【インタビュー】AI、朝ドラ主題歌は森山直太朗の曲提供による壮大なバラード「大きい愛、深い愛を歌うように」

ポスト

■ラッパーが武道館公演やテレビ出演なんて
■絶対に無理って言われてましたから

──「アルデバラン」はAIさんの新たな“バラードの名曲”だと思います。「Story」「ハピネス」「ママへ」など数々のバラードを歌ってきたAIさんですが、時期によって曲に込めるメッセージも変化しているのでは?

AI:そうかもしれないですね。恋愛よりも、どんどん大きい愛、深い愛を歌うようになってると思うし、普遍性のあるメッセージを歌いたいという気持ちもあるので。私にとって恋愛ソングのイメージって、いやらしいR&Bなんですよ(笑)。

──古くはアイズレー・ブラザーズの「ビトゥイーン・ザ・シーツ」から、官能的でセクシーなラブソングはR&Bの王道ですからね。

AI:それがR&Bの良さだとも思うしね。自分がそういう状況じゃなくなったら、自然とセクシーなR&B系のラブソングは少なくなって。そういう年代のアーティストはどんどんやってほしいけど(笑)、私が歌ってもリアリティがないでしょ。子どもが生まれて、家族になって、毎日の生活があって。そうなるとだんだん大きい愛を歌いたくなるんですよね。

──ライフステージの移り変わりによって、歌う内容も変化する。「アルデバラン」も、今だから歌える曲なんでしょうね。

AI:そうだと思います。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』は母、娘、孫の3世代のストーリーですけど、私にも子どもがいるし、共感できるところもたくさんあるので。おばあちゃんになったことはないけど(笑)、いつかそれも体験したいです。実際に経験することって、本当に大事なんですよ。言っておきますけど、人と一緒に暮らすのってすごく大変だから!

──わかります(笑)。

AI:家族がお互いに気分良く過ごせる毎日を作るのが、どれだけ大変か(笑)。辛いこともあるけど、乗り越えたときは“もう何も怖くない”と思えるし、そういう経験をしてから歌うと、また全然違ってくるんですよ。



──“コラボレーション”についても聞かせてください。DJ RYOWの「NEVER CHANGE feat. AI, AK-69 & 般若」のほか、AIさんの作品でも「Not So Different Remix feat. Awich」「THE MOMENT feat. ¥ellow Bucks」「IN THE MIDDLE feat. 三浦大知」など次々とコラボ楽曲をリリースしています。「アルデバラン」も含め、音楽性も幅広いし、本当に多彩ですよね。

AI:確かに。もちろん全部好きなんですよ。同じようなことだけを続けていると、私自身も飽きてしまうし、聴いてくれる人も“似たような曲だな”って思うかもしれないので(笑)。人を楽しませるのも好きだし、“また面白いことをやってるな”と感じてほしいですよね。

──では、コラボをするときに意識していることは?

AI:自分が好きな曲であること、あとは自分らしさがちゃんと入っていることですね。歌詞やメロディ、コーラスもそうですけど、“ここが好きだな”と思えるフレーズがないと、私がやる意味がないので。当たり前ですけど、好きな人、いいなと思う人としかやらないしね。

──コラボならではの化学反応にも注目が集まっています。DJ RYOWの「NEVER CHANGE feat. AI, AK-69 & 般若」もめちゃくちゃ強烈なメンツですよね。

AI:般若、AKくんとは若いときから、よく現場で一緒になっていて。本当にいろいろなことがありましたけど(笑)、大人になってからも“仲間”って感じがしますね。二人とは一緒に曲を作ったこともあるし、ずっと刺激を受けていて。きついこともたくさんあったと思うけど、それを一つ一つ乗り越えて、すごいアーティストになりましたからね。

──AK-69さん、般若さんは日本のヒップホップを牽引し続けていて。

AI:私たちが始めたころは、「ラッパーが武道館でライブをやったり、テレビに出るなんて絶対に無理」って言われてましたから(笑)。今は3人で音楽番組に出ることもあって、楽しくトークして、冗談も言ったり。“大人になったね、私達”って思えるのも楽しいです。


──Awich、¥ellow Bucksは若い世代を代表するアーティスト。

AI:Awichさんは本当に衝撃でした。以前のBARKSインタビューでも話したかもしれないですけど、彼女の作品はもちろん素晴らしいし、一緒にやったときも“この人、天才だ!”と思って。誰かに作られたアーティストではなくて、すべて自分でやれるし、ブースに入ってからも遠慮しないで、“これはどうですか?”と提案してくれたんですよ。歌詞に私の子どもの名前を入れてくれたり、私のこともすごく考えてくれて、感動しましたね。¥ellow Bucksさんは、新しい世代のラッパーの中でも特にいいなと思っていて。しかも彼がラップをはじめたのは、私のライブでAKくんを見たのがきっかけなんですよ。

──すごい縁ですね!

AI:そうなんです。お母さんが私のファンでいてくれて、彼が中学生のときに一緒にライブに来てくれたみたいで。たぶん連れてこられたんだと思うけど(笑)、そのときにゲストで出てくれたAKくんのステージを見て、「カッコいい。ラップやりたい」と思ったって。

──20年続けるって、そういうことなんですね。

AI:ビックリしますよ(笑)。ファンの子も結婚して、子どもができて、一緒にライブに来てくれたり。若い子のなかには、「Story」を知らない子もいるんですよ。

──AIさんを知るきっかけが違うんでしょうね。

AI:そうみたいです。自分の子どもの同級生の子に「Awichとやったんだよね?」って言われたり(笑)。幼稚園生がAwichを聴いてるって、ヤバくないですか?

──ははは。「IN THE MIDDLE feat. 三浦大知」も話題を集めました。大知さんとも以前から交流があったんですよね?

AI:スタジオとかプロデューサーのUTAくんの家で会ったり。そのたびに「今度一緒に曲をやりましょう」なんて言ってたんですけど、今年ようやく実現しました。レコーディング、すごかったですよ。こっちで曲を作らせてもらって、「ここのパートをお願いします」と言ったら、「わかりました」って、すぐ歌い出したんです。それがもう、そのままCDにできるような歌声で。そこまで引き上げるのに、普通はもうちょっと時間がかかると思うんだけど、大知くんはウォーミングアップもしないで、いきなりすごいクオリティで歌って。スタッフの方も「そう言えばウォーミングアップしないですね」って言ってたから、普段からそうなんだと思います。小さい頃からやってるからなのかな?

◆インタビュー【3】へ
◆インタビュー【1】へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報