【ライブレポート】「お待たせしました、これがlynch.の武道館です」

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2022年から一時活動休止期間に入り、メンバーそれぞれ別々の活動を行っていたlynch.。11月23日、彼らは再び集結し、バンド念願の地であった日本武道館のステージで堂々復活を遂げた。昨今のバンドとしては珍しいほど初期の頃から「武道館」という明確な目標を掲げ続け、コロナ禍での中止という難局も乗り越えて、ついに辿り着いた約束の場所。歴史に刻まれる特別な一夜でありつつ、どこまでもlynch.らしさを貫いたライブのレポートをお送りする。

◆ライブ写真

開演予定の17時を少し過ぎた頃、早くも拍手が湧いて暗転。ビジョンに、結成当初からのアーティスト写真やミュージックビデオをコラージュした映像が流れた。葉月(Vo)、玲央(G)、晁直(Dr)の3人で始まったlynch.に、悠介(G)、明徳(B)が加わり、時代ごとにヴィジュアルアプローチを変えながらも、愚直に歩いてきた18年。決して平坦ではなかった道のりと、その年月の中で移り変わった時代を思い返して早速胸が熱くなる中、ドンと表示された「lynch.」の巨大ロゴを背景に、黒い衣装に身を包んだ5人がステージに現れた。


最後に登場した葉月の「lynch.です! よろしくお願いします!」といういつもの挨拶を合図に、インディーズ時代の楽曲「LAST NITE」でスタート。静謐なピアノとヘヴィなリフが絡み合い、重厚なグルーヴが武道館に拡がっていく。初武道館かつ約1年ぶりのライブになるわけだが、5人の佇まいにも、音にも、緊張感は感じない。むしろ自信と期待を漲らせ、武道館を飲み込まんとする気合に満ちていた。その気合は2曲目から完全に爆発。晁直のカウントから「ようこそ、処刑台へ!」と始まった「GALLOWS」に続き、「GREED」「EVOKE」「CREATURE」とヘヴィなナンバーを畳みかけ、一気に会場全体を熱狂の渦へたたき込んでみせた。

悠介と玲央の硬質なリフ、ベースソロでも魅せる明徳、獰猛なビートを繰り出す晁直。鉄壁のアンサンブルの中心で、葉月はシャウトやグロウルとのびやかな歌声を使い分けながら、「伝説の夜にしましょう!」「心の声をください!」と巧みに煽る。オーディエンスは一丸となってヘッドバンギングや拳で応え、もはやクライマックスと言ってもいい昂揚感に息を呑んだ。武道館を目指してきたバンド側の想いはもちろんのこと、「武道館に立つlynch.」を待ち続けたオーディエンスの想いもメンバーに負けないほど熱いのだ、ということがひしひしと伝わってくる。


とはいえ、実際ライブはまだ開始30分。「絶対lynch.で武道館に行こうねと、しつこいほどに、ファンのみんなと言い続けて。もう10年以上経ってるよね。お待たせしました、これがlynch.の武道館です! ヤバイよな!」と葉月が笑顔を見せたMCを挟んで、さらなる疾走ナンバー「XERO」、ライブタイトルにもなっている「THE FATAL HOUR HAS COME」、シャウトで始まる「JUDGEMENT」と容赦なく連投し、どんどん会場の沸点をあげていく。バンドの歴史の中で牙を研いできたキラーチューンたちが、武道館で奏でられるのを待っていたかのように暴れ回るさまが痛快極まりない。

そして、赤と紫の照明でエロティックなムードが広がる「GHOST」、悠介の浮遊感溢れるギターがきらめく「LIE」からは、激しいだけではないlynch.の艶やかな側面が開花。葉月が「次の曲を作った時、僕たちはまだ若造でした。その時には表現し切れなかった色気とか妖しさ、説得力を増して、この曲を武道館につれてくることができました」と紹介した「melt」では、言葉どおり深みを増した妖艶な音で魅了しつつ、コーラスを担う玲央に葉月が跪いて狙いを定める恒例のシーンも健在。悠介の情熱的なギターソロとアルペジオが彩るバラード「forgiven」から、最新アルバム『ULTIMA』のダークチューン「ASTER」でより深淵の世界へと導き、進化した表現力を見せつけた。


束の間の静寂を「D.A.R.K.」のリフとシャウトで切り裂き、「暴れに来たんだろ? 俺にはライブハウスにしか見えねえぞ!」と葉月が叫んで後半戦に突入。「I'm sick, b'cuz luv u.」「MIRRORS」などオーディエンスの大合唱がお馴染みだった楽曲では、変わらずマイクを客席に向ける葉月。今はまだ声を出せない状況だが、手を差し伸べて心の中で歌うオーディエンスの声が誰しもの胸に響いていたに違いない。

「スーパーバンド・lynch.のメンバーを紹介します!」と葉月が晁直、悠介、玲央と名前を呼び、明徳を忘れて曲を始めようとする……というコミカルな(葉月曰く)“茶番”を挟み、明徳のスラップペースから「INVADER」へ。ステージにも客席にも笑顔が拡がり、一体感がますます高まっていく。

そんな会場を見渡し、「lynch.に会えて良かった? そう思う人がこんなにいるんですか…じゃあ、セックスするしかないじゃん!」「セックスしようぜー!」とおよそ武道館に似つかわしくない宣言で始まるのはもちろん「pulse_」。メンバーもオーディエンスもヘッドバンギングの応酬で狂騒のピークへ──と思いきや、突然葉月にマイクを向けられた晁直の動揺で曲が止まるというハプニングが。ハプニングすらも楽しみ、笑い合う5人に絆を感じながら、曲の頭からもう一度やり直すというむしろお得な展開となった。

さらに、2021年2月に行われるはずだった武道館公演前にリリースされたシングル「ALLIVE」を披露して雪辱を果たしたあと、本編ラストには「CULTIC MY EXECUTION」を投下。葉月の語りと地の底へ堕ちていくようなグルーヴで闇色に染め上げ、不穏な残響を残してステージをあとにした。


「lynch.は昔から少しずつ会場の規模を大きくしていって、よく”夢叶えおじさん”だから、みたいに言ってたじゃないですか。みんなにも、自分の夢がある人は大切に追いかけてくださいって話を何度もしたことがあると思うんですけれども、今日が僕の人生上一番の“夢叶えおじさん”です!(笑) みなさんもとことん自分の夢に向き合って、緊張する自分に打ち勝って掴み取ってください。俺は掴んだぞ!」──葉月

「今日の昼頃までは、正直『武道館だなあ』くらいだったんですけど、本番になって登場して、この景色を見て『あ、ヤバい』と思って、最初のほうは(客席を)見れなくて。人が入ったら、景色が全然違う。これはステージ側でしか味わえない貴重な経験だと思いますので、そんな経験をさせてもらえて嬉しく思っております」──晁直

「武道館はすごく特別な場所なんですけど……こうやってみなさんと一緒に過ごす時間――来れなかった人も声を届けてくれてると思うんだけど、そういうことが大事なんだなと思って。小さいライブハウスでもたぶん同じ気持ちだったと思います。久々にみなさんの前で“lynch.の悠介”としてギターを弾けたことがとても幸せでした」──悠介

「本当に、この日を迎えられてよかったと思ってます。(涙ぐみつつ)ずっと、みんなを武道館に連れて行きたかったんです。でも、今日このステージに立って思ったのは、僕が連れて来てもらったんだと。みんなに支えられて、スタッフがいて、なにより最高のメンバーがいて、武道館に立たせてもらいました。だからといって、このまま甘えるわけにはいかないので。2回目、3回目、もっとその先もずっと続けていきたい。ずーっとみんなと一緒に同じ時間を過ごしていきたいと思っています」──玲央

「ずっと長い間、どんなことがあっても応援してくれて、ライブに来て楽しんでくれるみんな。いろんなバンドの仲間たち、先輩、後輩。今日のライブを作ってくれたスタッフ。そして、あの日僕を戻す決断をしてくれたlynch.のメンバー、本当にありがとうございます。今日ここに、この5人で立っとるということを、本当に感謝して、誇りに思います」──明徳


鳴り止まない拍手で迎えられたアンコールで、それぞれの想いを語った5人。全員から強く伝わってきたのは、諦めずに歩んできたバンドへの誇りだった。「夢を叶える」という言葉をここまでストレートに発し、実際に実現してみせるバンドは数少ない。そして、5人はさらに上を目指している。結成から18年を越えてなお夢を抱き続ける5人のキラキラした表情が、たくさんの人に勇気を与えたはずだ。

そこから、エモーショナルな空気を吹き飛ばすように「THIRTEEN」「EVILLY」とアグレッシブなナンバーを連発。再び熱を高めると、「この曲ができてから、ここでずっとやりたかった。日本武道館の高い天井に、みんなの心の声を響かせてください!」と「EUREKA」へ。ミラーボールの光が目映く輝く中、「♪ラララ」とコーラスパートがある壮大なサウンドスケープが武道館に響き渡る。美しいメロディと光景が、この場所に集まった全員を祝福していた。


2度目のアンコールでは、これまで数々の名場面を生み出してきた「ADORE」が満を持して贈られ、金銀のテープが降り注いだ。明るく照らされた武道館にオーディエンスの笑顔とテープがきらめくこの光景もまた、彼らが夢に描いていたシーンに違いない。忘れられない景色を目に焼き付け、「この手は離さない」と歌う「A GLEAM IN EYE」で万感のフィナーレを迎えた。

渾身の想いをすべてステージに刻みつけた、約3時間半に亘る熱演。たしかにバンドの集大成と言えるライブだったけれど、終演後の会場に残っていたのは、ここから始まる未来の予感だった。ニューアルバムリリースも告知された2023年、ソロ活動や武道館を経たlynch.が見せてくれる新しい夢に期待が高まる。

取材・文◎後藤寛子
撮影◎江隈 麗志

ツアー情報

TOUR'23
2023年
3月4日(土)Zepp Nagoya
3月5日(日)Zepp Osaka Bayside
3月12日(日)Zepp DiverCity
3月18日(土)Zepp Sapporo
3月21日 (火祝) SENDAI GIGS
4月2日(日)Zepp Fukuoka
4月23日(日)KT Zepp Yokohama

詳細後日発表

18th Anniversary Premium Live「THE IDEAL」

2022年12月31日(土)
Zepp Nagoya
開場16:15 開演17:00
1Fスタンディング・2F指定 ¥7,700(税込/D別)
※未就学児入場不可
[問]キョードー東海:052-972-7466

チケット
・FC[SHADOWS] 先行(抽選)
受付期間:11月25日(金)15:00~12月1日(木)23:59
受付URL:会員ページ内「LIVE&EVENT」にてご案内 https://shadows.lynch.jp/live/3276
対象席種:1Fスタンディング・2F指定 (第2希望までエントリー可)
制限枚数:1会員様1申込4枚
※11月24日(木)12時時点で有効会員の方が対象です。

・オフィシャル先行(抽選)
受付期間:12月2日(金)15:00~12月7日(水)23:59
受付URL:後日ご案内
対象席種:1Fスタンディング
制限枚数:お1人様1申込4枚

・一般発売(先着)
12月18日(日) 10:00~
詳細後日ご案内

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