【ライブレポート】藍井エイル「私の10年間は得たものばかり。幸せです」デビュー10周年記念の横アリ初ワンマン

ツイート

藍井エイルがデビュー10周年を記念した単独ライブ< Eir Aoi 10 th Anniversary LIVE 2022 KALEIDOSCOPE History of 2011-2022>を11月13日、神奈川・横浜アリーナで開催した。

◆ライブ写真

藍井エイルが横浜アリーナでワンマン公演を行なうのは今回が初。さらに、自身で単独公演を開催するのも今年2月に<藍井エイルLIVE HOUSE TOUR 2022〜PHOENIX PRAYER〜>を行なって以来となる今回のステージ。

静かにドアが開くと、時計の音が鳴り響く中、そこにはキャンドルの炎が広がっている。まるで、なにかの儀式に導かれていくような荘厳なオープニング映像が粛々と流れる。エイルバンドのメンバーがオンステージした直後、暗闇の中、ショーパンにドレスをまとったエイルが中央にスタンバイ。ライブはメジャーデビュー曲「MEMORIA」で幕開け。《傷つく君は もう独りじゃない》、《君と過ごした証は 確かにここにある》──当時エイルが綴った歌詞、そこに10年分の想いをのせて届けようとするエモーショナルな歌唱に、オープニングから胸を打たれる。

いまやアニソンシンガー界では、ロックナンバーを抜けのいいクリアなハイトーンヴォイスでエモーショナルかつ、正確無比に歌わせたらこの人の右に出るものはいない。そんな地位を確立したといえる藍井エイル。次は、左右へ走り抜けながら「AURORA」で客席を煽り、そこから「シンシアの光」へとお得意のロックチューン連打で、冒頭から一体感ある空間を堂々と作り上げてみせた。初の横アリとは思えないほど、初の日本武道館、活休明けの武道館とも違う、貫禄のステージングに思わず感極まる。

「今日はいつもと違った感じで、みなさんを“KALEIDOSCOPE”の世界に閉じ込めて、迷い込ませようと思います。迷え!」と呪文(?)を唱え、曲は「KASUMI」へ。ドレスの裾をひらめかせ、柔らかなサウンドのなかへと歌で迷い込ませたあとは、「サンビカ」で再びロックなエイルワールドへ。ジャンプで横アリを揺らしまくるオーディエンスに、声出しできない歌パートも「心で!」とエイルが叫び、客席のテンションをさらに上げていき、「コバルト・スカイ」ではタイトルが示すように、イントロ一発で青い照明と客席の青いペンライト、すべてを動員して横アリ一面に雲ひとつない爽やかな青空を作った瞬間は圧巻! そのなかで、観客は一斉にタオルを回して新しい世界の扉をこじ開けていく。

そして、その先にあったのは「グローアップ」という展開に痺れた。メロディーのなかに言葉を詰め込んだ反抗期を歌ったエイルの歌詞とともに、観客がエイルの指示にしたがって左右に移動して飛び跳ねる動きも、お祭りサウンドがジャジーなベースフレーズで大人の世界へと迷い込んでいくところも、最後にもう2度と言わないかもといってエイルが《子供の時も 今の私も 愛してくれてありがとね》と可愛く指ハートを送るところも新世界なこの曲は、これまでの積み重ねてきたキャリアがあってこそ生まれた曲といえる。

そうして、ライブは映像パートへ。“ひとりぼっちだった” “帰る場所を見つけた私” “あなたの喜ぶ笑顔が見たい” “楽しませるにはどうしたらいい?”と、エイルが独白しているような詩が、スクリーンに綴られていく。このあと、ライブは青空と背中合わせにある世界へと迷い込んでいく。短いスカートに衣装替えしたエイルが夜の帳に包まれたステージで、ファルセットを使いながら「星が降るユメ」をせつない声で歌い上げたあとは、イントロから濃厚な「GENESIS」の世界観へ。ドラマティックな曲展開。その中で、凛とした姿でステージに立ちながら、歌に全集中、全パワーを注ぎ込み、言葉に魂を宿らせながら激情たっぷりに歌を放っていくエイルは、惚れ惚れするほどにカッコいい。こうして、曲の壮大な世界観へとどっぷり誘っていったあと、歌始まりのアップリフティングな「鼓動」へ息切れもなく見事につないでいき、曲中“1、2、3、4”のカウントで観客のハートに再び火をつけていく手腕はお見事!


そして、ヨルシカのn-bunaプロデュースによる最新シングル「心臓」(『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ』主題歌)、続けて「ANSWER」という2曲をライブ初パフォーマンスしてファンを驚かせたあとは、「流星」ですべての闇を照らしていって、同郷であるGLAYのHISASHIプロデュースによる「シューゲイザー」で、光と影をクロスオーバーさせていった流れも素晴らしくて、その物語性にも大感動。

バンドメンバーによるインスト演奏をはさみ、白い衣装に着替えて出てきたエイルは、陽だまりのような温かな照明に包まれながら「虹の音」、自分をずっと見守ってくれたみんなに届けといわんばかりに「約束」をピンと張りつめたロックなヴォーカルとは対照的な、柔らかで穏やかな声で歌い、観客を優しく包みこんでいった。みんなが感動に浸っていると、エイルまで浸ってしまい、演奏は続いているのになぜか微妙な間が。と思っていたら「あっ…メンバー紹介忘れてた! ごめーん」とエイル。このハプニングにはメンバーも観客も心で大笑い。

そうしてこのあと、サビが2段階でやってくるような今年リリースした新しいエイルロック「PHOENIX PRAYER」からライブはいよいよ終盤戦に突入。ブルーのペンライトを手に、一斉ジャンプで横アリを揺らしてみんなが飛び立っていった「翼」、「IGNITE」ではイントロ後、シルバーテープがアリーナに華やかに放たれて、曲中ペンライトをみんなで真っ赤にしてさらに場内を揺らしていく。そうして、客席の一糸乱れぬペンライトの動きがいまやこの曲の一部ともいえる「INNOCENCE」で、どこまでも一体感を高めていったあと、最後は、「ラスト、シリウス!」というエイルのタイトルコールで「シリウス」を投下。最後の最後に代表曲を連打で叩き込み、場内を激アツに盛り上げていったエイルは、「したっけ!」と挨拶をしてステージを後にした。


アンコールを受け、ステージに戻ってきたエイルは、さっそくとある先輩に横浜アリーナには「魔物が住んでいる」といわれたことを思い返しながら「魔物に会っちゃったね。すいませんでした」とメンバー紹介を忘れたことを反省。クールに見えて、こんなお茶目なところもエイルの魅力。そうして「みんなのお陰で私の夢が叶います」といって、これまでエイルサウンドにはなかった「HELLO HELLO HELLO」をナチュラルに歌い出すと、ステージからアリーナ席の外周までを埋め尽くす、総勢52名の女性ダンサーが登場。エイルは念願だったトロッコへと乗り込み、その内側を移動しながら、観客めがけて手を振り、この曲を歌唱していった。

アリーナならではの演出をここまで楽しく華やかで派手なベクトルへと振り切り、そのなかで笑顔たっぷりに歌うエイル。10年経って、あの藍井エイルが自然体で、こんなにも解放感たっぷりのライブができるようになったということが個人的に感慨深かった。

そして、エイルからはこの曲の振り付けがコレオグラファーのakaneであること。さらに、ダンサーは日本工学院ダンスパフォーマンス科の学生たちであることが伝えられ、続けて、日本工学院のCMソングに起用され、まだ未発売の新曲「YeLL」もダンサーとともに初披露した。


ダンサーがはけたあと「HaNaZaKaRi」を繰り出したエイルは「10年かけてここまでこれたのはみなさんのお陰です。この先、100歳までみんなといたいので、これからもよろしくお願いします」と観客に感謝と熱いメッセージ伝えて、最後は今後も夢を追い続ける決意を込めて「ラピスラズリ」をものすごい熱量で熱唱。歌い終えたエイルは、少し涙ぐみながらも「10周年だから10回」といって「エイエイルー!」のおなじみの掛け声をバンドメンバー、会場のみんなとともに行ない、この日のライブを締めくくった。

バンドメンバーを送り出したあと、再びマイクに向かったエイルは会場をゆっくりと見渡した後「今日は特別な日。10年歌ってきて、そのなかで変わったもの、失ったものもあるけど。でもね、何が幸せかって、私の10年間は得たものばかり。幸せです。たくさんの景色、たくさんの体験をさせてくれてありがとう。これからもいろんな景色、一緒に見ましょう。したっけ!」と最後に元気な声でいまの気持ちを伝え、笑顔でステージを後にした。

終演後は、映像を通して2023年1月11日に、ニューアルバム『KALEIDOSCOPE』を発売することを伝えた藍井エイル。来年早々届く新作で、いったいどんな新しいエイルを見せてくれるのか。ぜひとも、期待して待っていてほしい。

取材・文◎東條祥恵

セットリスト<Eir Aoi 10th Anniversary LIVE 2022 ~KALEIDOSCOPE~ History of 2011-2022>

2022年11月13日(日)横浜アリーナ

01. MEMORIA(TVアニメ「Fate/Zero」EDテーマ [2011.10.19発売])
02. AURORA(TVアニメ「機動戦士ガンダムAGE 三世代編」OPテーマ [2012.9.5発売])
03. シンシアの光(PS3・PS Vitaゲーム「ソードアート・オンライン -ロスト・ソング-」オープニングテーマ[2015.6.24「D’AZUR」収録])
04. KASUMI [2014.1.29「AUBE」収録]
05. サンビカ(TVアニメ「キルラキル」挿入歌 [2014.1.29「AUBE」収録])
06. コバルト・スカイ [2013.6.26]
07. グローアップ [2019.4.17「FRAGMENT」収録]
08. 星が降るユメ(TVアニメ「Fate/Grand Order –絶対魔獣戦線バビロニア-」EDテーマ[2019.11.27])
09. GENESIS(TVアニメ「」EDテーマ [2015.2.18])
10. 鼓動(TVアニメ「バック・アロウ」2期OPテーマ [2021.6.16])11. 心臓 (「劇場版ソードアート・オンライン -プログレッシブ-冥き夕闇のスケルツォ」主題歌 [2022.10.19])
12. ANSWER (アプリゲーム「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン」主題歌 ※未発売)
13. 流星 (TVアニメ「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」OPテーマ [2018.6.13])
14.シューゲイザー [2015.10.28]
15. 虹の音 (TVアニメ「ソードアート・オンラインExtra Edition」テーマソング [2014.1.1])
16. 約束 [2018.6.13]
17. PHOENIX PRAYER(TVアニメ「15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ」2期OPテーマ[2022.2.16])
18. 翼(TVアニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」OPテーマ [2016.7.20]
19. IGNITE(TVアニメ「ソードアート・オンラインⅡ」OPテーマ [2014.8.20])
20. INNOCENCE(TVアニメ「ソードアート・オンライン フェアリィ・ダンス編」OPテーマ [2012.11.21])
21. シリウス(TVアニメ「キルラキル」OPテーマ [2013.11.13])

EN 01. HELLO HELLO HELLO (TVアニメ「カッコウの許嫁」EDテーマ [2022.8.17])
EN 02. YeLL (日本工学院CMテーマソング ※未発売)
EN 03. HaNaZaKaRi [2015.10.28「シューゲイザー」収録]
EN 04. ラピスラズリ(TVアニメ「アルスラーン戦記」EDテーマ [2015.4.22発売])

New Album『KALEIDOSCOPE』

2023年1月11日(水)発売

CD予約はコチラ(早期予約特典あり)
https://eiraoi.lnk.to/0111AL_CD

<発売形態>
〇完全生産限定盤(CD+BD+DVD+PHOTOBOOK+Tシャツ)¥10000+税
〇初回生産限定盤A(CD+BD+PHOTOBOOK) ¥4000+税
〇初回生産限定盤B(CD+DVD+PHOTOBOOK) ¥4000+税
〇通常盤(CD) ¥3000+税

▲『KALEIDOSCOPE』完全生産限定盤

▲『KALEIDOSCOPE』初回生産限定盤A

▲『KALEIDOSCOPE』初回生産限定盤B

▲『KALEIDOSCOPE』通常盤

<CD収録曲>
・「心臓」(「劇場版ソードアート・オンライン -プログレッシブ-冥き夕闇のスケルツォ」主題歌)
・「HELLO HELLO HELLO」(TVアニメ「カッコウの許嫁」2期EDテーマ)
・「PHOENIX PRAYER」(TVアニメ「15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ」第2オープニングテーマ)
・「アトック」(TVアニメ「BLUE REFLECTION RAY/澪」第2クールオープニングテーマ)
・「鼓動」(TVアニメ「バック・アロウ」2ndオープニングテーマ)
・「I will...」(TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」2ndクールエンディングテーマ)
・「星が降るユメ」(TVアニメ「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」EDテーマ)
・「ANSWER」(アプリゲーム「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン」主題歌)
・「月を追う真夜中」(TVアニメ「グランベルム」オープニングテーマ)
・「YeLL」(日本工学院CMテーマソング)
 …他、全13曲収録予定

<BD/DVD 収録曲>
・「心臓」Music Video
・「HELLO HELLO HELLO」Music Video
・「PHOENIX PRAYER」Music Video
・「アトック」Music Video
・「鼓動」Music Video
・「I will...」Music Video
・「月を追う真夜中」Music Video
・「星が降るユメ」Music Video
 …ほか全10作品収録予定

予約・購入特典情報はコチラ
https://www.aoieir.com/news/archive/?546848

CD予約はコチラ
https://eiraoi.lnk.to/0111AL_CD

この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス