【インタビュー】KIRITO、ソロ本格始動後初アルバムに意地と証明「これまでバンドに100%を注いできた人間が今、解き放たれた」

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■最終的にどういう方向に走っていくのか
■とにかく最後まで攻めに徹して終わろうと

──ソロ本格始動後は、ライヴも様々な形で行われてきましたが、2022年7月の神田スクエアホール公演では、PIERROTの「ECO=System」や「HOME SICK」などレア曲も演奏されましたよね。事前にTwitter上でファンからリクエストの声を吸い上げるような動きもありましたし、こうしたところも今だからこそなんだろうなと思ったんです。

KIRITO:いろいろと、その時々にできるやり方で楽しむことを作れたらいいと思っているし。ああいったリクエストを聞いたのも、実際のところ、常に命がけで最新型を作ってきたから、過去に自分がどういうものを作ってきたのかって結構忘れてるというか。ファンの人にしてみたら、「昔の曲だからって、こんなにいい曲を忘れてるんですか?」っていうのがあるんだろうけど(笑)。でもね、やっぱり人間の脳ってキャパシティが決まってるから、これだけ作り続けてくるとね。みんなは“好きな曲”として曲単位で記憶してるかもしれないけど、俺からすると全部丸ごとはストックできないし、脳のメモリー容量が決まってるっていうところで、意外と昔の曲は忘れてたりするんですよ。



──ははは。照れ隠しで言ってるんじゃないかと考える人もいると思うんですが、実際のところ本当に?

KIRITO:忘れてる。もちろん実際に聴けば思い出すけど、普段からそんなひとつひとつの曲までは……。だって、人間の記憶力なんて限られてるし、僕の脳なんて80メガバイトぐらいしかないんだから(笑)。

──いつの時代の記録メディアですか?って感じですが(笑)。

KIRITO:ははは、容量が少ないんで。アコースティックで演奏するにあたって、昔の曲からピックアップして改めて聴き直すと、本当に忘れていた曲というのがあるんですよ。でも、それを新しい感覚で客観的に聴くと、“これ、すごくいい曲だな”と感じたり、“えっ、作ったの誰だろう?……あ、俺だ!”みたいなことがあるので。

──後半のセリフはさておき(笑)、時間をおいて客観的に振り返った時に、純粋に“いい曲だな”って感じられることはあるでしょうね。

KIRITO:だからセルフカバーってわけじゃないけど、そう感じられる曲たちをアコースティックでやってみようかと。アコースティックならではの面白い部分だなと思っているので。この形は今後もやっていくでしょうね。

──そうしたキャリア初期の曲を再び披露するのは、エレクトリックのバンドではなく、アコースティックという形態だからこそやれることなんでしょうか?

KIRITO:アコースティックだからでしょうね。やっぱり僕自身は過去を振り返らずにどんどん新しいものを作っていきたいんですよ。リアルでありメインの動きとしては。過去に戻って、過去の何かを復活させてみたいなことは生き方として……復活といったってね、あたかも生きてる風に見せるゾンビみたいなものは、復活でも何でもない。そんなことに興味はないんです。ただ、新しいものを作っていくと同時に、僕のアコースティックライヴのタイトル<Phantom>には幻影的なものという意味があって。過去に自分が作ってきたものを持ってきて、“歌”として聴いてもらう。それなら、新しいものと並行してもいいんじゃないかと思ったんですね。

──“歌”に焦点を絞ってるからアコースティックの形態なんですね。

KIRITO:そう。今の僕であれば、“歌”として届けることはできる。だけど、バンドでやろうとか、復活みたいなことは考えられないし、それを今やる気はないんですよ。


──そして、Angeloのアルバム『CIRCLE』からちょうど1年のタイミングで、KIRITOのアルバム『NEOSPIRAL』がリリースされます。全体から感じられるのは、KIRITOワールドの結晶だなということで。声もメロディも歌詞の世界観も含めて、“らしさ”溢れる作品ですね。その一方で、「Discord」のように過去最高に振り切ったアグレッシヴな歌唱も入っていて驚かされました。

KIRITO:さっきの話にもつながるんだけど、バンドがあった上で並行していた今までのソロとは明らかに違う。なぜかと言えば、僕がバンドでやっていたことを、今はすべてKIRITOへ変換してやっているからで。だから、もしAngeloがまだ続いていたとして、今年、次のアルバムを作っていたらこういう方向になっていただろうし。だけど同時に、これとまったく同じものにはなっていなかったわけで。

──当然、参加している面々も違うわけですから。ただ、匂いとしては『NEOSPIRAL』のような作品が生まれていただろうと。

KIRITO:やっぱり、そこら辺の舵取りというか、世界観をつないで作っていくのは僕の役割だったから、僕がやりたいと思うのは、こういった方向性ですよね。

──そして、曲順も大きく関係してると思いますが、アグレッシヴさが際立っていて、おそらくそこは強く意識してるところですよね。

KIRITO:まあ、それしかないでしょうと。僕は“攻めることしか考えられない病”なので。


──ははは、“病”ですか。特に頭3曲、「テロメア」の重い立ち上がりに始まり、ヘヴィでメロディックな「ANTI-MATTER」、そして「Discord」へと続くたたみかけは、アルバムの印象を大きく決定付けていると思いました。

KIRITO:そうですね。だから、ここからとことん行くんじゃないですか。50にして、ここまで攻撃性に舵を切る人もそんなにいないと思うので。

──たしかに。KIRITOさんは、その“50歳”という数字を結構積極的に打ち出すじゃないですか。

KIRITO:ふふふ。

──そこに関して思う部分はありますか。

KIRITO:ほっといても、いろいろ言われるだろうから、先に自分から言ってるというのもあるけど。まあ、数字じゃないんですよね。ただやっぱり、いろんな意味で大きいタイミングだと思うんですよ。人としてもそうだし、ミュージシャンとして考えても、やっぱり50歳ぐらいのタイミングからどういう方向に振っていくのかって、大きいポイントでもあると思うんです。そこで何を選択するのか。そこは強く意識していて。じゃあ、自分は最終的にどういう方向に走っていくのかっていうところでいえば、自分らしく、とにかく最後まで攻めに徹して終わろうと。そういう大きい決断のタイミングだった気もするから。

──奇しくも、これまで続けてきたバンドが大きな区切りをつけて、次に進むタイミングとも重なったし。

KIRITO:そう、自分にとってはそれもあったからね。

──それでアルバムには高純度で自身のやりたいことを注ぎ込みながら、求められるものもしっかりと詰まっていると感じました。

KIRITO:僕がやりたいと思うこと、一番カッコいいと思うことが、ファンの人にとっても同じだろうなという。その密着度みたいなものは、かなり高いほうだと思うんですよ。ファンが喜ぶから僕のやりたくないことをするとか、そういうことはしてこなかったし、僕はいつでもやりたいことをやりきるんだけど、そのやりきる姿や、やりきったものをファンの人たちも求めてるという意味では、そこら辺はかなり一体化してるんだろうなと僕自身も思いますね。

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