【インタビュー】藤あや子、ミュージシャンとして新曲、ギター、ハードロックを語る「音楽はいちばん好きな遊び道具」

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SNSの総フォロワー数が34万を突破。猫好きの間でも人気がブレイクしている藤あや子が5月26日、ニューシングル「夢のまにまに」をリリースする。シンガーソングライター:南こうせつと2度目のタッグを組み、昭和の歌謡曲やポップスを代表する作詞家:売野雅勇を迎えた今作は、演歌やJ-POPのボーダーラインを超越したジャパネスクで美しい世界観。藤あや子の彩り豊かで官能的なボーカルが絶品だ。

◆藤あや子 画像 / 動画

最近では、還暦の誕生日にギターを始めたことをTwitterで明かしてファンを驚かせたが、ギターデビューにあたって相談したのはOfficial髭男dismの小笹大輔。10代の頃からロック好きでエアロスミスにハマっていたというエピソードも彼女が固定概念にとらわれない自由な感性を持ったアーティストであることを物語っている。コロナ禍すらも味方につけ、今、藤あや子がバズっている理由とは?

   ◆   ◆   ◆

■「こうせつさん、色っぽすぎますよ」
■と思わず言ってしまいました(笑)

──最新シングル「夢のまにまに」は南こうせつさんとの音楽談義の中から生まれたということですが?

藤:こうせつさんに楽曲提供していただいたのは今作が2作目で、1作目はデビュー30周年記念シングル「たそがれ綺麗 / からたちの小径」(2017年発表)の「たそがれ綺麗」という曲を作っていただいたんですね。



──そもそも、南こうせつさんとの出会いというのは?

藤:TVの音楽番組でご一緒した時に席が隣だったんです。ほかのゲストアーティストの方がノリのいい元気な歌を歌ってらしたのを聴いていたときに、こうせつさんが「あや子さんもこういうタイプの歌を歌ったらどうですか?」って話しかけてくれて。「私、もともとロック好きなので、こういうノリのいい曲、大好きなんですよ」と答えたら「ホントに!?」と驚かれていたので、「こうせつさん、今度、曲を作ってくださいよ」って番組の中で話が成立しちゃったんです。

──そこからお二人の交流が深まったんですか?

藤:そうなんです。ちなみに「からたちの小径」もこうせつさんが作られた曲で、島倉千代子さんが亡くなる3日前にレコーディングなさった遺作なんです。その時に島倉さんが「この曲はいい曲だから、歌い継いでほしい」とおっしゃっていたそうで、こうせつさんが「島倉さんの遺言みたいな曲だから、あや子さん、歌い継いでくれない?」と。私自身、島倉さんにはホントに可愛がっていただいたので「ぜひ」ってお受けしました。そういうご縁があったので、「からたちの小径」は今もステージで歌わせていただいているんです。

▲藤あや子

──そこから約3年の月日が流れて今作「夢のまにまに」で再びコラボすることになったんですね。

藤:今のようにコロナが蔓延する前にこうせつさんから「今度はあや子さんに着物を着た日本女性の美しさを際立たせるような歌を作りたいと思ってるんだ」って連絡をいただいて、「ぜひお願いします」と。

──着物が似合う曲でありながら、演歌の枠にとらわれないような楽曲のイメージがあったんでしょうか?

藤:そうです。海外からいろいろなお客様がいらっしゃるオリンピックイヤーに、日本の美しさ、様式美を発信したいというコンセプトをこうせつさんが持っていらっしゃったんです。

──作詞を手がけた売野雅勇さんはチェッカーズや中森明菜さんをはじめ、昭和の数々の大ヒット曲を手がけてきた方ですね。

藤:演歌ではお会いできないような方に歌詞を書いていただけましたし、アレンジも齋藤ネコさんが担当してくださったんですよ。しかも、この曲にはレジェンドと言われるようなミュージシャンの方々が勢揃いしているんです (島村英二[Dr] / 髙水健司[B] / 吉川忠英[A.G] / 佐々木“コジロー”貴之[E.G] / 藤井珠緒[Per] / グレート栄田嘉彦Strings / 朝川朋之[Harp] / 福原寛[Shinobue])。コロナ禍でみなさん、ツアーを廻れるような状況ではなかったこともあって、奇跡的にタイミングが合ったんです。みなさんの演奏を聴いているだけで心地いい曲なんですよ。

──風景を紡ぐようなサウンドは和楽器がフィーチャリングされていて、風が吹いてくるような繊細さがあります。曲も含めて、日本人の琴線に触れるような。

藤:私自身も今までに聴いたことがないような作品だと思いました。ジャンル分けしたら何になるんだろう?って。それでいて根本に日本情緒があって、さすが、こうせつさんだなって。売野さんの言葉使いも、音色もとても雅で、桜吹雪が舞っているイメージがありましたね。色鮮やかで着物の柄に通じるような印象があって、絵画のような歌だなと思いました。

▲シングルCD「夢のまにまに」

──歌詞は“真夏の蛍火を 身体(からだ)に宿すように”という出だしから官能的ですね。

藤:そう、官能的なんですよ! 歌入れの日にこうせつさんがいらしてくれたので、「歌唱指導を兼ねて歌ってください」ってお願いしたら、ブースの中で歌ってくださったんですけど、その歌がめちゃめちゃ色っぽくて、こうせつさんの歌を参考にしてレコーディングしたんです。“抱いて”っていうフレーズが吐息混じりで、思わず「こうせつさん、色っぽすぎますよ」って(笑)。

──藤あや子さんの声を張らない“抱いて”にも同性ながらドキドキしちゃいましたけど。

藤:あの部分もこうせつさんの歌をマネしたんですよ。シングルにこうせつさんバージョンを加えたいぐらいです(笑)。

──あや子さんが歌われると楽曲に彩り、華やかさ、艶やかさがプラスされるんですよね。

藤:嬉しいです。こうせつさんに伝えておきます(笑)。女性の意見を聞きたいっておっしゃっていたんですよ。

──ミュージックビデオはどんな映像になるんでしょうか?

藤:まだ完成形を見ていないんですけど、全編アニメーションで私は登場しないんです。間奏が華やかなので、「アニメーションで夢の世界を描けたら楽しいよね」って意見が一致したので。

──ジャパネスクな世界観がアニメーションで表現されているんですね。

藤:ええ。私のミュージックビデオをずっと撮ってくださっているのは、フジコ・ヘミングさんのドキュメンタリー映画 (吉川晃司、REBECCA、甲斐バンドのドキュメンタリー番組ほか)等を撮影なさった映画監督の小松莊一良さんなんですが、お任せしています。アニメーションのミュージックビデオは私にとって初めての試みです。


──花結い師TAKAYAさんによる生花のヘアアートも楽曲にインスパイアされて生まれたということですが、ビジュアルもインパクトがあります。

藤:本物の生花ですからね。“夢だったのかな?”と思うような華やかな世界を表現していただいています。TAKAYAさんはヘアアートで海外でも多く活躍されている方なんですが、コロナ禍で日本にいらっしゃったから出会えたんですよ。全てが奇跡で出来上がったような作品なので、ジャンルを超えていろいろな方たちに聴いていただきたいですね。

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