【ライヴレポート】HYDE、<黑ミサ Halloween>で「星はあるんです。ひとりひとりが輝いています」

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HYDEの<20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021 Halloween>が10月30日(土)、31日(日)の2日間にわたって幕張メッセ 国際展示場 9・10・11ホールで開催された。先ごろ公開したオフィシャルレポートに続いて、詳細レポートをお届けしたい。

◆<黑ミサ Halloween>画像

黑ミサとハロウィンを融合させたのは今回が初の試みであり、毎年恒例だった<HALLOWEEN PARTY>より“HALLOWEEN”の名を冠して開催されるのは実に3年ぶりのこと。ドレスコードは仮装もしくはスマートカジュアルで、会場にはハロウィン仕様の仮装や思い思いのオシャレな服に身を包んだ人たちが集結した。



ハロウィン当日の31日。開演時刻の17時前にオープニングアクトとしてセンターステージに立ったのは芸人・ペレ草田。お馴染み布袋寅泰のモノマネを中心に開演前の場内を温めた。続いて執事の仮装をしてアコースティックセットを披露したASH DA HEROが登場。ちなみにASH(Vo)は前日の初日、自身のバンドメンバーであるDJ Dhalsimとふたりでパフォーマンス、2日目はNarukaze(G)、Sato(B)、WANI(Dr)による4ピースでのアコースティックと両日異なるセットリストでオープニングアクトとしての重責を務めた。

開演時間になるとステージ左右のスクリーンから「紳士、淑女のみなさん、今宵はハロウィン舞踏会にようこそにゃあ」と“坊ちゃん”に仕える執事猫のセバスニャンが挨拶。「Welcome to 黑ミサHalloween!」の合図で爆発音が響きわたり、いよいよ今宵の宴の始まりだ。馬車に乗って、場内の通路を移動しながら「HALLOWEEN PARTY -サーカスVer.-」を歌う麗しい美女は、なんと女装姿の手越祐也だ。ヴィジュアルも伸びやかな高音も麗しい女性にしか見えず、魔法の時間にいざなわれた。


▲HYDE ※10月30日(土)


そして、赤いドレープカーテンが開いたステージは、いくつものシャンデリアがゆらゆらと揺れ、ゴーストが悪戯をしたお屋敷のよう。いよいよHYDEのお出ましだ。初日は『東京リベンジャーズ』のマイキーに扮して観客を楽しませたHYDEだが、2日目は『黒執事』のシエル ファントムハイヴの仮装。<HALLOWEEN PARTY 2015>でシエルに扮したHYDEを記憶している人も少なくないはず。青い髪、軍帽に真紅の薔薇をあしらった出で立ちはさらに華やかにバージョンアップされ、法壇の前で木槌を持って歌ったのは安室奈美恵のカバー「Hide & Seek」。オーケストラ総勢23人編成による演奏は実にドラマティックだ。客席側から鳴らされるベルなどファンが持ち込んだ楽器も幻想的な夜を盛り上げる。

「ようこそ、 <黑ミサ Halloween>へ。みんな、とても美しくドレスアップされて素晴らしい眺めだ」──HYDE

コロナ禍の中、来場してくれたことへのお礼を述べ、HYDEが続けた。

「しかし、この世界はとても狂っていると思いませんか? 所詮、この世の正義など力を持つ者が自分のために作った建前。誰も他人のことなんて考えちゃいない。ボヤボヤしてたら持っていかれる。
 元々人間は2種類しかいません。奪う者と奪われる者。そして今日、オマエたちは僕に未来を奪われる。それだけの話だ。さて、どうして僕が悪魔と契約したのかって? それはこの待ちに待ったハロウィンの夜に罪深いオマエたち全員始末するためだ。全員死刑!」──HYDE


高笑いする裁判官の判決が下り、アルバム『ANTI』からのナンバー「AFTER LIGHT」はヘヴィかつ呪術的なアプローチ。法壇に足をかけて歌うHYDEの迫力に呑みこまれそうになる。そして一転、ジャジーなサウンドに移行し、ツアー<ANTI WIRE>でも披露された「DEFEAT」では上手下手に動きながら歌い、コーラス参加のASHの肩に手をかけたり、キーボードの下に潜り込んでみたりと自由なパフォーマンスで魅了する。管楽器を活かしたジャズ風アレンジとなった同曲に続いて歌われたのは、制作中のアルバム『ROENTGEN 2 (仮)』に収録されるであろうバラード「THE ABYSS」だ。ストリングスの調べからピアノとヴォーカルだけになり、途中からドラムがインする構成で、音色の豊かさはオーケストラアレンジならでは。

ステージに配されていた棺が回転し、真紅の薔薇が敷き詰められた中で眠る美女=手越祐也にHYDEがそっとキスする「VAMPIRE'S LOVE」へ。この美しき共演に大きな拍手が響きわった。そして、まばゆい光がステージに降り注いだ「WHO'S GONNA SAVE US」では切迫感と熱量を増していくヴォーカルで圧倒した。


「こんばんは。今日はラルク アン シエルじゃなく、シエル ファントムハイドでございます。オーケストラをバックに演奏するにあたって、この雰囲気がみなさんのお気に召すんじゃないかと思って」と気合いの入った会場を見渡し、「みんな、ふだんより3割かわいいよ」と微笑むHYDE。「今日は膝見せて頑張っております」と客席を笑顔にさせ、「昨日もすごく素敵な夜でございました。集大成というか、ホントにいろいろなものがゴチャゴチャになった一夜で、とても僕は満足しております。今日はさらにハロウィン本番ということでアゲていきたいと思います」と宣言した。

イントロとして口笛を吹いたHYDEは、ハンドクラップが鳴り響く客席へ投げキッスを送り、バンドのメンバーとアイコンタクトをとりながら「DEVIL SIDE」へ。原曲とは全く異なる表情で楽しませるアプローチだ。オーケストラと歌が寄り添うように、時に軽やかに奏でられた「BELIEVING IN MYSELF」ではHYDEがステップを踏む。が、そのピースフルな場内の空気は「MAD QUALIA」で一瞬にして入れ替わる。ステージ中央に運び込まれた王座で足を組み、スモークが噴射される中、魔物を召喚するような気迫に満ちた歌を聴かせ、ステージに赤い羽根が舞い落ちた「Red Swan」を披露。HYDEソロ、VAMPS、L'Arc-en-Cielの垣根を超えた歴代の楽曲が披露されるのが<黑ミサ>の醍醐味のひとつだが、そこにハロウィンが加わったコンサートはエンターテイメントかつ濃厚だ。後半戦は招かれた客人たちが華を添えた。


「シエル ファントムハイドさん!」という声が舞台上に響きわたり、「その声は?」とHYDEが返すとセバスチャン・ミカエリスに扮したDAIGOが登場。

「セバスチャンは目が赤いんですね。僕、赤のカラコン持ってなくて、HYDEさんのをお借りしました」──DAIGO

「昨日、使ったヤツ?」と前日の仮装、マイキー&ドラケンのことに触れ、「黒執事」でお馴染みの台詞「イエス、マイロード」と返すDAIGO。<HALLOWEEN PARTY>に欠かせないコンビだけあってトークも盛り上がり、ハロウィンが街に浸透していなかった頃からハロウィンイベントを開催し続けているHYDEが昨今の風潮について饒舌に語る場面も。

そして「せっかく来ていただいたので1曲、ご一緒していただけますか?」とHYDEが振ると「イエス、マイロード」とDAIGOが答え、「flower」をデュエット。洗練されたアレンジ、心地良いアルトサックスの音色が会場を癒し、HYDEとDAIGOが顔を見合わせて歌う光景もスペシャルだった。

曲が終わった後にDAIGOからのリクエストによりHYDEの手の甲にキス。いつまでもキスしているDAIGOに「長いよ」とHYDEが突っ込むと「離れがたくて、すみません」と忠実な執事っぷりを発揮していたのも阿吽の呼吸に達している2人ならでは。「HYDEさん」「DAIGO」とお互いに連呼を繰り返すハロパおなじみのやりとりも飛び出し、HYDEが「L・S・H」とDAI語で呼びかける。「え?」と戸惑うDAIGOに「Let’s Sing HONEY」と粋な曲紹介だった。



クラシックギターがフィーチャーされたボサノヴァアレンジの「HONEY」は途中からヴァンパイアの仮装をした手越祐也が加わり、HYDE、DAIGO、手越が並んで歌うゴージャスなヴァージョンとなった。手越が感謝の言葉を伝えるとHYDEが「さっきのキスも良かったね」と「VAMPIRE'S LOVE」について触れ、「昨日はチョンぐらいだったんですけど、今日は普通のチューでしたよ。みなさん、すみません」と客席に謝る手越。憧れのHYDEと同じステージに立てて夢が叶ったと伝え、DAIGOも「ここに2人が一緒にいるのが不思議」と言葉を添えた。

そしてハロパおなじみのPenalty Waltzのゲームでは、ペレ草田とナースに扮した分島花音も加わり、HYDEの指揮についていけずに演奏ミスをしたメンバーは謎のドリンクを飲ませられる罰ゲームが。今回はDAIGOが2回失敗したため、ドリンク以外にいきなりのサプライズでBOØWYの「ONLY YOU」を歌わされることになった。バックに布袋(ペレ草田)がいる強みか、DAIGOも氷室京介のパフォーマンスを真似し、無茶ぶりに即座に対応していたのはさすがだった。

そんなお楽しみタイムを挟み、中島美嘉に提供した「GLAMOROUS SKY」をHYDE、DAIGO、手越の3人で歌い、めくるめく<黑ミサ Halloween>の時間はどんどん過ぎていった。



11月24日にリリースされる「FINAL PIECE」のMVフルサイズがスクリーンでいち早く公開され、続いてメインステージに立ったのは手越祐也。今年7月からソロアーティストとして活動を開始し、6ヶ月連続でデジタルシングルをリリース中の手越はハロウィンソング「ウインク」を皮切りに、おなじみの「DoLLs」、「LUV ME, LUV ME」をダンサーたちを迎えて披露。HYDEから「キラキラしている」と褒められたスター性のある存在感と確かなヴォーカル力で観客を惹きつけた。

ここで再び場面転換。アニメーション映像とともにナレーションが流れ、大ヒットムービー『映画 えんとつ町のプペル』の世界に。主人公ルビッチに扮したロザリーナがステージセットの船の上でエンディング主題歌「えんとつ町のプペル」を歌い、やがてプペルに扮したHYDEとデュエット。とっておきの仕掛けが待っていた。風船がついた船は宙へと昇っていき、ゆっくりと客席の上方を飛んで移動していく。メインステージではゲスト出演者たちがスマホライトを振り、それを真似するかのように客席中が光で溢れ、星空の光を演出。船はアリーナのど真ん中に設けられたセンターステージへと着地した。




プペルになりきったHYDEが「空を飛んだ気分はどうでしたか?」と訛った口調で問いかけ、「星ってあるんだなと思いました」と答えたロザリーナに「星はあるんです。ひとりひとりが輝いています。だからひとりじゃないんですね。何も見えなくてもひとりじゃないです。本当に落ちそうで怖かったんですけど(笑)、あなた、いい根性してますね。私はビビリまくりでございます。みなさん、今日は楽しんでもらえましたか? とても素敵な夜になりました」とメッセージ。DAIGOとのやりとりでもハロウィン時の渋谷の街のゴミ問題に触れていたけれど、今回のコンサートにはそんな地球への想いも込められていたのかもしれない。

終わりそうになるコンサートに待ったをかけるように、トロッコに乗ったDAIGOと手越が上手下手に分かれ、フロア内を通ってセンターステージに駆けつけ、ラストナンバーはメインステージとの華やかなセッションとなった「HALLOWEEN PARTY-プペルVer.-」へ。船はHYDEたちを乗せて客席内を回遊し、今宵の素敵なゴーストたちともお別れ。約3時間弱の一大エンターテイメントが大団円を迎えた。


「ハッピーハロウィン! またお会いしましょう」と告げたHYDE。夢のような夜、その幕が閉じられた。

取材・文◎山本弘子
撮影◎緒車寿一/田中和子

■<20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021 Halloween>10月31日(日)@幕張メッセ 国際展示場 9・10・11ホールSETLIST

【ペレ草田 (オープニングアクト)】
【ASH DA HERO (オープニングアクト)】
01. Rockstar
02. THIS IS LOVE
03. HELLO NO FUTURE
04. Everything
【HYDE】
01. HALLOWEEN PARTY-サーカスVer.- (手越祐也)
02. Hide & Seek
03. AFTER LIGHT
04. DEFEAT
05. THE ABYSS
06. VAMPIRE'S LOVE
07. WHO'S GONNA SAVE US
08. DEVIL SIDE
09. BELIEVING IN MYSELF
10. MAD QUALIA
11. Red Swan
12. flower (with DAIGO)
13. HONEY (with DAIGO&手越祐也)
14. GLAMOROUS SKY (with DAIGO&手越祐也)
【手越祐也】
01. ウインク
02. DoLLs
03. LUV ME, LUV ME

15. えんとつ町のプペル (ロザリーナwith HYDE)
16. HALLOWEEN PARTY-プペルVer.- (with DAIGO&手越祐也&ASH DA HERO&ペレ草田&ロザリーナ&分島花音)

■<20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021 Halloween>10月30日(土)@幕張メッセ 国際展示場 9・10・11ホールSETLIST

【ペレ草田 (オープニングアクト)】
【ASH DA HERO (オープニングアクト)】
01. XIMERA
02. DAIDARA
03. PARADE
04. Everything
【HYDE】
01. HALLOWEEN PARTY-サーカスVer.- (手越祐也)
02. AFTER LIGHT
03. Hide & Seek
04. DEFEAT
05. THE ABYSS
06. VAMPIRE'S LOVE
07. WHO'S GONNA SAVE US
08. BELIEVING IN MYSELF
09. DEVIL SIDE
10. MAD QUALIA
11. Red Swan
12. flower (with DAIGO)
13. HONEY (with DAIGO&手越祐也)
14. GLAMOROUS SKY (with DAIGO&手越祐也)
【手越祐也】
01. ウインク
02. DoLLs
03. LUV ME, LUV ME

15. えんとつ町のプペル (ロザリーナwith HYDE)
16. HALLOWEEN PARTY-プペルVer.- (with DAIGO&手越祐也&ASH DA HERO&ペレ草田&ロザリーナ&分島花音)

■<20th Orchestra Concert HYDE 黑ミサ 2021>

▼Halloween
10月30日(土) 千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホール
10月31日(日) 千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホール
▼Wakayama
11月23日(火・祝) 和歌山ビッグホエール
11月24日(水) 和歌山ビッグホエール
https://kuromisa2021.hyde.com

■シングル「FINAL PIECE」

2021年11月24日(水)発売
【初回限定盤 (CD+DVD)】UICV-9341 2,420円(税込)
▼CD
1. FINAL PIECE
2. DEPARTURES -Orchestra ver.-
▼DVD
・「FINAL PIECE」Music Video
・「FINAL PIECE」Music Video Documentary
・DEPARTURES -Live at PACIFICO YOKOHAMA-

【通常盤(CDのみ)】UICV-5088 1,320(税込)
※CD収録内容は【初回盤】と同様

▼購入者対象、抽選型プレゼント企画MONSTERS CHANCE
CD(初回生産分)に封入のシリアルナンバーで応募できます。企画内容は決定次第発表。

▼店舗別購入特典
各CDショップ&インターネット販売サイトにてニューシングルのいずれか一枚を購入された方に特典をプレゼント。
・TOWER RECORDSオリジナル特典
・HMVオリジナル特典
・Amazon.co.jpオリジナル特典
・楽天ブックスオリジナル特典
・VAMPROSE STOREオリジナル特典
・UNIVERSAL MUSIC STOREオリジナル特典
・全国CDショップ・インターネット販売サイト共通特典
特典の詳細は決定次第発表。

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