【インタビュー】浮かび上がってきた7ORDERの本質。メジャー1stシングル堂々完成

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今年1月に1stフルアルバム『ONE』でメジャーデビューし、初ワンマンの日本武道館公演を含む東阪1stツアー<WE ARE ONE>を開催した7ORDER。彼らが両A面となるメジャー1stシングル『雨が始まりの合図 / SUMMER様様』をリリースする。「雨が始まりの合図」はリーダー・安井謙太郎への誕生日プレゼントとしてメンバーが制作し、7ORDERの大事な日にはいつも雨が降っているというエピソードから生まれた疾走感のあるロックナンバー。いっぽう「SUMMER様様」はORANGE RANGEのNAOTOとHIROKIによる提供曲で、7ORDERの新しい一面を引き出している。安井、真田佑馬、森田美勇人の3名へ同シングルについて訊いていくと、浮かび上がってきたのは7ORDERの本質。彼らの歩みが導き出した「雨が始まりの合図」、憧れでありルーツのひとつである「SUMMER様様」から、彼らの美学が感じ取れるインタビューとなった。

◆撮り下ろし写真(9枚)

▲7ORDER

■大事な日の朝の雨は、いいことが起きる前触れのような気がする

──YouTubeの企画で、2020年の安井さんのお誕生日のお祝いとして、メンバーが作詞作曲をした1コーラスの楽曲「雨が始まりの合図」。それが1年の時を経てパワーアップし、メジャー1stシングルの両A面のうちの1曲になり、7月7日にリリースされるという。かなりエモエモなエピソードです。

真田佑馬(Vo/Gt):いやいや……(照れ笑い)。これもたまたまなんです。まずは梅雨時期にメジャー1stシングルを出すことになって。“その時期なら雨の曲がいいかもね”という話をしていたら、「雨が始まりの合図」をシングルにする案がチーム内で浮かんで。さらにリリース予定が後ろ倒しになって、スタッフさんの愛もあってリリースを“7”に合わせてくださったという。

安井謙太郎(Vo):だから「雨が始まりの合図」をシングルリリースすることになったのも、計画していたわけではないんですよね。

森田美勇人(Vo/Ba):ほんとまさかのまさかだね。自分たちで作詞をして、さなぴー(真田)が作曲してくれて、自分たちで楽器レコーディングをして──そういった楽曲をシングル曲として多くの人に聴いていただけることは、とてもうれしいです。

真田:メジャー1stシングルだし、もう1曲はほかのクリエイターさんが手掛けた楽曲も収録したくて。“夏と言えばORANGE RANGEさんだろう!”とスタッフさん経由でお願いしてみたら快く引き受けてくださって、両A面シングルとして完成しました。

▲安井謙太郎

──その結果、雨と太陽という両極端な夏の解釈の楽曲が揃いました。まず「雨が始まりの合図」についてうかがいたいのですが、安井さんのお誕生日にメンバーが書き下ろした楽曲を贈る案は、諸星翔希さん(Vo/A.sax)から出たものだそうですね。ソングライターの真田さんは、その提案を受けてどう思われましたか?

真田:まず出た言葉は“2週間で完成させるの?”でしたね(笑)。でもYouTubeのメンバー誕生日企画第1弾のナガツ(長妻怜央・Vo/Key)で、茨城の実家にいるナガツを訪ねて、ナガツの大好きな村上隆さんの絵を贈っていたので……。

安井:誕生日企画、第1弾からパンチがすごかったよね(笑)。

真田:そうなんだよ(笑)。それと同じくらいインパクトのある、やっさん(安井)へのプレゼントをモロ(諸星)が考えた結果が曲作りだった(笑)。その頃は配信ライヴ<UNORDER>(※2020年7月に開催)の準備期間だったとはいえ、自粛期間ではあったので家にこもっている時間は長くて。2週間か……と思いつつ“よし、やろう!”とOKを出しました。やっさんの誕生日プレゼントならやっさん好みのサウンド感にしたくて、打ち込みで作ったものをみんなに聴いてもらって。そのあと俺がサビの作詞だけして、みんなに作詞してほしい箇所を割り振って“○日後までに仕上げて”と頼みました。

森田:ヤス(安井)は疾走感がある曲や前向きな曲が好きだし、その全体のイメージをさなぴーから共有してもらって。かつ気持ちがぶつけられる曲になればいいなと思って担当の箇所を作詞していきましたね。

──その歌詞も最初はばらばらだったと、YouTubeの動画で阿部顕嵐(Vo)さんがおっしゃっていました。

真田:そのばらばらなものをまとめるのに苦戦もしたし、当日まで歌詞考えてこないやつもいたし(笑)。

──どなたなのか気になりますね……。

真田:阿部顕嵐です(笑)。

森田:考えてこなかったうえに、さなぴーが作ったメロディではなく、自作メロディで歌詞をつけたんです(笑)。みんなで一緒に曲を作ることが今までなかったし、好きなものもみんなそれぞれバラバラだから、同じ曲に対してメンバーが揃ってアプローチすることはとても新鮮で。だからあらためて顕嵐ってすげえやつだなと思いましたね(笑)。

安井:顕嵐は枠からはみ出すからね~(笑)。

真田・森田:はみ出しすぎてたね!(笑)

真田:それが顕嵐の良さでもあるし、そういうことを経たからこそ完成した曲だなと思いますね。ライブで披露するにあたって1曲で筋が通る歌詞になるように校閲をして、“恵みの雨”という観点から誰かの始まりに沿える曲になったんじゃないかなと思います。

▲真田佑馬

──安井さんがもともと雨男さんで、7ORDERも結成を決めた日、メジャー契約をした日、初ライヴの日など、大事な日にはいつも雨が降っているというエピソードが基盤になった楽曲。それこそおっしゃっていただいた“恵みの雨”の精神が感じられます。

真田:もともと俺ら、雨に対して悪いイメージ持ってないんですよ。“また雨かよ~! 雨男が張り切るからこうなるんだよ~!”なんて言ったりはするんですけど(笑)、それも含めて楽しんでいるんです。

安井:ほんとタイトルのとおりだね。大事な日の朝に降ることがすごく多いから、いいことが起きる前触れのような気がする。あと……雨って必ず上がるんですよね。嫌なことがずっと続くことはないし、その雨が上がればきっといいことが始まる。雨上がりの太陽の清々しさにありがたみを感じるのは雨があるからだし、雨そのものも嫌いじゃないし──そう思いながら今まで過ごしてきたので。

──人生のなかで導き出した自然他の考え方を、リスナーにおすそ分けするような。

安井:実際僕がこの曲をメンバーからプレゼントされたとき、そういうふうに背中を押してもらったんですよね。雨の曲にはしっとりしたラブソングのイメージがあると思うんですけど、この解釈は“らしい”なと思うんです。それはやっぱり、さなぴーが曲を書いてくれて、みんなが歌詞を書いているから。自分たちの色が素直に出せているのかなと思います。

──「雨が始まりの合図」は安井さんを彷彿とさせる歌詞も多いですが、楽曲全体を俯瞰で見ると7ORDERというグループの根幹が見えてくる印象もあったんです。それは森田さんが以前インタビュー動画で“7ORDER=安井謙太郎”とおっしゃっていたことも影響しているのかなと思ったのですが。

安井:その動画けっこういろんな人が観てくれているみたいで、よく話題に出していただくんですけど……“7ORDER=安井謙太郎”はまじですっごい重いんだって!!(笑)

全員:あはははは!

森田:やっぱ最終的に僕らを1歩踏み出させるのはヤスなんですよ。ヤスにリーダーという肩書きが出来る前から、ヤスの言ったことに僕らが同意することはよくあったし、“ヤスが動くことで動いていくグループ”というイメージがずっと僕のなかにはあるんです。だから「雨が始まりの合図」を聴いて7ORDERらしさを感じてもらえるのは、そういうことも影響してるんだとは思います。

安井:……まあ実際そういうことはあるし、そういうイメージを持ってもらうこともあるし。でも僕はみんなで決めてみんなで動かしていきたい気持ちも大きいし、全部背負って引っ張っていくような、強いリーダーではないんですよ。メンバーが助けてくれるから、不安を抱えていても動いていけるというか。「雨が始まりの合図」はそういう僕を救ってくれる歌なんです。


──先ほどおっしゃった、“曲をもらったときに背中を押してもらった”とつながるお話ですね。

安井:7ORDERとして決めなければいけないことと、自分のやりたいことの狭間で考え込むことは多いんですけど、メンバーは敢えてその位置に僕を座らせてくれている。だからこそ、ひとりじゃないんだなと思えるというか。

森田:メンバー一人一人がヤスに対してそう思ってなかったら、ヤスの誕生日にわざわざ曲を作ろうとはしないですよね。もうヤスは7ORDERのシンボル的な存在なんだよ(笑)。

安井:あははは。アイコン的な(笑)。

森田:誕生日企画はメンバーそれぞれの特徴や性格に合ったもので楽しませようという思いのもと1年間続けたけど、“曲を作ってプレゼントする”という発想はヤス以外に浮かばなくない? 洋服が好きな僕に対してみんなが“このブランドの服なら喜ぶかな”と思うのと同じテンションで、各メンバーがヤスに対して思ったものが“音楽”だった。

真田:うん。そうだね。自然な流れだった。サビの《泣くんじゃないよ神様だろ》という歌詞も、俺から安井に対する言葉ではなく、安井が言っているという設定で書いたものなんです。安井の持っているピースフルな雰囲気と抗っているイメージを同居させたかったんですよね。

安井:ファンの人たちも、周りにいる人たちも、みんな味方だし頼りになる。そのなかでもいちばんの味方はメンバーなのかもしれない──そう思った曲でした。それはこの曲を通して“俺のことをわかってくれてるな……というより、わかられてるな”と感じたからかも。みんな二十歳超えて大人になってきて、こういう歌詞になったんだろうな。美勇人で言うと、小学生の頃を知ってるから、その時の感覚が残ったままだったりするんですよ。でもみんなこれだけ頼りになる大人に成長したんだな……と噛みしめたんですよね。

▲森田美勇人

──森田さんがお書きになった《何も感じさせずに君ははしゃぐだろう》というラインも、陰の部分を隠しながらも楽しそうに振る舞ってグループを動かそうとする安井さんの姿が浮かんできます。

真田:そのあとにある《その黒い瞳の奥底で叫んでるんだろう》も美勇人が書いてるんですけど、この歌詞見た時にすげえなと思いましたね。俺には絶対言えねえ!(笑) でもすっげえわかる! ちゃんと安井謙太郎という人間を捉えてるんですよね。書いた人それぞれの視点で書かれているのも面白いと思います。

安井:4曲目の「雨が始まりの合図 -Present Ver.-」は歌詞を書いた人がその箇所を歌ってるんですけど、やっぱ表現や伝え方に“この人らしいな~!”が詰まってて面白いんですよね。オケはさなぴーの打ち込みだし、すごくメンバーのパーソナルが出たバージョン。シングルバージョンについて美勇人が“自分が書いた部分をほかの人が歌うことが心地いい”と言っていたんですけど、たしかにほかの人のフィルターを通ることで曲が大きくなるなと思いました。

──そうですね。-Present Ver.-はメンバーから安井さんへのプレゼントで、シングルバージョンはそこから7ORDERの表現へと昇華されている。

安井:シングルバージョンはみんなの楽器でレコーディングしたし、さっきさなぴーが言ってくれたように歌詞も変わってますし、2番の歌詞もさなぴーが僕の心情を汲み取って書いてくれて、“これこれ!”ってすごくしっくりきて。その伝え方にさなぴーっぽさが出てるのがいいんですよね。《窓の縁で揺れる白い影》とか、“てるてる坊主”って言わないのがさなぴー(笑)。

真田:言いたくないのよ!(笑)。

安井:さなぴーは7ORDERのソングライティングの中枢を担っているから、さなぴーのワード感も“7ORDERらしい”につながっていってるんだと思います。それはメンバーみんな同じですね。美勇人のダンスやファッション、モロの企画力──それぞれの得意な部分や興味のあるところが成長していくことで7ORDERらしさが増えているというか。

真田:わかる! 美勇人がショットガン(※上から見てVの字になる立ち位置)のセンターでバチッとダンスを決めてくれる瞬間、前までは“美勇人任せた!”という気持ちだったんですけど、最近“わっ! これ俺らだな! これだよこれ!”と感じるんですよ。それは7ORDERの武器なんです。顕嵐がキメてる時、安井がMCでいいことを言った時もそれ! これこれ!って思うし、それらが出るべき場所で出ている気がする。各所で武器が出来てきた気がしてますね。

──なるほど。それぞれの個性が伸びることとグループの成長が直結していると。素敵な話ですね。

安井:だからこそ7ORDERの次の課題は、その武器をもっと深く理解することなんですよね。任せるところは任せつつ、その人のことをちゃんと担げるようになれたら、もっとグループが良くなるんじゃないか──と美勇人が意見を出してくれたんです。そこに向けて一歩ずつ取り組んでいきたいし、そしたらもっともっといい意味で変わっていけるし、強くなっていける気がするんです。「雨が始まりの合図」は、さなぴーのワード感から7ORDERらしさが色濃く出ていると思いますね。

──真田さんが作る楽曲はどんな音楽ジャンルであっても共通して清く澄んだイメージがありますし、日々の生活にきらめきを見出す視点の歌詞も多いので、それも7ORDERのカラーのひとつになっていると思います。

真田:ああ、なるほど。どんな曲でも最終的に報われてほしいという気持ちがあって。それぞれの曲のなかに子どもがいるようなイメージなんです。その子の顔は見えないけれど、その子が絶対に報われる曲にしたい。歌詞もサウンドもドラマ性があるのは、頭のなかの絵から生まれてくるからなんです。泣いている子がいたら、なぜこの子は泣いているのかを想像して、その様子をどう言い表したらいいのかを考えて──どういう視点で捉えて、どういう言葉と音で表現していくかはすごく意識していますね。

◆インタビュー(2)「ただ気持ち良く夏を過ごしたかった! 難しいことは一切なし!」
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