【速レポ】<JOIN ALIVE 2022>2日間の大トリは10-FEET、「ライブだけは誤解なく伝わると思ってる」

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10-FEETメンバー全員の新型コロナウイルス感染が発表されたのが8月25日のこと。療養期間を経て活動を再開したメンバーの元気な姿を待ちわびた大勢のファンが、すでに開演予定時間のはるか前からROSE STAGEを埋め尽くしていた。

◆10-FEET ライブ写真

19時20分、いつものSE「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」が響き渡ると客席エリアに掲げられたのは、もちろん10-FEETや<京都大作戦>の歴代タオルの数々。赤いライトがステージから放たれる中、腕を上げてステージに出てくるKOUICHI(Dr, Cho)、NAOKI(B, Vo)、TAKUMA(Vo, G)の姿がシルエット状に浮かび上がった。


「よっしゃー、アホな人、手を挙げて! こんな時間まで残って、アホやん。いくぞ、楽しむ準備はできてるか。よっしゃ、いくぞ!」──TAKUMA

バンドサウンドをかき鳴らしながら、TAKUMAの“ワン、ツー、スリー、フォー”の掛け声で曲に入るかと思ったら、“ファイブ、シックス…”と、いきなり飛ばしすぎ。そこから始まったのは、代表曲「RIVER」だからたまらない。ジャンプして、コブシや腕を思いっきり上げながら、10-FEETの音、曲、歌を思いっきり浴びるオーディエンス。「こんな時間まで残って」とTAKUMAは言ってたが、“10-FEETを待っていた”──そんな活き活きしたオーディエンスの表情だ。そして曲の途中、「今日は息がどれぐらいピッタリか見せてもらおうか」とTAKUMA。スマホの光でウェーブを起こそうって魂胆だ。



すると、ステージ袖からTAKUMA曰く「入れ墨の入った不審者」……Dragon AshのKjだった。Kjのコールや歌に合わせ、一緒に「RIVER」を楽しむオーディエンス。曲本編に戻ってもKjはTAKUMAとダブルボーカルを決め、最高のコラボレーションが繰り広げられる。<京都大作戦>などでおなじみのシーンかもしれないが、彼らの友情や深い絆は、いつ観たって心が熱く幸せになるってもの。と言いたいところだが、曲のエンディングでは、NAOKIにパンチされ、KOUICHIに笑われ、スタッフに首根っこを掴まれステージから摘まみだされるKj。こんなユーモアあるやり取りが成立するのも、10-FEETとKjの間柄ゆえ。

こんなサプライズもありながら、様々な曲を叩きつけていく10-FEET。その中には新曲「aRIVAL」もあったが、10-FEETファンにはおなじみのライブナンバーとしてすでに定着。えげつないほどのヘヴィグルーヴをめいっぱい大地に轟かせていく10-FEET。復活の狼煙をあげているような3人だった。




「名残惜しい夜にしたいな。帰りの渋滞のこと考えて、ライブの途中で帰ろうとしたら爆発するシステムになってるんで」というギャグを混ぜたMCにもキレがあって、元気満点の10-FEETである。さらに曲を聴かせていく中で、TAKUMAは力の限り、こう吠え続けた。

「オーイ! ライブ、ライブ!! 俺らとオマエらだけのライブ。今日だけのライブ。同じライブ、二度とない。明日のことわからん、来年のことわからん。バンドも、俺ら一人ひとり、オマエら一人ひとりの人生もわからん。今度いつ会えるかもわからん。これが最後かもしれん。ほんまにライブってそれやと思うから。名残惜しい夜、もう二度とないかもしれへん夜。もう会えへんかもしれん。ライブってそういうもんやと思って、ずっとやってる。これが最後かもしれん。だから、何を持って帰れるか、どんな顔で帰れるか、一緒におもろいことを倍に、悲しいことを半分に」──TAKUMA

10-FEETのライブはいつだって問いかけてくる。ライブを観ている時間だけ、今夜だけの楽しさで終わることがない。



また「蜃気楼」の前にはこんなこともTAKUMAの口をついて出た。「言葉は難しい。たまに伝わらへんときあります。声のトーンと表情シチュエーションと、気持ち込めてるか、込めてへんか。あと態度と。目を見て、顔を見て、やっと言葉は通じるもんやと思ってます。いろんなところで誤解生んでばっかで、カッコよくならへんかね、もうちょっと。ライブだけは、こうやって音楽に乗せて伝えたら、ライブだけは誤解なく伝わると思ってる」

最後のほうはコードを鳴らしながら歌って伝えるTAKUMA。ここからの「蜃気楼」を始めとする曲の数々には、今このときに湧き上がった思いも感情も言葉になり、歌になり、本心が丸裸になっていく。それを浴びて、オーディエンスは解放され、どんどん純粋になっていく。浄化されていくようなライブだ。

そんな今夜の本編ラストは「ヒトリセカイ」。もがいても、苦しくても、それでも絶対に掴み取る明日。歌いながら合間には「また生きて会おう」とか「幸せになってや」と気持ちを告白し続けるTAKUMA。プレイに専念するKOUICHIとNAOKIは、ほがらかな表情も浮かべながら愛情を音にしていった。



しかし、嬉しいことにライブはこれで終わらない。「アンコール、勝手にやるわ。あと11分」と、リクエストも募る。すると、さすが、10-FEETのファン。ボケも持ち合わせている。Dragon Ashの曲「Fantasista」をリクエストだ。「またオマエ、入れ墨のヤツ出てくるやろ」とツッコミを入れるTAKUMAだが、自らイントロを弾いてみるというボケを重ねる。そんな笑いの一幕もありながら「goes on」へ突入。さらに、だ。

「まだ時間あんねん。タオルある? タオルなくす覚悟ある人いる? 思いっくそ投げるから。放りまくって違うタオル戻ってくるかもしれへんけど。よっしゃ、投げまくろう」というTAKUMAの言葉に歓喜するオーディエンス。なぜなら曲はあれしかない。「CHERRY BLOSSOM」だ。ところが曲を始めたものの1コーラスでTAKUMAが演奏を中断させた。「ちょっと待て。コイツらビビってるな。タオルの端、持ってたもん。俺、見てたもん。そんなんやったら<JOIN ALIVE 2022>、一生終わらへんで。全員投げるまで帰れへんからな。全員投げへんかったら、ここ爆発するから」とTAKUMA。


こんな贅沢なおもてなしはない。嬉し涙をにじませながら、曲に合わせてタオルを思いっきり放り投げ、心の底から誰もが元気になっていく。舞い乱れるのは桜の花ではなくタオルだが、素晴らしい季節、新しい季節の訪れを強く予感させた。間違いなく10-FEETは、10-FEETのライブは本格復帰した。

「最高や、オマエら! また生きて会おうね!! <JOIN ALIVE 2022>、おめでとう! ありがとうございました!!」──TAKUMA

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎岸田哲平

<JOIN ALIVE 2022>

日程:2022年9月3日(土)、4日(日)
時間:開場 9:00 / 開演 11:00 / 終演 20:30予定 ※雨天決行
会場:北海道・いわみざわ公園〈野外音楽堂キタオン&北海道グリーンランド遊園地〉(北海道岩見沢市志文町794番地)

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