【ライヴレポート】LUNA SEA、パンデミックを乗り越えて30周年ツアー完遂「そう遠くない未来にまた5人で」

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LUNA SEAが1月31日(月)および2月1日(火)、大阪国際会議場メインホールにて<LUNA SEA 30th Anniversary Tour 20202021 -CROSS THE UNIVERSE->の最終公演を開催した。2020年2月1日にスタートし、2年間におよんだ<CROSSツアー>は、パンデミックなど様々な困難を乗り越えてついに完結。活動休止前ラストとなった大阪ファイナル2DAYSのレポートをお届けしたい。

◆LUNA SEA 画像

パンデミックの影響で延期を繰り返し、波乱万丈で進んで来た結成30周年記念全国ツアー<CROSS THE UNIVERSE>を遂に完走したLUNA SEA。2022年1月8日(土)および9日(日)にはさいたまスーパーアリーナにてグランドファイナルを実施。そしてこの度、1月31日(月)および2月1日(火)の大阪公演がオーラスとなった背景には、大阪国際会議場メインホールがワクチン接種会場に指定されて使用不可となり、再々延期を余儀なくされた、というハプニングがある。またRYUICHIはこの公演を最後に、ツアー中不調と闘ってきた声帯の手術に踏み切り、バンドは一時活動休止することを発表している。

しかし、これは単なる悲劇ではない。最終日の2月1日は、2020年に埼玉・三郷でこのツアーが開幕したまさに同じ日付であり、新月でもあるという奇遇。悲運に見舞われるたびその苦しみを強さに変えて来たLUNA SEAというバンドらしい、2年にわたる物語の最終頁に何が起こったか。大阪で目撃した光景の、ほんの一部ではあるが、ここにお伝えしたい。


コロナの感染拡大はとどまるところを知らず、大阪はまん延防止等重点措置の対象地域に。果たしてライヴは開催されるのか?と危ぶまれる中、初日の幕は無事に上がった。1曲目「LUCA」からファンとメンバーは頭上クラップで一体感に満ちていく会場。「待たせたね、みんな!」とRYUICHIは語り掛け、2年越しで会うことのできた大阪のファンに朗らかに挨拶した。過酷な状況の中、足を運んだ観客に繰り返し感謝を述べ、「俺たちにとってはホームであり、ライヴは命、人生なので。不要不急ではない」などとRYUICHIはコメント。RYUICHIを筆頭にメンバーは、感染防止対策をした上でライヴを行ってきたことへの誇り、音楽の灯を消さないよう続けて来た活動への強い気持ちを何度も口にしていた。

レポートでは繰り返しお伝えして来たように、本ツアーは感染防止対策として20分間の換気休憩を設ける二部形式で実施。30周年記念アルバム『CROSS』の楽曲群を中心とした第一部に続き、再開した第二部では「STORM」「TRUE BLUE」など'90年代のヒット曲を畳み掛けていく。本ツアーでは各会場で異なるレア曲を披露するのが恒例となっており、歴代披露曲からファン投票を募って上位1、2位を選出、さいたまスーパーアリーナで披露した。大阪ではその投票結果を活用して3、4位の曲をチョイスし、DAY1には「TWICE」を届けた。


MCでRYUICHIは、「最初に(先輩である)AIONに呼んでもらって初めて地方遠征したのが大阪」と、大阪はLUNA SEAの聖地であることを明かした。アンコールのメンバー紹介では、「このような事態の中、集まってくれて本当にどうもありがとう」と頭を下げた真矢。ソールドアウトしているのだが「来ない」という決断をしたファンも少なくなく、空席にも思いを馳せると、「一緒にライヴをしていると思って盛り上げましょう」とも。「MCで僕は泣いてばっかりで……」とこの日も感極まっており、照れ隠しするかのように、大阪でのデビュー当時の思い出を深掘り。1部屋にメンバー全員がひしめいて泊まった下積みエピソードを笑い話として場を和ませた。

真矢の選んだ話題にツッコミを入れて笑いながらJは、「2年間、コロナの関係でいろんなことが起きたよね。でも視点を変えてみると、30周年ツアーを2年間、みんなに祝ってもらってたんだよ? 俺たちは本当に幸せなバンドだね!」と語った。INORANは「初遠征したLUNA SEAのライヴも大阪で、30年を越して、いろんなことがあって2年間を超えて……最終ラウンドで大阪があるっていうのはすごい運命を感じます」とコメント。


SUGIZOは「遂にここまで来たね。良くも悪くも波乱万丈で、これほど人生の中で永遠に記憶に残るツアーってもうないと思うんだよね」と感慨深そう。「魂で、全身全霊で表現をしています、オンヴォーカル、RYUICHI!」とのSUGIZOのコールで紹介されたRYUICHIは、「たくさんのみんなのパワーをもらって歌っていられるっていうぐらい、ギリギリのところも、もちろんあるんですけど」と率直に自身の状況を語りつつ、大阪で初の地方遠征を果たして以降、バンドが大きく育っていった軌跡を振り返って、しみじみと語っていく。「ゼロだったところを今思い返せば、日々幸せなことしかないですね。光しかない。幸せに向かって共に歩んでいると思います」と深い想いを滲ませた。「もっともっとLUNA SEAはカッコいいバンドになれると思うので、絶対すごいグルーヴのカッコいいロックバンドになっていくと思うから、これからも共に、ファン……であってもLUNA SEAのいちメンバーとして、みんなも共に時代を刻んでください」とオーディエンスに語り掛けると、大きな拍手が送られた。


真の最終公演となった2月1日。初日同様「LUCA」で幕開けると、「You’re knocking at my door」に代わって「Pulse」を、「静寂」の位置に「anagram」を、「THE BEYOND」は「悲壮美」に置き換える形で、アルバム『CROSS』収録曲を2日間掛けて網羅していく。全メンバーについて言えることだが、特にRYUICHIの、既に完成形を手にしているはずのアーティストの、更なるポテンシャルを引き出す楽曲揃いであったことを再認識。Jが「PHILIA」でピアノを披露したことも然り。各メンバーのソロ活動が盛んなことも彼らの特徴だが、LUNA SEAというバンドでこうして集う時、それぞれが新しい魅力を引き出されて輝き、散らす火花が消えることはないのだろう。

DAY2のレア曲は「BREATHE」。まさしく風が吹き抜けるような心地よいアンサンブルに身を委ね、RYUICHIは仰け反るような体勢で渾身のビブラートを響かせる。丁寧に一言一言歌唱した「I for You」は、メンバーが互いにアイコンタクトを取ってクレッシェンドしたりテンポを落としたりと、想いが一つに混じり合う熱いパフォーマンスを届けた。「ROSIER」ではファンのシンガロングを求められないため、「心の声で!」とRYUICHIが叫び、INORANがコーラスを熱唱。「行くぜ、大阪!」とシャウトしてJがマイクスタンドを放り投げるパフォーマンスには、声は無くともオーディエンスがざわめき、心湧き立たせる気配を感じた。


アンコールの1曲目を飾ったのは、2020年4月にいち早く配信リリースし、医療従事者やフロントラインワーカーへの感謝、そして、ツアー中断でたとえ会えなくても気持ちは繋がっていることをファンに示した「Make a vow」。真矢のドラムセットの周りに、この曲ではギターを奏でるRYUICHI、SUGIZO、J、INORANが集まって見つめ合いながら音を奏でる場面は感動的である。

続くMCで、真矢は「長い長いツアーになりました。この2年間、世間的にはすごくつらいことだったと思うし、僕たちもツアーを決行するのかどうか、すごい迷いもあったんだけど……医療従事者の方とか、いろんな人に助けられてここまで来られたんですけど」と、自身もコロナ感染を経験した真矢らしい言葉を、切々と紡いでいく。「でもこの2年間、ずっとずっと俺たちはみんなのことを考えられて、みんなはずっとずっとLUNA SEAのことを考えられて、ある意味絆が深まった、ものすごい幸せな2年間だったかもしれないね」と述べると大きな拍手が。「これからちょっとだけLUNA SEAはお休みしますけど……」と活動休止に触れて真矢が言葉に詰まると、励ますように更に大きな拍手が送られた。「でも、また俺たちとみんなの間で絆が深まる大事な時間だと思って、また再会する日まで、毎日笑顔でその日を迎えましょう」と挨拶。しんみりとしたムードになるのを打ち消すように、真矢は「今日本番前、RYUICHIさんから30何年越しにドーナツをいただいたんです」と切り出すとRYUICHIは爆笑。「30何年前は“メンバー5人に4つ”だったのに(※最後にLUNA SEAに加入したRYUICHIが、明らかに足りない数のドーナツを差し入れたという、ファンの間では周知の伝説がある)、今日は“メンバー1人に4つ”だったのよ!」と明かして会場を沸かせた。


「みんなのこと、本当に心から愛してます!」と真矢が締め括り、続くJは「ドーナツもらったね!」と笑顔で受けると、「そう考えてみると本当にアッという間の30年」とこれまでの歴史を振り返った。「いろんな意味で刺激とエネルギーをもらった2年間」とツアーを回想し、「みんなとの絆というものを改めて感じたし、瞬間というものの大切さを感じた」と語った。「RYUが喉のケアをするために、これからちょっとバンドはお休みしますが、いつライヴでまた会えるか分かんないけど、その時は今まで以上に盛り上がっていこうぜ!」と語り掛けた。INORANは、「ツアーの初日(と同じ日)に最終日を迎えるって、すごいよね、これね。初めて来たところも大阪だし、いろいろあって……今日っていうスペシャルな日があって。壮大なオペラを見ているような気がする。ここでツアーを終えることができてとてもとても幸せです」と想いを溢れさせた。「僕らのLUNA SEAという音楽、この5人の生き様は、僕ら5人もそうだしスタッフもそうだし、みんなの心の中に鋭く刺さった傷、矢だと思ってください。それは不思議な痛みもあり、幸福もあります。それがすべてかもしれないし、それでいいと思います。本当にどうもありがとう」と彼らしい表現で想いを届けた。

SUGIZOは、「この2年間、本当にどうもありがとうございました。俺たちもみんなもよくやったと思う。自分たちを誉めてあげよう」とコメント。「そして、最終日の今日、みんな知ってる? 新月なんだよ。終わりというのは新しい始まりなので。これから俺たちがいつまで命があって、いつまでステージに立てる状態でいられるか分からないけど、命ある限りLUNA SEAという旅を続けていきます。みんなも旅人の仲間だからさ。これからも、生涯一緒に歩んでいこうね」と呼び掛けた。いつ戻って来られるのか時期は明示しなかったが、「7年待ってくれたみんなだから。もう7年は待たせることはないけどね」と笑うと、それを聞いて何度も頷いていたRYUICHI。「波乱万丈の、通常では絶対体験できない素晴らしい2年間でした。どうもありがとう大阪、心から愛しています」との挨拶で締め括った。

「全身全霊で歌っています、LUNA SEAの誇り!」とSUGIZOから紹介されたRYUICHIは、「みんなで勝ち得た奇跡です」とツアーの完走について語り、感無量といった表情を浮かべ、「絶対に最後まで走り切るんだ」という想いがあったと明かした。「僕はこの後、オペをしますが、アスリートのように確実なプログラムを組んでいます」と術後の再建計画を明かした。「どういうふうにやっていったら一番“早く”ではなく、一番完璧に強く戻って来られるか、ということを主軸に話を進めていきます」とヴィジョンも明示。「きっと、そう遠くない未来にまた5人で、みんなの前に立てると思います」と力強い言葉を述べると、メンバーはそれに同意するように音を鳴らした。


「WISH」で会場の心を一つにし、鳴り止まない大拍手をしっかりと聴き届けてから、RYUICHIは「このバンドのすごいところは、みんなのすごいところは、常に今よりも強くなろうとしてるってことだと思うんだよね。優しくなったり笑顔になったり、強さっていっぱいあるからね。弱さも認めて、そして自分たちの未来を掴んでいきましょう」と深い含蓄のある言葉を放った。最後に、アルバム『CROSS』を締め括る抒情的なナンバー「so tender...」を送り届けてツアーは全行程を終了した。

「大阪、愛してるよ、バイバーイ!」と手を振ってRYUICHIは笑顔で挨拶。ステージの両端へ小走りで駆けていき、ファンに大きく両手で手を振っていた姿が瞼に焼き付いている。メンバー同士は互いにハグし、肩を抱き合って労い、2年の日々を讃え合っているように見えた。


それがいつになるのか、詳細な時期は誰にも分からないが、必ずまた会おうという約束を交わした大阪でのツアー最終公演。様々な困難に見舞われながらも、それを乗り越えて来た2年間という濃密な月日。より強固になったメンバー間、そしてスタッフ、何よりファンとの絆は、再会を実現するための何より有効な切符。LUNA SEAの旅路はこれからも続いていく。

取材・文◎大前多恵
撮影◎田辺佳子

■<LUNA SEA 30th Anniversary Tour 20202021 -CROSS THE UNIVERSE->2022年1月31日(月)@大阪国際会議場メインホール SETLIST

【第1部】
01. LUCA
02. Closer
03. You're knocking at my door
04. PHILIA
05. 宇宙(そら)の詩(うた)~Higher and Higher~
06. 静寂
07. BLACK AND BLUE
08. THE BEYOND
【第2部】
01. Déjàvu
02. STORM
03. TRUE BLUE
04. TWICE
05. I for You
06. ROSIER
07. TONIGHT
【ENCORE】
01. Make a vow
02. WISH
03. so tender...

■<LUNA SEA 30th Anniversary Tour 20202021 -CROSS THE UNIVERSE->2022年2月01日(火)@大阪国際会議場メインホール SETLIST

【第1部】
01. LUCA
02. Closer
03. Pulse
04. PHILIA
05. 宇宙(そら)の詩(うた)~Higher and Higher~
06. anagram
07. Hold You Down
08. 悲壮美
【第2部】
01. JESUS
02. DESIRE
03. SHINE
04. BREATHE
05. I for You
06. ROSIER
07. BELIEVE
【ENCORE】
01. Make a vow
02. WISH
03. so tender...

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