【ライブレポート】メリー、第二章の幕開け

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メリーが11月7日、東京・LIQUIDROOMにて大きな節目を迎えた。<メリー 20th Anniversary Opening Live Showcase 1【Strip】>という長い公演タイトルが示しているように、バンドの結成記念日であるこの日をもってその歴史が満20年となり、同時に、去る11月3日に発売されたばかりの新作アルバム『Strip』の楽曲群が披露される初の機会となったのだ。

◆ライブ画像

しかも、4人編成という新体制での初の有観客公演。そうしたいくつもの重要事項が重なる局面でのライヴだけに、どのような公演内容になるのか、ツインギターの片翼を担ってきた健一を欠いたことでバンドサウンドにどのような変化が生じているのかといったところに当然のように注目が集中していたはずだが、ステージ上の4人が提示してみせたのは“歴史”ではなく“今”であり、喪失ではなく新たな可能性の獲得だったといえる。


極彩色の照明やレーザーライトが『Strip』というアルバムタイトルに似つかわしい華々しくも猥雑な空気感を醸し出すなか、ショウの幕開けを飾ったのは今作のコンセプトが生まれるうえで鍵になったという「erotica」。それを皮切りに繰り広げられたのは歴史の総括ではなく、あくまで『Strip』を軸とした演奏プログラム。終わってみれば、アルバム収録曲のうちこの夜披露されなかったのはわずか1曲のみだった(この先に名古屋、大阪での公演も控えているだけに、具体的な曲名は書かずにおく)。『Strip』という作品自体、当然ながら4人で制作されているわけだが、その音源からも感じられたヒリヒリするような剝き出しの生々しさが刺激的だった。

4人編成になったことでステージ上の風景にも必然的に変化があったが、健一の脱退により生じた穴を埋めようとするのではなく、誤解を恐れずに言えば、最初から4人編成のバンドだったかのように感じられるほど、4ピースバンドとしてのたたずまいがとても自然なものとして目に映った。同様のことは音についてもいえ、テツ(B)の奏でる重低音のうごめき、自己主張の多いネロ(Dr)のドラミングといったものが、従来以上に奥行きと立体感のあるものに感じられた。結生(G)のギタリスト然とした存在感、破天荒さと繊細さを併せ持ったガラ(Vo)の歌声の魅力も、いっそう際立つようになっていた。


前述のとおり、演奏内容はあくまで『Strip』の楽曲を中心とするもので、過去、節目となるようなライヴを迎えた際の彼らがたいがい「やりたいことを盛り込みすぎ」な傾向にあったことを踏まえると、意外ともいえるくらいシンプルな構成ではあった。随所に挿入された過去の楽曲群についても、懐かしい曲を聴けたというレア感以上に、それらと『Strip』の世界との噛み合わせの良さを感じさせられた。それは旧楽曲が4人編成となった今現在の時制に似つかわしいものにアップデートされていることを象徴していたのと同時に、このバンドのコアな部分が少しも変わっていないことを裏付けていたように思う。

アンコールの際には各メンバーが20周年に際してのコメントを述べる場面が設けられてはいたものの、それ以外にアニヴァーサリー的な趣向は特に盛り込まれることなく、4人はあくまで『Strip』の世界を体現すること、新体制のリアルな姿を提示することに徹していた。そこから伝わってきたのは、新たな決意、覚悟の強さを思わせる気迫だった。実際、このアニヴァーサリーに際して祝福されるべきは、20年という長い時間経過ではなく、紆余曲折を経てきたのちに“今”を充実した状態で迎えているという現実のほうだろう。


アンコール時、ガラの口からは2022年1月に次なるショートツアーを行なうとの情報が明かされた。今回の東名阪での公演が<Strip>と銘打たれているのに対し、その新ツアーのタイトルは<Stripper>で、ガラによれば「全裸でステージに立つ」ことになるのだという。それが言葉通りの一糸まとわぬ姿を指すのか、はたまた精神的な意味での全裸状態を意味するのかは不明だが、いずれにせよこの日に幕を開けたメリーのアニヴァーサリーイヤーが、攻撃的で賑やかなものになることは間違いないだろう。

もちろん今現在も依然としてライヴ開催にはさまざまな規制が伴い、来場者にはマスクの常時着用が求められ、合唱すらも叶わない状況にはあるが、この先のライヴ活動が続いていくなかで、いつかバンドとオーディエンスの双方が完全に解き放たれ、歌声をひとつに重ねることができる瞬間が到来することを信じていたいものだ。同時に、このアニヴァーサリーイヤーを通じて『Strip』という痛快きわまりないアルバムと新体制のメリーが、どのような進化を遂げていくことになるのかにも注目したい。


なお、この夜のライヴの模様は生配信されており、そのアーカイヴ映像は11月10日の23時59分まで視聴可能となっている。当日、来場の叶わなかった皆さんにも是非この機会にメリーの刺激的な“今”に触れて欲しい。

文◎増田勇一
ライブ写真◎中村卓

<メリー 20th Anniversary Opening Live Showcase 1【Strip】>

2021年
11月7日(日)恵比寿LIQUIDROOM[メリー結成20周年]
11月28日(日)名古屋E.L.L
12月11日(土)大阪CLUB PARTITA

チケット発売中
▼TicketTown (電子チケット/クレジットカード決済)
https://www.tickettown.site/

▼イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/0057060001

アーカイブ配信情報

2021年11月10日(水)23:59まで
チケット価格 ¥4,800

GALACAA
配信URL:https://www.galacaa.com/concert/235

メリー 11th Album『Strip』

2021年11月3日(水)Release

【CORE完全限定盤】
3枚組(2CD+DVD+GOODS) DRG-034~36 ¥12,000 (tax out)
Manufactured by sun-krad Co., Ltd. Distributed by sun-krad Co., Ltd.
▼公式通販サイトGALAXY BROAD SHOP限定
https://www.galaxybroadshop.com/artist/merry/core/

【初回生産限定盤】
2枚組(2CD) SFCD-0255~256 ¥4,800 (tax out)
Manufactured by FIREWALL DIV. Distributed by Sony Music Solutions Inc.

【通常盤】
通常盤 (CDのみ) SFCD-0257 ¥3,000 (tax out)
Manufactured by FIREWALL DIV. Distributed by Sony Music Solutions Inc.

[DISC 1 : CD]
1. S.trip theater
2. psychedelic division
3. ニューロマンティック【NOISE CORE】
4. ブルームーン
5. erotica
6. 遠い昔の恋愛ソング
7. rat-a-tat-tat
8. 煙草
9. 愛なんて所詮幻想で都合のいいものなのに
10. Bremen
11. Mechanical words

◆メリー オフィシャルサイト
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