【対談】MSTK × LINDBERG、'90年代サウンドの魅力とライブ共演を語る「そこに中毒性がある」

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■“バンドとは?”ということを
■LINDBERGのお二人に訊きたい

MASATAKA:LINDBERGはやっぱりすごいバンドですよ。33周年ライブを拝見させてもらいましたけど、やっぱりメンバーの方々がステージに出てきたときの存在感がすごい。特にマキさんですよ。メンバーが出てきて、最後にマキさんが出てきたときのオオッ!って感じが圧倒的だった。

渡瀬:そんなことないって。それに、MSTKのライブを観させてもらったけど、藤重君のオーラこそすごかったよ。ちょっとカッコつけ過ぎやん!?みたいな(笑)。

平川:“溜めて歌ってしまう問題”に続いて、“カッコつけ過ぎ問題”(笑)。

MASATAKA:そういうクセがあるんです、僕。……というか今、僕の話はどうでもいいんですよ(笑)。ステージにマキさんが姿を表した瞬間、客席に感動の溜め息が漏れる。ただそこに現れただけで、場内の熱気の高まりを体感して、“このパワーはすごい”と本当に思ったんです。その上、僕がずっと聴いてきた曲が演奏されるわけですよ。もう本当にヤバかった。関係者席で見せていただいたんですけど、客席の最前列に行きたくなりましたから(一同笑)。その一方で、同じようにステージに立つ人間として、悔しさも感じました。


▲渡瀬マキ(Vo)

──ご自身と比較されたわけですか?

MASATAKA:そう。MSTKは始動2年目の小さなバンドですけど、やっぱりLINDBERGと同じようなところにいかないといけない。それを強く感じています。だから、今日は“バンドとは?”ということをLINDBERGのお二人に訊きたいんです。LINDBERGは結成から現在までメンバーチェンジなく活動しているじゃないですか。バンドを続けるために大事なことを教えていただきたいんですね。

平川:まぁ、うちもずっと平穏だったわけではないから。

渡瀬:決して平坦な道のりではなかったと思います(笑)。

平川:仲はいいんだけど、時期によってやっぱりいろいろあったよね。それぞれのやりたいことが違ってきたり、バンドに対する熱量に差が出てきたり。一度解散しているくらいだからさ。

渡瀬:それでもうちは、4人全員がLINDBERGというバンドにめちゃくちゃ愛情があるんですよ。ただ、その愛情の形がみんな違う。

MASATAKA:その違いとか山あり谷ありをどうやって乗り越えてきたんですか?

平川:ギクシャクしてきたら、一旦離れるんです。まず、それぞれがクールダウンする。それから腹を割ってしっかり話し合う。意思疎通がなくなって、なにを考えているのかわからなくなると、ますます軋轢が生まれてしまうから。

渡瀬:さっき話したように、うちは全員がバンドに対する愛情があるから、誰からも辞めるという言葉は出てこないんですね。だから、冷静にしっかり話し合うことが重要で。それでもバンドは難しいけど(笑)。

MASATAKA:MSTKは結成2年の間にマジ喧嘩も二回くらいしてますからね、本当にすごく難しいと実感してます(笑)。僕はずっとソロだったので勝手が全然違うというか、メンバー個々のいろんな意見が出るじゃないですか。そういう中で思うのは、達也さんがおっしゃったように“会話が大事”ということですね。

AZ:LINEとかSNS文化になっちゃったのも、よくないですよね。

渡瀬:よくない! 絶対に。たとえば、“いいよ”という言葉でも、文字だけだと、そのニュアンスか伝わらないじゃない? 優しい“いいよ”なのか、キツい感じの“じゃあ、もういいよ”なのか全然わからない。やっぱり人と人は顔を合わせないとあかんな。

平川:話を積み重ねていけば、細かいことを言わなくてもだんだん気持ちを共有できるようになっていくし、“バンドの中で、この人はこういう役割”みたいなものもできていくよね。そうすると、だいぶラクになると思う。

MASATAKA:その形がちょうど今、出来始めています。メンバーが集まると楽しいですしね。

平川:だったら大丈夫なんじゃない。


▲AZ (G)

MASATAKA:そう信じたいです。マキさんはLINDBERGの中で紅一点じゃないですか。女性ひとりだけっていう点で大変なことはありますか?

渡瀬:特にないです(笑)。

平川:それは世代的なこともあるんじゃないかな。僕らの世代の男というのは、“女性は丁寧に扱うべき”とか“理解しないとけない”って自然と考えるんだよね。“男はこうあるべき”というものもあるし。だから、結成当時からうまくいっていたような気がする。

──周りが女性を大事にしてくれることが当たり前で、“女の子なんだから特別扱いしてよ”ってなると危険ですが、渡瀬さんはそういうタイプではないんですね。

渡瀬:というか、特別扱いされることがすごく嫌だったんです。もちろん着替える場所とかは別だけど、あとはみんなと一緒にしてほしかった。これは今も昔もそうで、ライブの登場のときに、楽器隊のイントロが始まってから、その後に自分がステージへ出ていくのとか本当に大嫌いなんです。さっき藤重君は「カッコいい」って言ってくれたけど(笑)。メンバーがたまに冗談で「演奏始まったら出ておいでヨ」とニヤニヤしながら言ってくるので、「いやだ!」と即答してます(笑)。ライブのラストナンバーもメンバーが演奏しとるエンディングで、先に引っ込むボーカリストとかいるじゃないですか。あれは苦手です。小さなこだわりだけど、やりたくないですねぇ(笑)。

平川:ただね、最初の頃はやっぱり事務所がマキちゃんを特別扱いしていたよね。

渡瀬:そう。私はその当時、全然知らんかったんやけど、そういう扱いをされていたみたいで、“あのときはこうやった”みたいなことを今になって、メンバーのみんなが言うんです(笑)。

平川:チクチクとね(笑)。

渡瀬:「俺達は地方から機材車で帰ったのに、マキひとりだけ新幹線で帰った」とか。「マキは明日ひとり仕事があるから先に帰らせる」って言われてたのに、実際翌日は全員でのアルバムジャケット撮影で「えっ? 話が違うやん!」みたいなことになったとか(笑)。当時はそういうことがよくありましたね。だから、どこかメンバーに悪かったなーと思っているので、それ以降、過度な特別扱いは居心地良くないです。

MASATAKA:マキさんがそういう人だから、LINDBERGは“女性ボーカル+バックバンド”みたいなスタイルに見えなかったんですね。そこもすごくカッコいい。バンドというのは大変な面もあるけど、5人がまとまったときのパワーにすごいものがあって。

平川:それはソロでは味わえないもの?

MASATAKA:そうなんです。だからすごく魅力を感じていて、MSTKは長く続けていきたいんです。

渡瀬:続けてほしいな。難しさ以上に、バンドってやっぱり楽しいから。

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