【コラム】<フジロック'22>出演アーティストの見どころ〜2日目編〜

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いよいよタイムテーブルも発表され、開催間近に迫ってきた<FUJI ROCK FESTIVAL'22>。今年は待ちに待った海外アーティストのステージも楽しめるということで、出演者のラインナップも注目されていることだろう。初日のラインナップを紹介した前回に続き、本稿は2日目7月30日(土)の出演アーティストをピックアップしていく。タイムテーブルとにらめっこしながら、ぜひあなただけの特別な時間を過ごして欲しい。

まずは、ヘッドライナーをつとめるジャック・ホワイト。ザ・ホワイト・ストライプス解散以降も、ザ・ラカンターズ、ザ・デッド・ウエザー、ソロ活動と精力的に活動し続けている現代のロック・アイコンである。2012年にGREEN STAGEに出演した際はホワイト・ストライプスの楽曲も交えたセットリストを披露してくれたが、今年は『The Fear Of The Dawn』と『Entering Heaven Alive』というニュー・アルバムを2作連続でリリースしており、脂が乗りまくっているタイミング。それにギタリストとしても高く評価されているジャック・ホワイトのギターソロは、誰もが釘付けになると思うので今こそ観て欲しい。



▲ジャック・ホワイト

同日GREEN STAGEに登場するフォールズは、ニュー・アルバム『Life Is Yours』を6月にリリースしたばかり。「エネルギーと歓喜がどの楽曲にもDNAとして共通する」アルバムを目指したというだけあって、「いつものフジロック」を待ちわびた私たちにぴったりの踊れるロックが期待できそうだ。一方で、インドからやって来るブラッディウッドは、母国の民族楽器でメタルを炸裂するインディアン・フォーク・メタルバンド。未知かつ楽しみなアーティストのひとつだ。





満を持してGREEN STAGEに初登場するのは、ORANGE RANGE。先日の結成21年目を祝うぴあアリーナMM公演は、3MCのスキルの高さ、ポップだがオルタナな楽曲センスを改めて感じさせてくれるステージだった。加えてこの日は、東京スカパラダイスオーケストラも登場するのだから、参加者の最高の夏の思い出として刻まれるはず。そして注目したいのが、昨年WHITE STAGEへの出演を辞退し、今回GREEN STAGEに抜擢された折坂悠太(重奏)。若手で日本を代表するシンガーソングライターと言っていいだろう。私的だからこそ社会を映し出す折坂の歌が、バンドとともに、2022年のフジロックでどのように響くか聴きたい。







WHITE STAGEは、ダイナソーJr.、スネイル・メイル、GLIM SPANKY、SHERBETSといったドラマティックでエモーショナルなロックサウンドを体感できるラインナップと言える。日本の音楽フェスにたびたび出演を果たしているFire EX.も、台湾の国民的バンドなのでその雄姿は要チェック。そして、トリをつとめるCorneliusにとって、このフジロックのステージが活動再開後初のライブ。<フジロック'21>の分も心待ちにしているファンも多く駆けつけるだろう。そのクリエイティビティと演奏力に、今回も圧倒されたい。










正直、RED MARQUEEより大きなステージでもいいと思ったのがアーロ・パークスだ。2000年生まれ、ロンドンのシンガーソングライターであり、2021年1月にデビュー・アルバム『Collapsed in Sunbeams』をリリースするやいなや評価されブリット・アワード「最優秀新人賞」、マーキュリー・プライズを獲得している。ビリー・アイリッシュも評価するそのソングライティングは、メロウで親密だが湿っぽくなく、若者を中心にしながら時代全体を汲んでいる。CreativeDrugStoreは、ラッパーのBIM、in-d、VaVa、JUBEEとdoooo(DJ)、Heiyuu(Camera)からなるクルーで、結成10周年というタイミング。昨年のSUMMIT所属アーティストが集結したRED MARQUEEも盛り上がっていたので、期待のステージだ。韓国・釜山の4人組インディー・ロックバンド、SAY SUE ME(セイ・スー・ミー)もやって来る。2019年の「第16回韓国大衆音楽賞」でBTSと並ぶ最多5部門にノミネート、ドラマ『わかっていても』に楽曲提供したという実績の持ち主だ。そして、待望の深夜のアクトが復活するRED MARQUEEには、盛り上がること間違いなしの「昭和グルーヴDJセット」を披露するNight Tempoを筆頭に、パソコン音楽クラブやどんぐりずが登場。アルコール片手に5時までどっぷり楽しめそうだ。








この日のFIELD OF HEAVENは、前日GREEN STAGEに出演するブラック・ピューマズがトリを務めるというのもフジロックらしくてユニーク。もはや苗場でおなじみのT字路sや、中納良恵といったソウルフルな歌声を解放感溢れる空間で味わうのもいい。Gypsy Avalonに登場するケロポンズも、フジロックの常連。加えてこの日のGypsy Avalonには、アトミック・カフェにダブポエトリーのユニット「いとうせいこう is the poet with 満島ひかり」が出演する。いとう自身の小説や詩や演説などの一節を、即興音楽に合わせてその場で選びながら読んでいき、常にそれをダブ処理する、というとんでもなくライブ感溢れるステージを目撃できるのだ。尚、アトミック・カフェ2日目のテーマは「気候クライシスと原発」。現代において最も深刻な問題のひとつである気候クライシスと原発問題をテーマに、いとうせいこう、ジョー横溝、斎藤幸平がトークを展開する。これらのテーマが日常で少しでも気になっている人には絶好の機会だと思う。ぜひ、立ち寄って欲しい。










Candle JUNEプロデュースによるPYRAMID GARDENは、ツアーバス利用者専用キャンプサイト内のステージながら、SPECIAL OTHERS ACOUSTIC、田島貴男、Caravanらが出演するという充実っぷり。また、yonawoのボーカルである荒谷翔大、クリス・ペプラー率いるバンドの新プロジェクトCPL♾Pが苗場食堂に、SUGIURUMN、DÉ DÉ MOUSEが、日本最長のゴンドラ「ドラゴンドラ」で行くフジで最も高いところにあるステージDAY DREAMINGに登場する。全9ステージ総勢162組のアーティストが繰り広げる<FUJI ROCK FESTIVAL'22>は、今年も底知れない。4kmに及ぶ会場のそこかしこで音楽が鳴っている、まさに音楽の楽園だ。思えば、こうしてタイムテーブルを穴が開くほど見つめて苦悩するのも「いつものフジロック」らしくて、懐かしく嬉しい。

文:堺 涼子


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