【ライブレポート】Nothing's Carved In Stone、<ANSWER TOUR>完遂「絆みたいなものを感じました」

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「メッセージとか、そういうものは全部曲に込めたつもりです。『ANSWER』は最高傑作だと思ってるので、これからも是非聴いてください」──村松拓(Vo)

◆Nothing's Carved In Stone 画像 / 動画

アルバム『ANSWER』をひっさげて2021年からスタートしたツアー<ANSWER TOUR 2021-22>ファイナルであり、初ライブ記念日の2月27日を目前に控えた2月25日。Nothing's Carved In Stoneは、豊洲PITのステージで堂々と宣言し、まさにその言葉どおり、MCや曲間のインターバルの時間を限りなく削ぎ落とした圧巻のライブを展開した。それは、ストイックなライブを繰り広げていた結成初期を思い出させるものでありつつ、ここまで共に歩いてきた今の4人だからこそ伝えられる熱いエモーションに満ちたものだった。たしかな現在地と強い意志を示した一夜のレポートをお届けする。


インダストリアルなSEとともに登場して4人が位置につき、バンドロゴのバックドロップが掲げられた瞬間。照明で真っ赤に染まったステージに、『ANSWER』の1曲目「Deeper,Deeper」の太いギターリフが響きわたる。生形真一(G)の音に牽引され、大喜多崇規(Dr)のタイトなリズムと日向秀和(B)のドライヴ感溢れるベースラインが放たれると、会場が一気にNothing's Carved In Stoneの色に染まる。そこに村松がギターを掻き鳴らしながら力強いメロディを乗せていき、1曲目からエンジン全開のアンサンブルが完成。

豊洲PITは構造上、特に音圧が直接伝わりやすい会場なこともあり、ビリビリと震えるような低音を体で受け止めて4人の音を浴びる感覚だ。それぞれの個性溢れる音が独立して響きつつ、バンドとしての塊感が凄まじい。これぞNothing's Carved In Stoneという気持ちが込み上がると同時に、渦巻くグルーヴの迫力も一体感もさらに増していることに驚かされた。


続く「Bloom in the Rain」も、生形のヘヴィなリフを軸に推進する楽曲。伸びやかなメロディとともにスピードを上げ続け、そこから「Spirit Inspiration」「白昼」という名リフ曲に繋いでいくセットリストがお見事。過去の楽曲では各パートがより複雑なフレージングで絡み合い、「Spirit Inspiration」での日向のスラップベースソロや、「白昼」で大喜多がスポットライトを浴びてアグレッシヴなプレイを見せた直後に生形がソロを奏でるなど、次々にハイライトシーンが訪れる。完全に攻撃モードだ。

『ANSWER』リリース前までのライブからは、前作アルバム『By Your Side』で強化されたメロディアスな側面やポップなシングル曲群、さらにコロナ禍中のムードもあって、優しさや頼もしさが伝わってくる印象があった。そこから『ANSWER』という作品を生み出し、久しぶりのアルバムツアーを経て、彼らがまた一歩大きく先へ進んだことがわかる。寄り添うだけではなく、自ら道を切り拓くための強さ。そうして掴んだ“答え”は、言葉よりも研ぎ澄まされた音とグルーヴでこそ伝わるはず──Nothing's Carved In Stoneらしい選択が潔い。


4曲を怒濤の勢いで披露したあと、「帰ってきました、Nothing's Carved In Stoneです。『ANSWER』ツアーファイナル、最後までついてきてください! よろしく!」と軽い挨拶を挟んで「Rendaman」へ。イントロで日向がモンキーダンスして煽るダンサブルな「Rendaman」(2010年発表『Sands of Time』収録)から、『ANSWER』の「No Turning Back」のハネたビートを経て、緻密な構成の変拍子曲「(as if it’s)A Warning」(2014年発表『Strangers In Heaven』収録)になだれこんでみたり、この日のセットリストは全編通して『ANSWER』の楽曲と過去の楽曲の繋ぎが巧みだった。息の合ったキメから間髪入れず次の曲に入るスムーズな流れと気持ちよさは、13年以上のキャリアの中で培ってきたメンバー同士の阿吽の呼吸がなせる技。さらに、最新のサウンドで作り上げた楽曲と、その刺激を受けて過去の楽曲が古くなるどころか進化している。それは、移り変わる時代の中でも、“4人が歌と音を重ねた瞬間に生まれる奇跡”が原点にあり続けるからだろう。その奇跡の純度は、むしろ増しているように思う。

そんな中、村松のアカペラから始まって空気をガラリと変えたのは「Flame」。ゆったりとした横ノリのグルーヴに包み込まれ、メロディに呼応した照明の演出が美しい。タイトルどおり、青い炎が燃えるような静かな熱さが会場に拡がっていった。そのまま、村松がアコギに持ち替えての「We’re Still Dreaming」。アグレッシヴなだけではなく、こうして隙間や余白で魅せるアレンジは近年のNothing's Carved In Stoneならではだ。浮遊感のあるサウンドに乗せ、丁寧に言葉を紡ぐ歌声が心に染み渡る。生形がアウトロで鳴きのギターソロを響かせ、ひときわエモーショナルな余韻を残した。


「めっちゃ楽しい!」と笑顔を見せた村松が「ここからノンストップで行きたいんだけどいいですか? ついてこいよ、行くぞ!」と気合を漲らせ、後半戦がスタート。『ANSWER』からの「Recall」「Impermanence」と、「Like a Shooting Star」「Out of Control」などのキラーチューンを織り交ぜながら、宣言どおり休む暇なく畳みかけていく。

村松と日向が向かい合って弾いたり、生形がステージ前に出て煽ったり、ますます熱を帯びるパフォーマンスに、手拍子やジャンプで応えるオーディエンス。メロディに身を委ねる人やリズムに合わせてノる人、楽器陣のソロに反応する人など、それぞれの楽しみ方をしているのが見てとれるのがNothing's Carved In Stoneのライブのおもしろいところだ。熱狂が高まっていくフロアとステージ上にあったのは、誰しもが自由に音楽を全力で楽しんでいるという多幸感にほかならない。ドラム台に集まり、息を揃えて「Out of Control」をバチッと締めた4人の姿に、盛大な拍手が湧き起こった。

そして、「あと2曲、みんなの名前を呼ぶつもりで歌います」と贈られたのは、ポップなメロディが響く「Beautiful Life」から、“今を生きる 前を向いて”というポジティヴな思いが刻まれたバラード「Walk」。降り注ぐ4人の音色から、現状に対する想いも、ライブに対する想いも、オーディエンスに対する想いも、より深く伝わってくる。一歩一歩踏みしめていくようなグルーヴに導かれ、目映い光に包まれるエンディングだった。


大きな拍手に呼ばれ、「アンコールやらせていただきます!」と1stアルバム『PARALLEL LIVES』からの「Diachronic」で幕を開けたアンコール。

「マスク越しにみなさんの表情を探ることにもだいぶ慣れて──最初のうちは“ステージにも伝わってますよ”とか言ってたんですけど、だんだんそんなことも言う必要がないくらい、通じ合えるようになってきて。自分たちがやっていることも間違ってないし、ここに来てくれてるみんなのことも信頼して、もっとやっていっていいんだなって思えたツアーでした。ちょっとクサいけど、絆みたいなものを感じました。別に上からじゃなく、みんなを引っ張っていけるようにおもしろいことをいっぱいやっていくんで、これからもNothing's Carved In Stoneをよろしくお願いします!」──村松拓

この日、唯一と言える長めのMCで決意を語った村松に拍手が鳴り止まず、「大丈夫、伝わってるから(笑)」と応える微笑ましい一幕も。そして、「また会いましょう。Nothing's Carved In Stoneでした!」と告げて始まったのは「November 15th」。何度もライブを締め括ってきた珠玉のバラードが、これからの未来へ繋がる1曲として改めて輝きを放つ。想いをひとつにして届けたあと、メンバー全員が深々と礼をしてステージを降りた。


ロックバンドとして屈指の実力と存在感を誇りながらも、なお進化を求めて攻める生き様をライブハウスに刻みつけた4人。まだまだ明るいとは言えない世界で、唯一無二の道を突き進む彼らの音が多くの人の希望になっていくはずだ。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎西槇太一

■<ANSWER TOUR 2021-22>2月25日@豊洲PITセットリスト

01. Deeper, Deeper
02. Bloom in the Rain
03. Spirit Inspiration
04. 白昼
05. Rendaman
06. No Turning Back
07. (as if it’s)A Warning
08. Wonderer
09. Flame
10. We’re Still Dreaming
11. Milestone
12. Beginning
13. Recall
14. Like a Shooting Star
15. Impermanence
16. Out of Control
17. Beautiful Life
18. Walk
encore
en1. Diachronic
en2. November 15th


■<Bring the Future>

4月9日(土) 大阪城野外音楽堂
open16:00 / start17:00
4月20日(水) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
open17:30 / start18:30
▼チケット
指定席:6,400円


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