【インタビュー】T-BOLAN、森友嵐士が語る28年ぶりオリジナルアルバム「愛というキーワードは絶対外せない」

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T-BOLANにとって6枚目のオリジナルアルバム『愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~』が世に誕生した。なんと28年ぶりという長過ぎるブランクを経ての登場だが、何より特筆すべきは、かのT-BOLANと何ら変わらない熱量とパッションが溢れ出ているという事実だ。レイドバックするわけもなく、過去の栄光をコスるような作風があるわけでもなく、全力で前を向きながらも、若さと勢いと情熱で走り抜けていたあの頃のT-BOLANそのまま同じエネルギーが満ち満ちている。ある種の奇跡がここに渦巻いているわけだ。

◆森友嵐士 'T-BOLAN) 画像

新作『愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~』の資料には、「90年代に俺たちの音楽を聴いてくれたみんなが、“やっぱT-BOLAN、期待うらぎらないよね”って感じてくれる作品に仕上がっています」と森友嵐士の言葉が綴られている。まさにそのとおり。健全なパワー、前向きなエネルギー、そして希望を照らす眩しい情熱。現在の世の中に最も必要であろうエモーションは、今T-BOLANから放たれている。そしてその『愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~』は、「愛は何もかも すべてを超越する能力がある」と語ったアルベルト・アインシュタインからのメッセージを音楽で表現した作品でもある。アインシュタインの誕生日の3月14日に発売を合わせたニューアルバムへの思いを、森友嵐士から聞いた。

   ◆   ◆   ◆

■もうミラクルだよね
■アインシュタインに導かれている感じ

──ジャケットのモデルを務めたマーク・アインシュタインとは釣り友達だった…って、どういうことですか?

森友:たまたまなんですよね。最初はアインシュタインの一族だってことで会ったんだけど、釣り仲間として「マーク、マーク」って呼んで一緒に遊んでたから、アインシュタイン一族ってことはすっかり忘れてて、だから『愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~』の曲を作っていたときも思い出してなかったんですよ。


──まずは作品作りに集中していたんですね。

森友:曲作りから始めたんだけど、納得できるものになかなか辿り着かなくて。一番大きな理由は“自分の作る曲に飽きてる”ってやつで、作っても作っても歌詞を乗せたいという気持ちにならないっていうか。

──自分にとって新鮮味がない?

森友:求めているものと自分から出てくるものとにギャップがあって、“これいいね”ってワクワクする、“早く歌ってみたい”とか“早く言葉をのっけてみたい” “完成を見てみたい”みたいな感じにさせてくれるメロディがなかなか出てこなかった。“またこんな感じか…”みたいな。歌詞を乗せる作業ってすごい時間と労力がかかるから、気に入らないメロディに対してその労力をかけたくないって感じ。初めて自分の才能に限界を感じて、作るものに自分が納得できなくて、作っても作ってもゴミ箱行き。

──そうだったんですね。

森友:違うものが欲しいと思って、五味にも「最近いいのない?」みたいな。で、送られてきたデモの中に、この曲のメロディがあって、そこから「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」が生まれてきた。

──歌詞の世界はどういうものを?

森友:テーマは最初から決まってたんです。1990年代は日々気になったことを拾い上げてはそれが作品に変わっていくような、ほんとに日常的なことで他愛のないこともあったり、感情って意味ではラブソングが多かったけど、コロナ禍の期間に出すものとしてはそれじゃ足らないよね。

──パンデミックってことを考えると?

森友:そう。俺はこのパンデミックの中で何をメッセージにしたいんだろうって思ったとき、やっぱ浮かんできたのはひとつ“大きな愛”なんですよね。愛というキーワードは絶対外せない。ただ、愛ってすごく広いでしょう? その中でどこなのかがなかなか定まらなかった。


──絞り込む必要があったのでしょうか。

森友:今まで作ってきたものも愛だしね。アルバムを作る前、今一番届けたいのは「愛のために 愛の中で」(14thシングル 1995年11月20日発売)だなって思って、“なんで25年以上前に作っちゃったんだろ…書き下ろすべきは今じゃん”って(笑)。“これを超える愛の歌を、俺、どうやったらできるだろう?”って思ったのが最初だったかな。曲もまとまらず描くキャンパスもできなくて、歌詞の世界も愛という大きい世界で回答が見えないまま、ずっとそのことばかり考えていた。そんなある日、“あれ、そういえば十数年前にアインシュタインが娘に残した一通の手紙があったな”(※諸説アリ)ってふと思い出したんです。

──ふと?

森友:ふとですよ。ひらひらっと紙が落ちてきたみたいな。十数年前に読んだきりで一度目にしただけだから、そのことを人に話したことも多分ないと思う。けど、頭には残ってたんですよね。「愛のために 愛の中で」「ありがとうのうた」に続く、これを超える何かでT-BOLANとして発表するのにふさわしいものをずっと探していて、そこに浮かんできたのがアインシュタインの娘への手紙で“これだな”って思ったんです。

──そこから「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」が生まれた。

森友:同時に、T-BOLANのメッセージじゃなくてやっぱりアインシュタインのメッセージとして出したいなと思ったんです。パイプ役になりたいっていう。森友嵐士が愛を語るより、ここに記されてる愛の表現はアインシュタインが言ってるほうが全然強いから。あの物理学者が最後に「愛は無限じゃん、俺はこれを証明できなかったけれどもこれは確証だ」っていう。数式はないけれど、命の幕を閉じるときにこの愛の方程式を最後まで書きたかったんじゃないかな。

──素敵なエピソードですよね。

森友:それを娘に託していたわけ。このことを歌に表現して、“え、アインシュタインそんなこと言ってるんだ”って話にしたかった。だから最初から“~アインシュタインからの伝言~”というサブタイトルが付いている。そんなことがあって、この曲が誕生してアルバムの軸が見えた。半分ぐらいは復活してから出来上がったものが入っていて、「愛の爆弾=CHERISH ~アインシュタインからの伝言~」ができたことで、他の曲がバババっとできてきた。アルバム制作の流れはそんな感じでしたね。


──どのタイミングで、釣り仲間の存在を思い出したんですか?

森友:この曲ができて、もうアルバムのイメージもあったわけですよ、タイトルは『愛の爆弾=CHERISH』、ジャケットはアインシュタイン。本人そのものをジャケットに使うには超えなきゃいけないハードルがいっぱいあって時間的にも厳しいから、アインシュタインを想起してくれればOKな舌出しデザインで制作したの。実際いい感じに出来上がったんだけど、そこでふと思い出したの。“え、ちょっと待って。俺、もしかしたらアインシュタインに友達がいるかもしれない”って。

──ビックリ発言ですね(笑)。

森友:スタッフも「どういうことですか?」「いや、確かマーク…」って。で、マークに電話して「マークってさ、アインシュタイン一族なの?」「そうだよ。最初に話したじゃん」「本当にそうなの?」「ほんとだよ」って(笑)。「どうしたの?急に」「ひいおじいちゃんが娘に宛てた一通の手紙って知ってる?」「もちろん知ってる、知ってる」って。そこで、「今、その『愛の爆弾』が必要だよね、それを曲にしたんだよ、だからジャケットにマークの顔を使いたいんだ」って言ったら「ワオ!いいね、もちろんオーケーだよ」って。

──そのテンションの高さがジャケットに表れてるんですね。

森友:そうそう。笑ったらアインシュタインにそっくりなんだよね。そもそも初めて会ったとき、お互いに釣りが好きなことがわかって、釣った魚の写真を見せ合いしてたら、英語しかしゃべんなかったのに釣りの話になると日本語になるわけ。「え、マーク日本語しゃべれるの?」ってみんなびっくり。楽しい話になると日本語が出るっていう。

──アインシュタイン一族よくわかんねえな(笑)。

森友:それで仲良くなったわけ。で、今回速攻でスケジュール切ってデザイナーとふたりでマークのとこまで飛んでいって写真撮って作ったのがこのジャケット。

──なんかミラクルを感じますね。

森友:もうミラクルだよね。アインシュタインに導かれている感じ(笑)。

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