【インタビュー】UNCHAIN、よりソウルフル・ヒューマン・エネルギッシュなカバーアルバム『Timeless Communications』

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UNCHAINの1月19日リリースの新作『Timeless Communications』は『Love & Groove Delivery』3部作以来、約7年ぶりとなるカバーアルバムである。前回のカバーアルバムとの大きな違いはセルフカバー曲が4曲収録されていること、そして3人体制での初のカバー作品であることだろう。東京事変、宇多田ヒカル、松原みき、ブルーノ・マーズなどに加えて、YOASOBIのカバーも収録。多彩な顔ぶれの名曲の数々に挑んでいる。それぞれの原曲の良さを損なうことなく、UNCHAINというバンドの個性と魅力が際立っているところが素晴らしい。セルフカバーの4曲からはUNCHAINの最新の姿も見えてくる。よりソウルフルでよりヒューマンでよりエネルギッシュ。4人から3人になったことも糧として、バンドが前進していることが実感できる作品だ。この新作について3人に聞いていく。

■他のアーティストの曲を演奏したとしても『UNCHAIN』の音楽を届けることはできる

――セルフカバー4曲を含むカバーアルバムを出すことにした経緯を教えてください。

谷川正憲(Vo&G):一昨年、メンバーがひとり抜けてしまったんですが、それがちょうどコロナ禍になるタイミングだったんですよ。“バンドを立て直さねば”と考えましたが、ライブができない状況があり思うようには進みませんでした。2021年3月に『Animal Effect』というアルバムを作ったのですが、再スタートを切ろうにも、やはりライブができず、足踏みしていた感があったんですよ。それで今回、“UNCHAINはしっかり音楽活動をやっています”ということをより広く知ってもらうために、以前好評だったカバーアルバムを作ろうということになりました。

吉田昇吾(Dr):個人的にはもっと早くカバーアルバムを出したかったんですが、間があいてしまっていたので、今回、こうして作ることができて、良かったなと思っています。

谷 浩彰 (Ba&Cho):三人体制になってからは初めてのカバーアルバムなので、制作に入る前はどうなるんだろうかという気持ちもありました。いざ完成してみたら“おっ、いいじゃん! かっこいい作品ができたじゃないか!”と充実感がありました(笑)。3人でも変わりなく楽しくレコーディングすることができたので、今後に向けても、いいきっかけになったんじゃないでしょうか。


――カバーアルバムでありながら、UNCHAINのオリジナリティー、バンドの魅力がしっかり伝わってくる作品だと感じました。

谷川:他のアーティストの曲を演奏したとしても、UNCHAINの音楽性をしっかり出していけば、UNCHAINの音楽を届けることはできるだろうと信じて制作していました。実際にそういう作品を作ることができたと思っています。

――邦洋、新旧問わず、多彩な楽曲が並んでいますが、選曲する上での基準は?

谷川:2013年から2015年までの三部作で、自分たちのルーツ的な音楽はかなりやったという感触があったんですよ。それから7年経つと、新しい世代がいっぱい出てきてその才能に刺激を受けたので、今回は新しい世代の音楽にも挑戦しました。以前は新しく出てきた音楽に対して、変なプライドが邪魔して素直にリスペクトを表せない部分もあったんですよ。でもこれだけ時間が流れると、新しいアーティストへのリスペクトを素直に出せるようになってきました。今回でいうと、YOASOBIさん。デジタルとのハイブリッド感がすごくて、近未来的なところが新鮮でした。


――谷さんと吉田さんは選曲に関しては?

谷:みんなで案を出したんですが、自分の好きな曲を演奏できるのが楽しかったですね。

吉田:最終的にはいろいろなタイプの曲が入って、良いバランスになったんじゃないかと思います。

――カバーをする上でこだわったのはどんなことですか?

谷川:少しでも原曲へのリスペクトを忘れてしまうと駄目だなと思っていました。楽曲に対する配慮と理解とリスペクトは不可欠なので、細心の注意と敬意を払って制作にのぞみました。オリジナリティーを考えた場合には、壊していく部分も必要なんですが、メロディラインへのリスペクトは欠かせないものだと考えています。本家のリズムに対して、どういうリズムならば、原曲のメロディを崩さずに、新鮮にリピートできる楽曲にすることができるか、ということはかなり考えました。

吉田:僕はアレンジはしていませんが、壊す部分と活かす部分のバランスが難しいだろうと思います。今回のカバーで特に大変だったのは歌ですよね。これだけのタイプの違う歌を歌い分けるのは、すごいなぁと感心していました。


▲谷川正憲(Vo&G)

――個々の曲についてもうかがいます。1曲目の「キラーチューン」は東京事変のカバーです。過去にも椎名林檎さん、東京事変のカバーをされていますが、バンドの曲をバンドでカバーするという時点で、気合いが入っていると感じました。

谷川:「キラーチューン」はオリジナルがムチャクチャすごいんですよ。多分、一発録りだと思うんですが、聴けば聴くほど、奇跡的なテイクで、かなりハードルが上がってしまいました。

――それでも挑戦することにしたのは?

吉田:まず、メンバー全員が東京事変と椎名林檎さんの音楽が大好きであるということがあります。

谷川:UNCHAINには林檎さんの持っている毒っ気みたいなものがないんですが、林檎さんの歌を歌うことによって、その要素を出せて、プラス、UNCHAINの音楽として届けることによって、違った形でマッチする音楽になるんじゃないかと考えました。

――「キラーチューン」は原キーで歌われていますが、声の表情が変わると、世界観も変わりますね。

谷川:林檎さんの曲はギリギリ出るくらいのキーなんですが、「キラーチューン」は特に高くて。サウンドプロデュースの名村武さんから、「原キーでいくでしょ」と言われて頑張りました(笑)。

――オリジナルも多彩なバンドサウンドになっていますが、UNCHAINのカバーもファンクやフュージョンなど、多彩かつ自在なバンドサウンドが新鮮でした。

吉田:リズムはいろいろ変わっていますよね。

――バンドのたたずまいも伝わってきました。

谷川:スリーピース感も出ているので、3人になったUNCHAINの新しい音楽が垣間見えるカバーになったのではないかと思います。


▲吉田昇吾(Dr)

――エンディングもかっこ良くて、スリーピースバンドの魅力が詰まっていると感じました。演奏しながら感じたことはありますか?

谷川:必死で演奏していたので、楽しむ余裕はあまりありませんでした。本家とはまた違った新鮮な要素を感じながら演奏できたので、後になって振り返ってみると、楽しみながら演奏できた部分もあったのかなと感じました。

――ベースソロも気持ち良く入ってきました。

谷:カバーではいつもお世話になっている椎名林檎さん、東京事変なので、いつもどおりリスペクトを込めてやらせていただきました。ベースソロっぽいところが聴かせどころかなと思います。

――宇多田ヒカルさんのカバーである「あなた」は歌の中で描かれている愛と、谷川さんの曲への愛とがダブルで伝わってきました。

谷川:この曲はとても好きな曲なんですよ。最初に聴いた時から衝撃を受けて、好きすぎてアレンジも何も変えたくないという思いがあったので難しかったのですが、この曲への自分なりの愛を形にすることができたかなと思います。

吉田:谷川の歌っている姿を見ているだけでも、この曲が好きなんだなということが伝わってきましたね。丁寧に大事に歌っているなあということは感じました。

谷川:原曲でドラムを叩いているクリス・デイブは超絶テクのイメージがありますが、普通のビートがすごくて、この曲にバチッとはまっていたので、そこは壊したくなかったんですよ。それで当初は、「クリス・デイブと同じように叩いて」と吉田にお願いしていました(笑)。

吉田:それでこう言ったんですよ、「まったく同じように叩いても、一緒にはならないですよ」って(笑)。ハードルはとても高かったのですが、やりがいのある曲ですし、楽しんで演奏することができました。

谷川:ドラムもベースも頑張りましたね。

谷:あまりUNCHAINのオリジナル曲にはないリズムパターンだったので、リズムを体に入るまでは苦労しましたが、かっこよく録れたので良かったですね。


▲谷 浩彰 (Ba&Cho)

――サム・スミスの「I'M NOT THE ONLY ONE」もグルーヴィーなカバーです。

谷川:この曲もとても好きな曲なんですよ。原曲はシンプルなループミュージックなので、どうアレンジするか考えどころでした。最初にループっぽいジャジーヒップホップみたいなトラックだと見せかけておいて、実は物語のあるトラックという構成にしました。

吉田:この曲がもっとも強弱のある曲になっていたので、ドラムもそこを意識して演奏しました。

谷:この曲は跳ねの具合が難しかったですね。跳ねた中で休符を出すところに苦労しました。最終的にはメロディとマッチするリズムを作ることができたんじゃないかと思います。

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