【インタビュー】BREAKERZ、6年ぶりアルバム『WITH YOU』に未来への光「あなたと一緒に前へ」

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■大人な感じがありつつ、根本はやはり熱い
■今までと新しいBREAKERZを織り混ぜた

──では、アルバムの全体像についてお訊きしますが、1曲目を聴いたときに、“これまでのBREAKERZとは違う温かいミドルバラードや、大人なテイストの曲が中心なのかな”と思ったんです。ところが尖った曲もあればエロティックな曲もあって、収録された全10曲の彩りが豊か。

DAIGO:いつもならハードな曲をアルバムの1曲目に持ってくるんですが、「WITH YOU」みたいな曲から始まるのも、今でないとできないだろうなって。アルバムはBREAKERZとして今、一番伝えたい曲「WITH YOU」から始まり、収録された各楽曲たちにもいろいろなタイプの“WITH YOU”という思いが込められているんです。シングルも含めてBREAKERZらしい曲もあれば、新しいBREAKERZを感じてもらえる曲もあるんですけど、その全てが“WITH YOU”でつながっている。しかも、何がいいって、全10曲で収録時間は36分なんですよ。

──確かに3分台の短い曲が多いですよね。

DAIGO:全曲通して何回も聴いてもらいたいし、14年経った新しいBREAKERZも楽しんでもらえるんじゃないかなって。新しいと言えば、「UNDER THE MASK」は今までで一番高い音域で歌っているんです。去年、モトリークルーの映画を家で観たときに、“いつの間にか、小さくまとまっちゃってたな、俺”と思ったのが、この曲の発端で。“こんな高い声、日によっては出ないんじゃない!?”ぐらいの音域までいっちゃった曲もいいかなと思って作ったんです。


▲AKIHIDE (G)

──サウンドはファンクに振り切れているなと思ったんですが。

DAIGO:SHINPEIと友人と3人でリモートしていた時、僕のデモ曲にSHINPEIが遊びでカッティング入れたりしながら作っていったんですけど……そうなんですよね。モトリーみたいな方向に行きたかったんだけど、ハードなリフが似合わなくて(笑)。

──本当はもっとゴリゴリにしたかったんですね?

DAIGO:ええ。でも、作りながらどんどん曲が変わっていく面白さがあったし、今までのBREAKERZっぽさと同時にチャレンジしている部分も見えて。全体にいい具合にミックスされた楽曲になっていると思いますね。

SHINPEI:すごく面白い作り方でしたね。いつもならボイスメモとかをメールでもらって、曲のベーシックを僕が立ち上げていくんですが、ボイスメモに吹き込む前段階からのスタートだったし、オンライン上でリアルタイムに「こんなフレーズ、どう?」ってやりとりしましたから。セッション的でしたし、楽屋で一緒に作っているような感じもあって、すごく新鮮でしたね。会えない環境だけど、「曲作りしようぜ」ってアプローチしてくれたDAIGOさんの気持ちが嬉しかったです。それこそ“WITH YOU”っていうメッセージをDAIGOさんが僕自身にも送ってくれた感じがしましたね。

──なるほど。“♪マスクの下の 素顔が見たい”という、今の時代を反映した歌詞が出てきますよね。

DAIGO:はい。有観客ライブでは感染対策を徹底しながら、今できる最大限を全力でやっているんです。お客さんにはマスクをしていただいてるんですけど、やっぱり改めて“顔を見たいな”と思ったんですよね。そのことを違う視点から書いた歌詞です。

──歌詞の内容は、行きつけのカフェの素敵な店員さんの素顔が見てみたいっていう。

DAIGO:そうです(笑)。誰しも目元しか見えない状況だから、男女問わず、この歌詞のように思っている人もいるのかなって。この時代だからこそ生み出せた歌詞と曲ですが、早くこういう時代が終わって欲しいという願いも込めています。


──AKIHIDEさんはアルバムの全体像をどう捉えていますか?

AKIHIDE:さっきシンピーも言ってましたが、コロナ禍もあって、シングル曲を除いてレコーディングは各々が録って、それを混ぜ合わせているんです。いつもと作り方が違ったんですよね。テンションを上げてギターをガーッと弾くのではなく、いったん落ち着いてから作っていったので、BREAKERZの熟した大人な感じがありつつ、根本にはやはり熱い。そういう意味で今までのBREAKERZと新しいBREAKERZを織り混ぜた楽曲たちになりましたね。

──そういう作り方はギターアプローチにも影響しましたか?

AKIHIDE:今回、1曲目の「WITH YOU」と2曲目「LOVE STAGE」にはギターソロがないんですけど、そういうアルバムは今までになかったんじゃないかな。

──たしかにそうですね。「「Blue Moon」と「Judgment」はコロナ前に原曲を作っていた」と先ほどおっしゃってましたが。

AKIHIDE:自分が書いた曲に関しては、コロナ前の2019年ぐらいに作りはじめていたんです。「Blue Moon」はBREAKERZのセクシーなジャズロック部門にいいかなと思って。「Judgment」はライブハウスでの盛り上がりを想定して作った曲です。ライブでは今はまだお客さんは声を出せないですが、こういう曲も入れることでバンドの心意気を伝えたかった。昔からのBREAKERZを受け継いでいるという意味でも、過去の自分たちと新しい自分たちが合わさってますよね。

──「Blue Moon」は初期BREAKERZのテイストもありつつ、今作では異色だなと感じましたが。

AKIHIDE:ジャジーでセクシーというジャンルは今までのBREAKERZにもありますが、今回は歌詞の書き方の毛色が違うというか、ピンポイントで描きました。

──「Judgment」のツインギターは叫んでいるような激しさがあり、とてもリモート録音とは思えないです。

AKIHIDE:実は、「Blue Moon」「Judgment」以降をリモートで録ったので、この2曲はシンピーと2人でスタジオに入って弾いてるんですよ。だから、お互いに触発された部分はあるかもしれないですね。最近はヘヴィなパートは全部シンピーに任せてるんですが、そういう意味ではそれぞれのパートがより際立った2曲になっていると思います。

SHINPEI:BREAKERZのギタリストとしてのアイディンティティを再認識できたのが「Blue Moon」と「Judgment」だったんですよ。レコーディング作業がリモートになっていく中で、AKIHIDEさんが「この2曲だけはスタジオでやってみない?」って提案してくれて。一緒に音を出したら「やっぱりこうやってギター弾くのって楽しいな」って実感したんですね。重たいギターアンプをスタジオに持ち込んで、ケーブルを引っ張ってつないで、曲についてああだこうだってディスカッションしながら、レコーディングしていく空気を取り戻せた感覚があった。それまで当たり前だったことが減っていけばいくほど、いろんな機材やシステムがどんどん便利になっていくし、DAWのプラグイン・アンプシミュレーターで、ある程度いい音が出せちゃうんです。だけどやっぱり、スタジオで、アンプにつないで、一緒に弾くって最高なんですよ。

──そういう空気感が影響して、この2曲はツインギターのスリルや醍醐味が楽しめるのかもしれませんね。

SHINPEI:ホントにそうです。最もライブ感を閉じ込められた2曲だと思います。

▲『WITH YOU』通常盤

──「Judgment」の曲調はロックテイストとエキゾティックな民族音楽的エッセンスの融合が刺激的です。

AKIHIDE:意識したわけではないんですけど、アラビア音階なフレーズが自然と出てきて、それがハマったなって。

DAIGO:「Judgment」はギターリフがすごくカッコ良くて、BREAKERZらしいハードなライブ映えする曲だと思いましたね。AKI様の仮歌の段階からサビで“♪叫べ叫べ“と歌っていたので、今叫びたいことや、今壊したいこと、魂の叫びみたいなものを爆発させようと。そう思ってAKI様のデモを活かしながら歌詞を書きましたね。

──みんなの我慢や怒りといった心理や、現代的な社会問題もストレートに描いていて、“DAIGOさんがここまで書くんだ!?”という驚きもありました。

DAIGO:誰かに向けてというわけではないんですけどね。今まで経験したことがない事態の中、人によって怒りの対象も違うと思うんです。ただ、いろいろな人がいろいろな状況に怒りを覚えて生きていることは間違いない。それこそ、なぜ新型コロナウイルスがここまで広がってしまったのかとか、なぜ発生したのかとか。ウイルスそのものに対して怒りを感じている人も、そこから派生したものに怒っている人もいる。そういうことって、伝え方ひとつで全部がマイナスに捉えられてしまうこともあるけど、僕はネガティブな方向にいきたくないという想いがあるから。この曲ではとにかく希望のために叫ぼうって。やっぱり、ため込むだけじゃダメで、どこかで発散していかないとって思うから、そういう意味でもこの楽曲で吐き出してもらいたいなって。BREAKERZらしいエッジの効いたナンバーになりましたね。

──“♪明日のために 裁きの矢を放ち 断罪せよ”ですもんね。未来のため、希望のために叫ぶんだっていう。

DAIGO:タイトルには“裁く”とか“制裁”っていう意味があって。それをどう捉えるかは自由なんですけど、本来の敵はウイルスなのに、それがなぜ世界でこうなってしまったのかっていう。人間対人間みたいな図式になってしまっているのも良くないなという思いもあるんです。

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