【ライブレポート】クリープハイプ、対バンツアー完遂「隙だらけの、弱点の多い、こんなバンドを好きでいてくれてありがとうございます」

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10月22日(金)、Zepp Tokyoにてクリープハイプのツアー<ストリップ歌小屋 2021>ファイナル公演が開催された。<ストリップ歌小屋>はクリープハイプが主催する対バン企画で、今回は2017年以来、4年ぶりとなるうえに、愛知公演にトム・ブラウン、東京公演1日目にどぶろっくなど、芸人勢も参加。クリープハイプらしい自由さで、各地でさまざまな化学反応を起こしてきた。

◆クリープハイプ 画像

ファイナル公演のゲストはシンガーソングライターのiri。シャンデリアが飾られた厳かなステージに現れると、エレクトロに生バンドのグルーヴを掛け合わせたサウンドに乗せて、パワフルな歌声と華やかなパフォーマンスを披露。



▲iri

アコースティックギターを手にした「ナイトグルーヴ」を皮切りに「Sparkle」まで、シングル曲を中心とした全7曲は、ジョージ(Manipulator)、村岡夏彦(Key)、村田シゲ(B)、堀正輝(Dr)という4人のサポートメンバーと一体となった躍動的なグルーヴが終始会場のテンションを高めた。

その存在感とは裏腹にフランクなキャラクターのMCでもオーディエンスの心を掴み、<ストリップ歌小屋>最終公演のオープニングを見事に飾った。

転換のあと、BGMとして流れていたジャズが止み、無音の中でゆっくりとクリープハイプが登場。<ストリップ歌小屋>のタイトルにふさわしく、イントロから性急な「キケンナアソビ」で幕を開けた。


▲iri

小泉拓(Dr)が淡々と刻むリズムに小川幸慈(G)のスリリングなギターリフが映える中、語りかけるようにけだるく歌い出す尾崎世界観(Vo)。一気に精神的距離を詰めるクリープハイプの情念が会場を掌握していった。そこからポップなテイストの「月の逆襲」に切り替えると、「ベランダの外」「バブル、弾ける」と、長谷川カオナシ(B)がヴォーカルを取る楽曲が続くレアな展開に。繊細な深みを帯びる尾崎の歌声に対して、同じくハイトーンながら長谷川の歌声はどこかイノセントな空気を纏っている。まっすぐ表現する長谷川の声に寄り添い、ハモりを担当する尾崎の声もまた魅力的で、イベントだからこその意表を突くセットリストにオーディエンスも沸き立っていた。

最初のMCで、いきなり「1曲目の途中で唾が気管に入って死にかけた。“キケン”な状態になっちゃった」と尾崎が暴露。一節をアカペラで歌い直して整えると、「対バンツアーも今日が最後です。iriさん、どうもありがとうございます」という挨拶を合図に、ゆったりと「クリープ」をスタートさせた。そこから、ミラーボールでカラフルに彩られた「バイト バイト バイト」、弾き語りからアッパーに疾走する「リグレット」、オーディエンスの手拍子が起こった「寝癖」など、さまざまな年代からクリープハイプのバンドアンサンブルを楽しめる楽曲が続き、どんどん会場の熱が上がっていく。





▲クリープハイプ

「(iriのライブでリズムに合わせて手を上下していた動きを指して) そういうのできるんだね。そんなところを俺に見せるんだね。……嫉妬してるんだけど」と尾崎。ゲストとして初めて観る客を前にライブができるのが羨ましいという話から、「初めて会った時の衝撃はなかなか超えられないと思うけど、もう一回初めてがあったら、どんなライブをしようかなとか考えたりしていて。もう一回初めてお客さんに出会った時に、またライブに来てもらえるようなインパクトを残せるかなって。だから今日は、そういうライブをしようと思ってやってます」と前のめりな意志を語った。その想いを受けて、初期からのキラーチューン「社会の窓」を投下。恒例の“最高です”のコールはできないものの、初期衝動が渦巻くバンドサウンドが暴れ出すと、オーディエンスも手を掲げ、手拍子などで大いに応えていく。

そして、ここからは、完全にロックサイドのクリープハイプが覚醒。ハードロックなリフに乗せて尾崎が言葉を畳みかける「身も蓋もない水槽」では、めまぐるしい照明演出もあいまってどんどん熱狂が加速し、尾崎がハンドマイクでシャウトするパンクチューン「テレビサイズ (TV Size 2’30)」へなだれ込む。ステージ上でメンバーも動き回ったり、ドラムを囲んで向き合って呼吸を合わせたり、がむしゃらに激しいだけではないバンドの経験値もしっかり感じさせる分厚いグルーヴが渦巻く。久しぶりの対バンツアーを経て研ぎ澄まされたのだろう、クリープハイプの反骨精神剥き出しの音に聴き惚れた。

最新シングル曲「しょうもな」では、ライブで聴けるのを待ちかねていたオーディエンスの歓迎によってさらに一体感が高まっていく。2021年に放たれたロックナンバーが、今後新たなキラーチューンに成長していく予感に溢れていた。





▲クリープハイプ

終盤に贈られたのは、ニューアルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』のタイトルが歌詞に含まれた「ナイトオンザプラネット」だ。長谷川がキーボードを担当するベースレスなスタイルで、尾崎はギターを置いてハンドマイクで歌唱。ラップ的な表現を交え、けだるく優しいメロディに包まれ、ニューアルバムの片鱗を味わう。続く「二十九、三十」でも温かな想いを届け、尖ったクリープハイプと愛情に塗れたクリープハイプに心地よく翻弄されるセットリストを堪能した。

最後に、尾崎がメンバーに「久しぶりの対バンツアー、どうでしたか?」と聞くと、「楽しかったです。ライブができるのはとても幸せです。ありがとうございました」と小泉。長谷川は尾崎に「髪型変えたよね?」とツッコまれつつ、「ツアー中に心境の変化があって。そういう意味でも、一回り大きくなれたツアーだったなと思います」とまとめた。小川は、尾崎が「最高でした!」と裏声で代弁するコメントに当て振りで動いてみせる。そんな和やかなムードの中、会場を見渡しながら「こうやって直に顔を見ることができて、安心しました。半分くらいは(マスクで)隠れてるけど。なんかエロいね、脱がしたくなるよね」と尾崎らしい冗談が飛び出す一幕も。

ファンとの関係に改めて言及し、「隙だらけの、弱点の多い、こんなバンドを好きでいてくれて本当にありがとうございます」と告げて始まったラストナンバーは「ねがいり」。何気ない日常の愛しさ、尊さを歌いあげる美しいメロディが胸に染み入る。尾崎から小川へ繋ぐギターソロまわしもエモーショナルにキマり、多幸感とともにライブを締め括った。アウトロの残響が完全に消えるまで名残惜しそうにじっと聴き入っていたメンバーは、余韻を噛み締めるように深々と頭を下げ、ステージをあとにした。


▲クリープハイプ

以前とは違うライブ環境の中で、変わらずに生々しい感情と衝動を表現し、同時により深まった愛情で包んでみせたクリープハイプ。ニューアルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』は、すでに収録曲の個性的なタイトルが発表されている。近年の多彩なシングル曲を含む過去最多の15曲で、クリープハイプが情景を描こうとしているのか、期待がさらに高まる一夜だった。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎関信行

■クリープハイプ<ストリップ歌小屋 2021>10.22@Zepp Tokyo セットリスト

【iri】
01. ナイトグルーヴ
02. 半疑じゃない
03. Wonderland
04. 会いたいわ
05. 24-25
06. 渦
07. Sparkle
【クリープハイプ】
01. キケンナアソビ
02. 月の逆襲
03. ベランダの外
04. バブル、弾ける
05. クリープ
06. バイト バイト バイト
07. リグレット
08. 寝癖
09. 社会の窓
10. 身も蓋もない水槽
11. テレビサイズ (TV Size 2’30)
12. しょうもな
13. ナイトオンザプラネット
14. 二十九、三十
15. ねがいり



▲アルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』ジャケット

■アルバム『夜にしがみついて、朝で溶かして』

2021年12月8日(水)発売
【特装盤(完全受注生産)】PROS-1920 ¥7,700 (税込)
仕様:CD+歌詞集『ことばのおべんきょう』
・特装盤特別仕様
・ゴムバンド (アメゴム)
・歌詞集 (『ことばのおべんきょう』限定特別仕様 512P想定)
・CD (全15曲収録)
【初回限定盤】UMCK-7147 ¥6,600 (税込)
仕様:CD+Blu-ray
・初回限定盤特別仕様 + ブックレット48P想定
・Blu-ray:<クリープハイプの日 2021 (仮)>ライブ映像ほか収録予定
・CD (全15曲収録)
【通常盤】UMCK-7147 ¥3,300(税込)
仕様:CDのみ
・ジュエルケース + ブックレット24P想定
・CD (全15曲収録)
▼CD収録曲
01. 料理
02. ポリコ
03. 二人の間
04. 四季
05. 愛す
06. しょうもな
07. 一生に一度愛してるよ
08. ニガツノナミダ
09. ナイトオンザプラネット
10. しらす
11. なんか出てきちゃってる
12. キケンナアソビ
13. モノマネ
14. 幽霊失格
15. こんなに悲しいのに腹が鳴る

CD予約サイト: https://creephyp.lnk.to/6thAL_Reserve

●店舗特典●
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・HMV:詩めくりカレンダー(絵柄A)
・タワーレコード:詩めくりカレンダー(絵柄B)
・TSUTAYA RECORDS:詩めくりカレンダー(絵柄C)
・UNIVERSAL MUSIC STORE / 『太客倶楽部』/ Fanplusメンバー:詩めくりカレンダー(絵柄D)
・ヴィレッジヴァンガード:詩めくりカレンダー(絵柄E)
・楽天ブックス:チケットホルダー
・その他 / 一般店:B2告知ポスター

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