!」と観衆を煽っていた。そして第一部でも第二部でも、すべての演奏を終えてステージを去る間際の彼は、まさしくすべてを吐き出し終えたかのような様子で、客席に向けて深々と長い礼をしていた。そのステージ上では、次回の公演決定も告知されたが、こうしてライブのある日常を取り戻せつつあること、そして会場を後にしないうちに次の再会の機会が約束されていることの喜びを、同じ場所に居た誰もが感じていたに違いない。次回の公演会場、SHIBUYA PLEASURE PLEASUREも、NOCTURNAL BLOODLUSTにとっては初めての場所であり、しかもあらかじめ座席が設えられている場所だ。が、そうした環境での演奏経験も、今後、本来謳歌できるはずの自由を勝ち取った際に、間違いなく彼ら自身に何かしらのポジティヴな影響をもたらすことになるに違いない。この“夜明け”を経た先にどのような未来が拡がっているのかを楽しみにしていたいところである。

取材・文◉増田勇一
撮影◉nonseptic inc.

■NOCTURNAL BLOODLUST<THE DAWN OF A NEW AGE>2月23日(火・祝)@Veats Shibuya セットリスト

【第1部】
01. Pleasure of Torture
02. Punch me if you can
03. 銃創
04. PROPAGANDA
05. Left behind
06. REM
07. The Wasteland
08. FACELESS
09. ZeTeS
10. Malice against
11. Feel myself alive
12. Life is Once
13. Deep inside
14. Reviver

【第2部】
01. Pleasure of Torture
02. Punch me if you can
03. 銃創
04. ONLY HUMAN
05. REM
06. PROPAGANDA
07. The Wasteland
08. FACELESS
09. ZeTeS
10. Malice against
11. Ignis heart
12. the strength I need
13. Life is Once
14. Reviver
15. VENOM


■有観客ライヴ<NOCTURNAL BLOODLUST 2DAYS ONEMAN LIVE “NEW WORLD ORDER”>

2021年5月25日(火) 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
2021年5月26日(水) 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
※公演詳細・チケット受付詳細は後日発表

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