【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>Ken Yokoyama、「すごいうれしかった。やってよかった」

ポスト

「久しぶり。Ken Yokoyamaです」と冒頭で自ら言ったように彼が観客を前にライブするのは、実に1年9ヵ月ぶりのことだ。その間、ミニアルバムの『Bored? Yeah, Me Too』とフルアルバムの『4Wheels 9Lives』という2枚の作品を新生Ken Bandで作り上げた結果、その手応えからライブに対する欲求を感じて、ついに有観客ライブに臨むことを決めたわけだけれど、Ken Yokoyamaとバンドメンバーたちは決して無邪気にステージに戻ってきたわけではないことは、オーディエンスが声を出せない現在の状況で、ライブをやるべきなのか? オーディエンスとコミュニケーションしながらライブを作り上げるタイプの自分たちにどんなライブができるのだろうか?とインタビューで包み隠さずに語っていたことからも明らかだった。

◆Ken Yokoyama 画像

そんな彼らがイレギュラーと言える今回の<SATANIC CARNIVAL>でどんなライブを見せてくれるのか。そんなことを念頭に置きながらライブに臨んだところ、ライブ開始早々、“♪Yeah oh”というKen Yokoyamaのコールにシンガロングではなく拍手で応えるオーディエンスに彼は苦笑い。

「すげえな。なんだ、これ。こういうライブならではの美しさ、良さがあるんだろうな。そう思ってやろうかな」と1曲目の「Woh Oh」の演奏前に言った一言からは若干の困惑が窺えたが、その「Woh Oh」の軽快なリズムに体を揺らしながら、拳を振り上げるオーディエンスの姿に感じるものがあったようだ。


「いいね!」とKen Yokoyamaは微笑むと、シモネタや、「(今日、それぞれの理由で来られなかった人たちに)伝えられることがあったら、SATANICに出演したバンド、必死にもがいてやってたぜ。シモネタやったのはKenだけだったぜと伝えてよ」とジョーク混じりの言葉を挟みながら、「I Won’t Turn Off My Radio」「Still I Got To Fight」といったメロディックパンク・ナンバーを披露。拳を振りながらバンドの演奏に応えるオーディンスの姿を見ながら徐々に勘を掴んでいく。そして、その一方では、「(こういうライブだから)滅多にフェスではやらない曲をやろうかな」と美しいバラードの「A Beautiful Song」をセットリストに織り交ぜつつ、「今の曲は場に合うけど、次の曲はつらい。でも、やらずにいられない曲をやるわ」とこれまでだったらモッシュ必至の「Punk Rock Dream」を演奏する前に正直な思いを吐露。手探りしながらオーディエンスに語りかけ、返ってくるのが手拍子という状況に戸惑いながら、ベテランのKen Yokoyamaもまたもがいていた。

こんなことを言ったら、気を悪くするかもしれない。しかし、変に気負わず、飾らずに、ある意味謙虚なまでに、ありのままの姿を見せてくれたところが良かった。うれしかった。この日の見どころだったと思う。たとえ手探りだったとしても、一度飛ばせば、聴く者の気持ちを鷲掴みにするメロディの魅力を味わえただけで十分じゃないか(それはもちろん、「A Beautiful Song」だけにとどまらない!)。僕らはロックバンドやライブに対して求めすぎなんじゃないかとちょっと思ったりも。




Hidenori Minami(G)、Jun Gray(B)、そして新たにEKKUN(Dr)を迎えた現在のKen Bandのケミストリーを物語るパンクロック・ナンバー「4Wheels 9Lives」を演奏した後、Ken Yokoyamaはこんなふうに語った。

「この後、トリにcoldrainが出て、2日間が終わる。後になって成功だとか、失敗だとかって話になると思うけど、みんなの声は聞こえないけど、聞こえる気がして、俺はすごいうれしかった。やってよかった」──Ken Yokoyama

ここにいる誰もがこの言葉を待っていたんじゃないか。

「やらなかったら終わりになっちゃうもんな。終わったら始めるの相当難しいもんな。(こんな状況が)後々振りかえって歴史になったらいいよな。そうだ。歴史って作られるものじゃなくて、自分たちで作るもんなんだ。小さくてもいいじゃないか」──Ken Yokoyama



その言葉からはライブに向かう前向きな意思が感じられた。最後を締めくくったのは、『4Wheels 9Live』収録の、どこかノスタルジックな「Helpless Romantic」。それを聴きながら思った。前言を撤回させてほしい。7曲じゃあ、やっぱり物足りない。もっとライブが見たくなった。今日のライブが7月に開催するツアーでどんなふうに昇華されているか大いに期待している。

取材・文◎山口智男
撮影◎岸田哲平/中河原理英

【Ken Yokoyama セットリスト】

1. Woh Oh
2. I Won’t Turn Off My Radio
3. Still I Got To Fight
4. A Beautiful Song
5. Punk Rock Dream
6. 4Wheels 9Lives
7. Helpless Romantic

■<SATANIC CARNIVAL 2021>

6月5日(土) 富士急ハイランド・コニファーフォレスト
6月6日(日) 富士急ハイランド・コニファーフォレスト
・物販 / FOOD AREA:start09:30
・ライブ観覧エリア:open10:30 / start11:30 ※19:25終演予定
▼6月5日 出演アーティスト
バックドロップシンデレラ (※new)
The BONEZ
Dizzy Sunfist
Fear, and Loathing in Las Vegas
マキシマム ザ ホルモン
NAMBA69
Northern19
ROTTENGRAFFTY
SiM
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
Survive Said The Prophet
suspended 4th
WANIMA
▼6月6日 出演アーティスト
04 Limited Sazabys
10-FEET
Age Factory
coldrain
G-FREAK FACTORY
ハルカミライ
HAWAIIAN6
HEY-SMITH
Ken Yokoyama
MONGOL800
NOISEMAKER
SHADOWS
TOTALFAT
[O.A.] PALEDUSK

この記事をポスト

この記事の関連情報