エイドリアン・シャーウッドによる新プロジェクト“DUB NO FRONTIERS”が7月22日にREAL WORLD RECORDSからリリース

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現在活動している素晴らしい国際的女性アーティストたちがダブで団結し、祝福するためのプラットフォームであり、このプロジェクトの発案者であるOn-U Soundのプロデューサー=エイドリアン・シャーウッドが、英国のみならずいろいろと旅している間に知り合った世界各地の女性ヴォーカリストにインスピレーションを受けてフィーチャーした作品、『Adrian Sherwood presents Dub No Frontiers』がReal World Recordsから2022年7月22日(金)に世界同時リリースされることが発表された。

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レゲエ界で最も有名なアーティストが男性であることに異論はないだろう。レゲエは、その反逆の音楽で不正や不平等を訴えるという評判にもかかわらず、いまだに男性の声、男性のプロデューサー、男性のミュージシャンが非常に多い世界であるという事実。「多くのシンガーが、ダブ/レゲエの舞台は男性のもので、少し威圧的でさえあると感じていると言っていた。そこで、アーティストを招待し、私たちのリズム・トラックの上にすべて非英語で好きな曲を歌ってもらうことにしたのです」とシャーウッドはコメントしている。

UKダブ界の首領エイドリアン・シャーウッドが全面プロデュースし、半分は故リンカーン・スコットと共同制作、スキップ・マクドナルドがアレンジし収録された全10曲は、活力、豊かさ、エネルギーに満ち溢れている。セイクリッド・グラウンド・リズムの上にヒンディー語で歌われる繊細で美しい曲Rita Morarの「Meri Awaaz Suno (Hear My Voice)」 や、チュニジアのNeyssatouがアラビア語で力強く歌うボブ・マーリーの 「War」、シャーウッドとプロジェクトを率いたKerieva McCormickがロマニ語で歌う 「Chavale」など興味深いトラックばかりで日本からもLikkle Maiが1曲参加している。

レゲエが誕生した当初から、そのアイデンティティを形成するカギを握っていたのは女性たちだった。40年代には、民俗学者のルイーズ・ベネット=カヴァリーがその基礎を築き、詩の中で島の土着語であるパトワを擁護していた。50年代にはダンサーのアニタ“マルガリータ”マフフードが、当時迫害され追放されたと見られていたラスタファリアンを一般に受け入れるためのキャンペーンを行い、ラスタファリアの太鼓集団カウント・オッシー・アンド・ザ・ミスティック・リベレーション・オブ・ラスタファリを彼女のリサイタルに抜擢し、パトリシア・チンは伝説のレコード店ランディーズ・レコード・マートを共同で創業した(現在彼女はVPレコードを率いている)。60年代にはミリー・スモールが「My Boy Lollipop」のヒットでスカを世界のオーディエンスに紹介し、ソニア・ポッティンジャーはプロデューサーとしてのキャリアをスタートさせ裏方で革新をもたらした。そしてもちろん、フィリス・ディロンからレディ・ソウまで、ロックステディからダンスホール、さらにその先まで音楽を前進させた素晴らしい女性たちも存在するのだ。

エイドリアン・シャーウッドはもちろん自分の音楽遍歴を知っていて、彼のレーベルOn-U Soundの設立当初から女性アーティストの味方として生涯を費やしてきた。スリッツのシンガー、アリ・アップと共同で設立したスーパーグループ、ニュー・エイジ・ステッパーズはネナ・チェリー、ヴィヴィアン・ゴールドマン、ヴィッキー・アスピノールもラインナップに加わっていた。またニューヨーク・ノー・ウェイヴのシンガー、ジュディ・ナイロンの1982年の唯一のアルバム『パル・ジュディ』をリリースし、女性だけのレゲエ・バンド、アカブを手掛け、マッシヴ・アタックのシャラ・ネルソンの1983年のデビュー・シングル「Aiming at Your Heart」は彼のレーベルからリリースされたものである。また、リトル・アニーの名で活動するAnnie Anxiety Bandezの1992年のデビュー・アルバム『Short and Sweet』や娘のデニス・シャーウッドの2020年のファースト・アルバム『This Road』(Evergreen Recordings)をサポートした。

このプロジェクトを立ち上げるには、長い時間がかかった。10年がかりのプロジェクトだが、そのプロセス自体は驚くほど簡単だった。シャーウッドは。「現代は、かつてないほど簡単につながることができる時代です。リズムをデジタル化して、そのファイルを日本、中国、チュニジア、アフリカに送れば、ヴォーカリストが歌って、それを送り返すだけです。テクノロジーは、音楽で世界をひとつにできることを意味します」と言っている。

スライ&ロビーで活躍したキーボーディストのフランクリン“バブラーズ”ワウ、ベーシストの故ジョージ・オーバン、ドラマーのスタイル・スコットに、シャーウッドが信頼するリズム・セクション、ギタリストのヴィンス・ブラックとイタル・ホーンズを加えたロンドンでのセッションが、新ヴァージョンの核心となったのである。「リズムを分解して、カットし直したんだ」と彼は言う。「そして、その上でシンガーに歌ってもらったのです。プロジェクトは進化し続けました。成長し続け、非常にパワフルなものができました」。

シャーウッドは、皆が作り上げた作品に誇りを抱いている。「これは、適切な人が適切なタイミングで、適切なレーベルと一緒に仕事をした結果です。商業的でないかもしれないが、美しいものです。みんなに気に入ってもらえると思います」とコメント。彼はまた、『Dub No Frontiers』アルバムをサポートするツアーも計画しているとのこと。「当初からの構想では、この素晴らしいラインナップを女性だけのバンドでバックアップするライヴ作品にするつもりだったんです。想像してみてください」。

なおアルバムのアートワークは、アーティスト、ミュージシャン、映画監督であるピーター・ハリスが描いたアフェニ・シャクール・デイヴィスの印象的なイメージだ。彼の描く先駆的で変革的な女性の大胆な肖像画は、アルバムに付属するブックレットを支配し、その中の音楽と完璧な視覚的箔を形成している。


『DUB NO FRONTIERS』

2022年7月22日(金)世界同時リリース
デジタル&輸入盤CD/LP
https://Adrian-Sherwood.lnk.to/DubNoFrontiersPR

■収録曲
1.Love Hurts / Yehaiyahan -
2.Haste Makes Waste / Likkle Mai
3.Meri Awaaz Suno (Hear My Voice) / Rita Morar -
4.I Dupe (Thanks Giving) / Temi Oyedele
5.War / Neyssatou
6.Okama Werek Halok / Maria Wenda
7.Chavale / Kerieva
8.Krysztalowy Aniol (Crystal Angel) / JaGodDa
9.Semarulay Daqey / Saba Tewelde
10.Little Cosmonaut / Nadya Ostroff DR.NO

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