【ライブレポート】LM.C、必然を運命として引き寄せて

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LM.Cが隔月で行ってきたライブシリーズ<The Best Live Ever>の集大成となる公演、<LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.10- "JUST LIKE THIS!!">を12月10日に神奈川・CLUB CITTA'にて行った。

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なるべくしてなる“必然”。あたりまえだからこその“当然”。思い掛けないような“偶然”。往々にして、わたしたちの人生の中にはそれらがランダムに散らばっているように思うが、LM.Cがこのたび川崎CLUB CITTA'で開催した年内最後のワンマンライヴ<LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.10- "JUST LIKE THIS!!">の中にも、その3つの要素はさまざまなかたちで詰め込まれていたのではなかろうか。

「LM.C的には今日が年内最後のライヴということでね。今日は何もためらわずにライヴって嬉しいな!という気持ちを爆発させながら、ワタシは今この場に臨んでおります。みなさんの中にはライヴが久しぶりだという方もけっこういらっしゃるようですし、それぞれがいろんなハードルを超えたうえでここに集ってきてくれてると思いますが、今夜を2021年をおさめるのにふさわしい最高の夜にしましょう!!」──maya(Vo)


2021年秋に、始動からめでたく15周年を迎えたLM.Cが、今年の4月からスタートさせていたシリーズライヴ<The Best Live Ever>。これは毎回LM.C の楽曲の中から特定の1曲を軸に据えたうえで展開されていくテーマライヴとなっている。今回の<LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.10- "JUST LIKE THIS!!">の場合は、先だってリリースされた15周年記念DVD集『THE MUSIC VIDEOS '06-'21』を制作していく中で“あらたにミュージックビデオを撮って欲しい曲”を募ったところ、ファン投票で1位を獲得し新たに「JUST LIKE THIS!! 2021」としてリレコーディングもなされた当該曲が、ある意味での主役として強い存在感を放っていくライヴとなったわけだ。

ただし、冒頭でのフロントマン・mayaによるMCのとおり、今宵はLM.Cにとって2021年の最後を締めくくるライヴおさめの場でもあり、しょっぱなから“僕らの未来を迎えに行こう”と高らかに歌いあげられた「LET ME’ CRAZY!!」や、10月に彼らにとってのホームタウン・長野JUNK BOXで行われた<LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.9- End of the End<で初披露された新曲「End of the End」など、この場で続々と演奏されていった楽曲たちはどれも主役を食わんばかりの底力を持ったものばかり。

ちなみに、ここまでのシリーズライヴ<The Best Live Ever>において、LM.Cは政府から出されているガイドラインを遵守していくために敢えてセットリストを以前よりもコンパクトにしていたそうなのだが、緊急事態宣言も明けて医療体制などがひっ迫していない現況をかんがみたうえで、今回の公演では楽曲数も以前のレベルまで戻すことが可能になったという。本編中盤では少し懐かしさを感じるメロディとAiji(G)の弾くリリカルなギターソロが映えていた「cosmology」や、これまたライヴで聴くのは久しぶりな気がする「何も始まらなかった一日の終わりに。」と、いわゆるド定番ではないものの隠れた名曲と呼べるようなものたちも、しっかりとライヴの中で堪能することが出来る余裕が生まれていた点が実に印象的だった。


また、以前通りといえば今回のライヴでは後半に向けてのMCでmayaが今さらながらにマンガ『NANA』についての熱弁をふるいだし、「読んでて「バンドっていいな」ってあらためて思ったんですよ。そういえば、15年前にはAijiさんと映画も行きましたよね。で、一緒にブチあがりませんでした?“バンドやりてー!”みたいな」というmayaの言葉に対し、すかさずAijiが「バンドは高一からずっとやってるわ!」とツッコミを入れてみせる一幕も。実にたわいない会話ではあるものの、こうしたLM.Cならではの微笑ましい何時も通りのやりとりが、15年経った今でも健在であるところから、彼らがここまで“続いてきている”理由をあらためて感じ取れたような気がしてならない。

金曜日にだけ演奏されるレアにしてすこぶるポップな「my girl」から始まった後半戦では、ライヴバンド・LM.Cの真骨頂な部分がこれでもかと発揮されていくことになり、まさに真打ち登場の様相で提示された「JUST LIKE THIS!! -2021-」といい、神秘的な空気感とプリミティヴな音とエモい歌が交錯しながら大炸裂した「The BUDDHA」といい、場内ではステージ上のみならず客席側でもあきらかなる熱いバイブスが激しく沸出していくことになった。

「最高です、ありがとうございます!さっき歌った「JUST LIKE THIS!! -2021-」の詞では最後に“It's just meant to be”って歌ってたんだけど、あれは“そうなる運命だったんだよ”みたいな意味で。つまり、我々はなるべくしてこうして集まってるっていうことなんじゃないかなと思うわけです。この15年は良いことも、良いことじゃないなと思えるようなこともそれぞれたくさんあったと思うんですけど、そういうのを全て超えてこうやって集まれていることは運命だと思うし、それを運命と名付けていきたいなと思うので、みなさんどうぞこれからもよろしくお願いします!そして、これからライヴおさめとしてやる次の1曲は、俺たちが間違ってなかったぜっていう曲であり、あのときLM.Cを始めて良かったなって歌うたびに思える曲です。もう1曲、一緒にいてください。俺たちの志!」──maya

この夜の最後に歌われたのは、タイトルの♥部分が“志”を意味しているという「PUNKY ♥ HEART」。2008年にシングルとして世に出たこの曲には“きらめく思い出と変わらない想いは 時が過ぎても色褪せることはない”という一節があり、あれから13年が経ってもこの中に詰まっているものは全く変わっていない……どころか時を経てより輝きを増しているのでは、と感じるほど。

「今日は本当にありがとうございました。今年は隔月で試行錯誤しながらライヴを重ねてきたんですけど、だんだんと世の中の状況もおさまってきて、声が出せないとかはあるにしても少しずつ元通りになってきたなと感じてます。いろんな状況や環境がある中、こうして足を運んでいただいたみなさんには本当に感謝しかありません。俺たちはミュージシャンとして良い音楽を作って、こういうライヴの場所を用意していくことしか出来ないですけど。まぁ、去年も大変だったし今年も大変だったけど、でもみんなも俺たちもよく頑張ったと思うよ(笑)。頑張って今日ここにたどりつけたことが全て、というかね。そして、ここからまた来年に繋がっていったら良いかなと思います。今年の秋から始まった15周年イヤーはまだまだ続いていきますし、近いうちにはきっと良いお知らせ出来ると思うので楽しみにしていてください!来年も引き続き、みなさんと素敵な時間を共有していきたいです。これからもよろしくお願いします!」──Aiji

全ての曲の演奏を終えたあと、Aijiが笑顔で述べたこの言葉からも“コロナ禍であってもなるべくなるよう着実に進んできた”LM.Cの姿を強くうかがえた。なすべきことをなしてきたからこその今があり、それは時にあたりまえのように感じられる当然として解釈することも出来るのかもしれないが、やがてはそこから思い掛けないような素晴らしい偶然を生み出す可能性があって、それこそが実は必然であるのだということを、わたしたちはこれまでのLM.Cがたどってきた軌跡を通じてよく知っている。

なるべくしてなる必然を、運命として引き寄せていくLM.Cの2022年には一体ここからどんなことが待ち受けているのだろうか。彼らが果敢に立ち向かっていく未来に光あれ。

文◎杉江由紀

セットリスト

SE. NO.9
1. LET ME’ CRAZY!!
2. DOUBLE DRAGON
3. Bell the CAT
4. Space Wannabiez
5. We are LM.C!! ~The Anthem of Strong Pop~
6. End of the End
7. METALLY
8. OH MY JULIET.
9. cosmology
10. 何も始まらなかった一日の終わりに。
11. my girl
12. BABY TALK
13. SUPER DUPER GALAXY
14. Avocado
15. JUST LIKE THIS!! -2021-
16. No Emotion
17. Chameleon Dance
18. The BUDDHA
19. PUNKY♥HEART

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