【連載】Vol.135「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

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【自身の演奏に対するアプローチに新鮮なエネルギーを感じる!矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー & クリス・パーカー@Blue Note TOKYO ライヴ直前 ウィル・リーINTERVIEW】


Photo by Sandrine Lee

ベース職人として多くのアーティストと共演で知られるウィル・リー、ニューヨークのファースト・コール・ベーシストだ。一方で本国以上に日本での人気が高いことも周知の通り。彼の安定感溢れた演奏の中にズシっとグルーヴを感じさせる。4年前秋のCOTTON CLUBでの自らのスーパー・グループのステージも大感激だった。


2018年@ COTTON CLUB Photo by Y.Yoneda


2019年@Blue Note TOKYO  Photo by Takuo Sato

一方で10年以上続く矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー & クリス・パーカーも絶大なる人気を得ている。今回久々に矢野トリオ@Blue Note TOKYO が実現される。ウィル・リーにその意気込みなどいろいとインタビュー!!



M:久々の“矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー & クリス・パーカー”ライヴです。多くのファンが待ち望み、当然ですが大きな期待をしています。先ずはBlue Note TOKYOでの“矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー & クリス・パーカー”についてその意気込みを訊かせてください。

W:私たちにとってこのライヴはホントにエキサイティングな機会です。貴方が想像できないくらい日本での演奏機会をずっと待ち望んでいましたからね!コロナのせいで私たちとファンの皆さんの間に一時的な距離ができてしまいましたが、壁ができたわけではないですから。ファンの皆さんともSNSなど通じてずっと交信してくれていたし、こうして皆さんに直接お会いできるなんて楽しみですね!ライヴ・ショーが復活し始めてから、私は自身の演奏に対するアプローチに新鮮なエネルギーを感じるようになったのです、そう、サウンドとスペースによりフォーカスしてね。これは私たち全員にとって新しい刺激です!


Photo by Sandrine Lee

M:ネタバレにならない程度に“矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー & クリス・パーカー“でのステージ、どのアルバムからかとか、演奏楽曲を、こっそり教えてください、笑。

W:「大ヒット曲の数々と新曲もやる予定で、顕子の最新アルバム『Music Is A Gift(音楽はおくりもの)』からの曲もやります」と言っておきましょうか。



M:矢野顕子との出会い、そして一緒にステージする様になった経緯をお教えください。

W:初めて矢野さんに会ったのは、1976年か1977年頃に彼女のアルバム『いろはにこんぺいとう』のセッションでした。上手く意気投合したのです。



M:彼女の魅力を教えてください。

W:当時も今も変わらず思っているんですが、顕子のアメリカ音楽に対する認識には並外れたものがあります。もちろん彼女の演奏は素晴らしかったですが、彼女はとてもフレンドリーでありチャーミングでユーモアもありましたね!彼女はYMOの一番イケてる部分だったと今でも思っています(でもそれは私が男だからかな)!

M:ご両親の影響で音楽が大好きになったと思います。最初に気に入った音楽というか曲名/アーティストを憶えていますか、何歳くらいの頃?

W:自分が最初に聞いた音楽は何だったか思い出すと多分アルバム『COOKIN'』でのマイルス・デイヴィスのミュート・トランペットでしたね。私の両親はすごく粋なジャズ・ファンでありミュージシャンでしたから、知らないうちに音楽教育を授けていたのでしょうね…、多分4歳か5歳の頃のことです。



M:最初はドラマーだった……。

W:そうなんです。ビートルズがアメリカに来てエド・サリヴァン・ショーで演奏した数年前に、すでに父が私にドラム・セットを買ってくれていましたから。でもあの夜ビートルズを見るまでドラムに触りもしなかったのです。それを機に私はミュージシャンになろう!とのめり込んでいったのです!

M:12歳の頃からサーフ・ミュージックを得意とするバンドで演奏していたとか。ベンチャーズが好きになったきっかけは….。

W: サーフ・ミュージックが好きだったから演奏していたということもあるけど、正直言ってまだPAシステムを買うお金がなかったから、仕方なく暫くの間はインスト曲を演奏していたというのが実のところです…!

M:その時代にベースをプレイする様になったとか、きっかけは。

W:私たちはかなり若かったですからね。11~12歳の子供はベースを弾くということを理解していなかったんですね。たいていの子供にとってはギターとドラムが全てだったのです。私は自分たちのバンドにベーシストが欲しかったのですが、知っている子が誰もベースを弾いていなかったのです。そこで私は自らすすんでドラムとおさらばしてベースを練習し、バンドには新しいドラマーを入れました。


2019年@Blue Note TOKYO Photo by Takuo Sato

M:話しは飛びますが、以前アルバム『Hyper Ventures』を発表されました。その経緯を教えてください。アルバム・ラストは「Walk Don't Run ‘92 」でしたネ。

W:『Hyper Ventures』のアイディアはピアニストでアレンジャーのデイヴィッド・マシューズなんです。すごく素早く作ったもので、ほとんど各楽曲がワン・テイクでした。私たちは楽譜を見ながら演っていましたが、とても手短なセッションで、僅か6時間で仕上げました。グーグルで調べたら、「Walk Don't Run '92」がCDの最後のトラックでした。



M:話しを戻しますね、ゴメンナサイ。マイアミ大学卒業後ビッグ・アップルへ、その経緯を教えてください。

W:ランディ・ブレッカーから電話でニューヨークに来てドリームスというバンドのオーディションを受けないか?と言われた時、私は大学2年でした。私の好きなバンドで、彼らの音楽は全部知っていたので、オーディションは信じられないくらい楽しかったです!私はすぐにニューヨークに引っ越して、1971年以来ニューヨークがずっと主たる拠点となっています。当時私は18歳でした。ニューヨークは大好きです!大学は卒業しませんでしたけど(シー、内緒です!)。ドリームスに参加できたことはとてもエキサイティングでしたね!

M:その後、貴方のキャリア大きく広がり多くのアーティストとツアー、レコーディングしています。その当時をちょっと振り返ってください。

W:最初はニューヨークに知人は誰もいませんでした。ミュージック・ビジネスでは、そこのシーンに存在していつでも演奏できて人とコネを作るってのが全てですからね。毎日私を助けてくれて紹介してくれたり演奏の機会を与えてくれた音楽界の友人たちがいなければ、キャリアを築けなかったでしょう。私にチャンスを与えてくださった多くの方々には感謝です!

M:そして日本で人気を呼んだThe 24th Street Band 。このバンドが活動するようになる経緯を語ってください。このバンドには僕はキース・リチャーズに紹介してもらったんですけどスティーヴ・ジョーダンが在籍していました。

W:ちょっと待てよ、ワオ!キースがキミをスティーヴに紹介したって!驚きだね!さて、当初は、24丁目バンドは、ニューヨークの24丁目のアパートで一緒にジャムったり演奏したりしていた友人の集まりでした。オリジナル・メンバーは、クリフォード、スティーヴ、ハイラム、マーク・イーガンだったと思います。その後、クリフォード、スティーヴ、ハイラム、フランク・グラヴィスになり、最終的には、クリフォード、スティーヴ、ハイラムと私になりました。当時売れっ子でした私がベースを弾いて歌も歌うというのはどんな感じなのかを皆が見たがったと思いますよ。それはサイコーだったね。クリフォード・カーターとハイラム・ブロックの楽しい曲を皆で4作り上げていくプロセスは、私たち全員がスタジオでもライヴでも楽しんだ新鮮なサウンドそのものだったから!





M:1980年の「I Believe In Love」懐かしいです、ちょっぴり思い出を……。パイオニア!

W:ニューヨークであるセッションのアポが入って、それは日本人ソングライターの井上忠夫と八木正夫による曲をパイオニアのコマーシャル用に歌うというものでした。私はスタジオに入ってその曲を歌ったのです。そのナンバーが日本のテレビで何度も流れたのです。しかも特別なテロップ、歌:ウィル・リー」(Vocal by Will Lee)のクレジット入り。これはアメリカでは絶対にありえないことですね!チョーイケてましたネ。ちょっとしたシングル・ヒットになって、レコード店でその週のNo.2シングルにもなっていました。とてもエキサイティングでしたよ!







M:『OH!』『LOVE, GRATITUDE AND OTHER DISTRACTIONS 』に続くニュー・ソロ・アルバムの予定はどうでしょう。

W:はは!何でもあり得ますね! 『Love, Gratitude…』を作った時、当初私はアルバムを作っていたのではありませんでした。ただ曲をレコーディングしていただけでした。そうしたらアルバムだって言われたのです。今またそういう状況になっています。現在、私は曲を書いています、十分に集まったら多分アルバムに纏めるでしょう。

M:初めて一緒に演奏した日本人アーティストを憶えていらっしゃいますか。

W:私は日付とか物事の起こった順番とか極めて憶え悪いのですが、矢野顕子は最初ではないかもしれないとしても絶対に最初の何人かの一人のはずですね!

M:以前、貴方の選んだ“ベース必聴Best 10”を拝見させていただきました。その中から下記の3枚アルバムについて各一言お願いします。

『The Beatles / Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band 』(1967)
『Roberta Flack / First Take 』(1969)
『The Who / Meaty Beaty Big And Bouncy』(1971)

W:あの時の回答は、私のある1日の時点でのリストのようですね。これらのほとんどが「人生最高のトップ10」リストからとは言い難いでしょう。『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band 』は確かに人生最高のトップ10に入るでしょう。ビートルズのバンド全員との楽曲制作に1日を費やした後、ポール・マッカートニーとジェフ・エメリックは、終わった後もスタジオに残って、あの史上最高のベース・パートをレコーディングしました、そんな遅い時間にですよ。だからこのアルバムの重要性は強調しすぎることは無いほど素晴らしいのです。

勿論ザ・フーのアルバム『Meaty Beaty Big And Bouncy』も重要でした。全曲のうち6曲が大ヒット曲でしたからね!質問された時にとっさにこのアルバムの名前を口に出してしまったようですが、正直言って、いつでも頭に浮かぶアルバムではないですが、確かに素晴らしいものではあります。

私にとってロバータ・フラックの最も重要なアルバムは『First Take』はないのですが……、その次に出た『Chapter Two』が私のベース演奏人生を永久に変えてしまいました。このアルバムで私は「Reverent Lee」という曲で凄いベース・レジェンド、チャック・レイニーを発見しました。この曲を知らなかったら、今すぐ聞いてみてください。皆さんの人生も変えるかもしれませんよ、良いほうにね!


2019年@Blue Note TOKYO  Photo by Takuo Sato

M:Best 10には『Motown Greatest Hits 』(2003)を挙げてらっしゃいます。ファンク・ブラザーズ!ジェームス・ジェマーソン、チェック・レイニー、キャロル・ケイ……。モータウン・サウンド・ベースの魅力を語ってください。因みに僕は貴方よりふたつ年上、1960年代中期からモータウン・ヒッツを浴びるほど体感して育ちました、笑。

W:オーケー、ジェームス・ジェマーソンのことを話さなくちゃね。彼の演奏は驚異的です、なぜかというと…有名なモータウンのリズム・セクション(彼もその一人ですが)というのは、毎日スタジオに来てソングライターの曲に次から次へとリズム・パートをつけて安い給料を貰って帰っていきました。どんな設定においても、ジェマーソン氏は、私にとって各楽曲を特徴づけるような強力でユニークなベース・パ-トを創造してくれました。もちろんグループ全体での協力ではありますが、私にとっては、彼のベースがどの曲をとっても凄く独創的であったということは途方もなく素晴らしいことなのです。彼は無難に弾くということは絶対にしませんでしたし、常にどの楽曲に対しても1000%を出して臨んでいました。彼は今日でも私たちエレクトリック・ベース奏者のすべてに多大な刺激を与えてくれています。あなたはモータウンを知っているから、私が言っていることもお分かりでしょう!!



M:最後に以下のアーティストについて一言お願いします。
●フランク・シナトラ
●カール・パーキンス
●B.B.キング
●リンゴ・スター
●ジェームス・ブラウン
●アル・グリーン
●アラン・トゥーサン
●ビリー・ギボンズ
●渡辺貞夫
●山下達郎(彼もベンチャーズ 大好きで彼等の魅力を語りあったことが……)
●クリス・パーカー
●チャーリー・ドレイトン(確か彼もキースに紹介してもらいました)

W:オーケー。
●フランク・シナトラ
フランクは音楽の科学者といった感じでした。ヴォーカルの表現方法は抜群、マイク使いのテクニックも最高、曲やアレンジのセンスも素晴らしいですね。私は彼に一度だけ会いました。ニューヨークの彼の友人ジリーの店でピアノ・トリオと演奏した時でした。そして私たちが「Night And Day」のディスコ・ヴァージョンをレコーディング(レアです!)した際、彼は私たちトリオ&オーケストラと一緒に歌うことになっていたのです。でも残念ながら彼は私たちのレコーディング終了後にヴォーカルだけオーバーダブしたのでした。

● カール・パーキンス
ロックンロールの立役者の一人。とても腰が低いワンダフル・ガイだった、才能あるソングライターでもありましたね!

● B.B.キング


Photo by Sandrine Lee

まさに本物!心の底から歌ってギターの一音を弾いてもストーリーを伝えることができた、まさに本気のブルースマンでした。

●リンゴ・スター


Photo by Sandrine Lee

言うことなんてないでしょう、リンゴはドラム演奏の究極のデザイナーです。その上にフィーリングがサイコーだし、彼に自分の曲でドラムを叩いてもらうってのはソングライターの夢なのです!

●ジェームス・ブラウン
凄いソウルを持っていた人なので、彼とプレイすると、どこでグルーヴを入れるかは疑う余地もありません。彼の身体の動きはドラマーの動きに合わせているドラマーのようでした!

● アル・グリーン
アル牧師が歌う時のフィーリングは半端ではありません。どの一音に対しても心のすべてを込めていますよね。

●アラン・トゥーサン
真の“南部紳士”、演奏することと曲を書いて歌うことがホントに大好きでした。それ故いつも誰かと一緒に音楽を生み出すことを愛していたのでした。彼と一緒にいるとあまりに礼儀正しいので、音楽界のレジェンドと一緒にいることを忘れてしまうくらいでした!

●ビリー・ギボンズ


Photo by Sandrine Lee

ビリーと友達になれてとっても嬉しいですね。彼はステージ上でもオフでもいつも人を楽しませてくれます。多くのことに興味をもち、自らの時間やスケジュールにとても寛大な、チョー頭の切れる人物です。前向きな考えを持っているけど、根底はどっぷりブルースです。

●渡辺貞夫
彼のこと大好きです。敵を全く作らない人。私が今までに会った“音楽職人”のなかでもっとも暖かくて心の広い人の一人です。“ナベ・サダさん”に会うのをいつも楽しみにしています!

● 山下達郎



チョー・イカしたスーパースターですね!彼の持っている才能の半分でも自分にあったらなあと思います。そう、『CIRCUS TOWN』を一緒に演りました。ア・カペラアルバム『ON THE STREET CORNER』は史上最高のアルバムの一枚です!!!

● クリス・パーカー


Photo by Sandrine Lee

生涯最高の友人の一人です。1970年代初頭にニューヨークのウッドストックでのライヴで初めてお互いをステージ上で紹介されて以来、私たちはいつも一緒にプレイしたり時間を過ごしたりするのことが大好きです。彼が演奏し始めると、彼のプレイ“ローリング”(回転)感には唖然としてしまいます。車輪が回転するみたいなのです。彼のルーツはジャズにどっぷりです、彼の音楽的才能は超有名なのです!

●チャーリー・ドレイトン


Photo by Sandrine Lee

チャーリーのお父さん(バーナード・ドレイトン)は、凄いヒップな音楽プロデューサーです。ときどき彼のセッションでベースを弾いていましたが、ある時、チャーリーが11歳か12歳でね、私が演奏している間にスタジオのベース周りのところの床に座っていました。セッション後に皆がいなくなると、チャーリーがドラム・セットのところに座って「“Some Skunk Funk”を演ろう」と言ったのです。私はちょっと笑って「OK」と言いました。彼はプロのようにカウントを取り始め、この曲を完璧に演奏したのです。信じられませんでした!!それ以来私たちは親友です。チャーリーは大好きです。彼は最高。家族ですよ。

M:最後に好きな日本食を教えてください。

W:以前は肉食だったので神戸牛、海老、焼き鳥をよく食べてました。でも現在はベジタリアンだから(もう7年間)、カレーうどん(”つるとんたん“サイコー!)、ざる蕎麦、豆腐料理、えだまめ、サラダってなものの方が好きです。

M:どうもありがとうございました。8月の矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー & クリス・パーカー@Blue Note TOKYO楽しみにしています。
*協力:Blue Note TOKYO & CK


ウィル&筆者2018年11月@COTTON CLUB Photo by Kiyome

●矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー & クリス・パーカー



*2022年8月18日19日22日23日
Blue Note TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:00開演18:00
セカンド・ステージ  開場19:45 開演20:30

http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/akiko-yano/

☆☆☆☆☆

【推薦CD】
このところ映画『エルヴィス 』、ベンチャーズ3年ぶりの来日公演もうすぐ、そしてストーンズ結成60周年ツアーということでこの3者のオト&映像をいつも以上に楽しんでいるけど、一方で新作CDも結構積極的に聴きまくっている。
今号ではそんな新作の中から2枚のアルバムを推薦させて頂く。

◆『Carry Me Me Home/Mavis Staples ・ Levon Helm』(ANTI 87859-2)


from Mike's Collection

1970年代前半「Respect Yourself」「I'll Take You There」といったベスト・セラーで僕らをディスコ・フロアに誘ってくれたステイプル・シンガーズ。1973年に日本でも公開された映『Wattstax』でのパフォーマンスは忘れられない。そのリードがメイヴィス・ステイプルズ。2004年ジャパン・ブルース・カーニバルや映画『Take Me A River』でのパフォーマンスも素晴らしかった。


提供: CURIOUSCOPE

そしてリヴォン・ホルムといえばザ・バンド。勿論ロニー・ホーキンスやボブ・ディランのバッキングでも馴染み深い。そんなリヴォンがこの世を去ったのは2012年4月。その10ヶ月前、2011年6月にリヴォン&メイヴィスはレコーディングを敢行。その12曲が今年になって登場したのである。スタジオ・ライヴ・レコーディングなのだ。

1.This Is My Country
2.Trouble in My Mind
3.Farther Along
4.Hand Writing on the Wall
5.I Wish I Knew How It Would Feel to Be Free
6.Move Along Train
7.This May Be the Last Time
8.When I Go Away
9.Wide River to Cross
10.You Got to Move
11.You Got to Serve Somebody
12.The Weight


CDジャケット見開き頁 from Mike's Collection

僕らの愛好する“ソウル&ゴスペル+ダウン・トゥ・アースなロック“、この音楽基本スタイルが見事なまでに溶けあい驚くほどのグルーヴとエクスタシーを生み出す、素晴らしい出来映えだ。ジ・インプレッションズでお馴染み〈1〉がオープニング。ニーナ・シモンの名作〈5〉、ディランの〈11〉。〈6〉はステイプル・シンガーズ、リヴォンのフェイヴァリットで自身カヴァーしている。そしてストーンズが参考にさせて頂いた〈7〉をしっかり収録してくれたのだ。もうここでこのCD、RSファンはマストなのだ。そしてストーンズもカヴァーしているブルース〈10〉もいかにもメイヴィス&リヴォンらしい仕上がりで印象的だ。そしてそして、最後は勿論〈12〉である。

◆ 『ファイト・ザ・グッド・ファイト/ヴェネス・トーマス』(BSMF RECORDS/REDN-0037)


提供:BSMF RECORDS

ストーンズがその魅力を教えてくれたルーファス・トーマス、前項で触れた『Wattstax』でのピンクの半ズボン&ジャケットでのパフォーマンスは凄かった!RT日本公演の際、バックステージで色々な話しをした(“Walking The Dog “をストーンズがカヴァーしていることは勿論よく知っていたけど、エアロスミスも貴方の名作を取り上げていますよと問いかけたら、“エアロスミスは知らない。もっと印税を貰わにゃイカンな”と大声で笑いながら答えていた)。ルーファスの娘、カーラはオーティス・レディングとのデュオで有名だ。そのカーラに30年ぶりに再開したのは2018年7月@Billboard Live TOKYO 。バックがマイ仲良しのリロイ&チャールズのホッジス兄弟らがバックを務めた。この時に同行してきたのがカーラの妹、ヴェネス・トーマスだ(ファースト・ネームはヴェニースと発音する)。


提供:Billboard Live TOKYO Photo by Masanori Naruse

カーラ・オン・ステージではボッジス兄弟らのインストに続いて2曲目から登場、「Mystified」「Corner Of Heartache And Pain」「Sat'day Night On The River」を披露して観客の度肝をぬいた。

渡辺貞夫との共演で知られる彼女は1970年代から音楽活動、スティービー・ワンダー、マイケル・ジャクソン、スティングetcバック・コーラスを務めている。1980年代後半からはソロ歌手としても活躍するよになり、これまで6枚のアルバムを発表している。僕は特に2013年『Blues for My Father』が気に入っている。

4年前の夏のBLTライヴではカーラの最後パートに再び姿を見せ「Wrong Ture」「Night Time Is The Right Time」「Walking The Dog 」を姉妹共演したのだった。


カーラ姉妹@BLT 提供:Billboard Live TOKYO Photo by Masanori Naruse

このニュー・アルバムは全12曲がトーマス作品。プロデュースはミュージシャンとしても活躍している夫のウェイン・ワーネッケ。バックにもうすぐ来日して矢野顕子をサポートすることになっているお馴染みウィル・リー(ベース)、そしてメンフィス・ホーンズ……。ソウル・ミュージックからゴスペル、カントリー、ロックまで彼女が培ってきた音楽要素をコンバインさせながら彼女のオリジナリティ溢れたパワフルな音楽魂をダイレクトに感じさせる。まさにライド・オン!なアルバムである。


提供:BSMF RECORDS

1.Raise the Alarm
2.Same Blood Same Bone
3.Rosalee
4.I'm Movin' On
5.Time to Go Home
6.When I've Had a Few
7.Bad Man
8.Blue
9.'Til I See You Again
10.He's a Winner
11.Fight the Good Fight
12.Lost in the Wilderness


ヴェニース・トーマスと筆者 Photo by Tetsu


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