【コラム】DISH//、それは挑戦と努力のバンド

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1月29日放送の『情熱大陸』でDISH//が特集された。DISH//は、同じ事務所で俳優として活動していたメンバーによって結成されたバンド。当初は楽器未経験で、楽器を持ちながら歌って踊るスタイルで活動していたが、メンバーは影で必死に練習し、自分たちの手でDISH//の曲を演奏できるようになった。そして現在結成12年目。豊富なディスコグラフィの中には、気鋭のクリエイターから提供を受けた曲もあれば、他アーティストとの共作によって生まれた曲もあり、様々な表現に挑戦することがバンドをさらに成長させたが、最近ではその土壌を活かし、メンバー自ら作詞作曲する機会も増えてきている。

ファンからは隠れた名曲として愛されていたバラード「猫」がYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」をきっかけに世に広まったのは2020年のことで、2021年には『第72回NHK紅白歌合戦』に出場。音楽番組やフェスに多数出演し、多忙な日々を送る4人だが、「猫」はあいみょんから提供を受けた曲であることから、メンバーは“自分たちの手でヒットソングを生みだしたい“と奮闘中だ。そんな中2月1日にリリースされたニューアルバム『TRIANGLE』は、メンバーが書いた曲を中心に構成されている。

『情熱大陸』では『TRIANGLE』の制作過程やライブの舞台裏に密着。特にピックアップされたのは“メンバーと作ったメロディにDISH//の今を表した言葉を乗せたい”という想いの下制作された新曲「ブラックコーヒー」で、初めての一発録りに挑戦するメンバー4人の様子や、悩みながら歌詞を書く北村匠海(Vo,G)の様子を私たちは知ることができた。泣きたくなるほど散々な日でも“Black Coffee飲もう”と繰り返すこの曲は、重心の低いロックサウンドも相まってほろ苦い後味。酸いも甘いも嚙み分けながらここまでやってきたバンドの道のりをブラックコーヒーというモチーフに重ねる感性がクールだ。また、“DISH//の今を表した言葉”という観点で言えば、北村が作詞作曲したアルバムのラストナンバー「真っ白」にも注目したい。“真っ白なキャンバス描くのはさ/そうさ!君の未来だからさ”と歌う「真っ白」と「ブラックコーヒー」は陰と陽のように対極に位置しているが、どちらもDISH//の自画像として存在している。



クレジットは“作詞作曲:DISH//”だが北村が中心となって歌詞を書いた「ブラックコーヒー」も含めれば、北村は『TRIANGLE』で7曲の作詞を担当。彼の書く歌詞の持ち味といえば、語彙や発想のオリジナリティだろう。例えば、「しわくちゃな雲を抱いて」のサビは“やりたいようにやればいいよ”ではなく、“やりたいようにやれば太陽”と歌っているのが面白い。もちろんタイトルに掛けた言葉遊びだろうし、もしかしたら泉大智(Dr)の書いた上昇型のメロディに呼ばれて思いついたアイデアだったのかもしれない。

「五明後日」には“当てつけの光”や“風邪気味の命”などユニークなワードが登場。他では聞かない言葉だが、どのような様子を表現しているのか、聴き手が自然と想像できる絶妙なラインだ。歌詞カードを見て初めて気づく“生きて/生きて/生きて/生けたら。”という表記にも想像が膨らむ。また、過去のインタビューでは橘柊生(DJ,Key)が「匠海の歌詞は優しいんですよね。“頑張れよ”と投げかけるんじゃなくて、“一緒に頑張ろう”と言ってくれる温かさがどの曲にもある」と語り、ファンからの共感の声が相次いだ。北村の歌詞に滲む優しさは、「Replay」や「五明後日」、「真っ白」など様々な曲から感じ取れるだろう。





『TRIANGLE』では北村だけではなく、メンバー全員が作詞あるいは作曲に携わっている。橘が作詞作曲を手掛けたのは「スパゲッティ」と「Brand new day」の2曲。どちらの曲からも“take it easy”的な精神性が感じられるが、彼自身の人柄が出ているのだろうか。ここで着目したいのは「スパゲッティ」冒頭の“大人って is 何?”で、英語を発音する時のように“て”と“is”と“何”を繋げる北村のボーカルも相まって、印象的な歌い出しが実現している。

アルバムのスパイスとなるハイスピード・パンクナンバー「FLY」は、泉の作詞作曲によるもの。曲の疾走感をさらに増幅させる言葉が選ばれているほか、日常ではあまり使わない言い回しが多く、歌詞表現ならではの面白さを謳歌している印象だ。なお、泉が歌詞を書いた曲が世に出るのは「FLY」が初めてだ。矢部昌暉(Cho,G)は「マチネソワレ」で作曲に挑戦した。同曲の作詞は北村で、明るくのびやかなメロディと濃厚な世界観の歌詞をあえて組み合わせているのが新鮮。こういった化学反応が起こり得るのも、全員がソングライティングに挑戦しているバンドだからこそだろう。

メンバーが書いた曲をもっと聴きたいという人には、過去のリリースを遡ることをおすすめしたい。個人的におすすめしたいのは、メンバーが初めて作詞作曲に挑戦した曲で、ライブでも盛り上がる「Shall We Dance????」(作詞作曲:DISH//)、北村による自由でファンタジックな歌詞が魅力的で、当時DTM初挑戦だった泉が作曲・編曲を手掛けた「宇宙船」(作詞:北村、作曲:泉)、北村と橘の2MCが刺激的な「B-BOY」(作詞作曲:橘)、外部作家との共作曲ではあるが、歌詞から4人の関係性が透けて見える「乾杯」(作詞:DISH//&浅利進吾、作曲:浅利進吾)辺りだ。

また、今回は歌詞に焦点を当てたため残念ながら番組内では取り上げられなかったが、アルバムのリード曲「万々歳」は“ダンスロックバンドとしてのDISH//”のニュースタンダードになるであろう意義深い曲だ。この記事で言及できなかった曲も含め、アルバム『TRIANGLE』には全12曲が収録されている。曲順にもこだわりが詰め込まれているので、是非通して聴いて楽しんでほしい。

なお、『情熱大陸』のDISH//回は2月5日(日)22時59分までTVerにて配信中。制作背景を垣間見たり、メンバーの想いに触れたりすることで、アルバム『TRIANGLE』をもっと楽しめるはずだ。

文◎蜂須賀ちなみ

■TVer『情熱大陸』
https://www.mbs.jp/jounetsu/2023/01_29.shtml

5th Full Album 『TRIANGLE』

2023年2月1日(水)発売
【形態】
■初回生産限定盤A / CD+Blu-ray+60Pブックレット / SRCL-12408~12409 / ¥7,700
■初回生産限定盤A / CD+DVD+60Pブックレット / SRCL-12410~12411 / ¥6,600
■初回生産限定盤B / CD+Blu-ray+60Pブックレット / SRCL-12412~12413 / ¥7,700
■初回生産限定盤B / CD+DVD+60Pブックレット / SRCL-12414~12415 / ¥6,600
■通常盤 / CD / SRCL-12416 / ¥3,300
■完全生産限定 TRIANGLE BOX / トライアングル型スペシャルBOX+CD+DVD+「TRIANGLE」グッズ / SRC8-22~24 / ¥11,000
■完全生産限定 Value Edition / CD [7曲入り] / SRC8-25 / ¥2,000

【CD収録楽曲】
1.No.1
- 読売テレビ・日本テレビ系 TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」第5期オープニングテーマ
2.しわくちゃな雲を抱いて
- TBS系 火曜ドラマ『ユニコーンに乗って』主題歌
3.沈丁花
- 日本テレビ系 土曜ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』主題歌
4.スパゲッティ
5.万々歳
6.マチネソワレ
7. Brand new day
- ブルボン「濃厚チョコブラウニー」CMソング
8. Replay
- 第89回(2022年度)「NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部 課題曲
9.五明後日
- テレビ朝日系 木曜ドラマ『ザ・トラベルナース』主題歌
10.ブラックコーヒー
11. FLY
12.真っ白

<DISH// HALL TOUR 2023 "TRIANGLE">

2023年
4月19日(水)  千葉・松戸森のホール21
4月22日(土)  栃木・栃木県総合文化センター
4月23日(日)  群馬・高崎芸術劇場
5月1日(月)   東京・LINE CUBE SHIBUYA
5月2日(火)   東京・LINE CUBE SHIBUYA
5月13日(土)  新潟・新潟県民会館
5月14日(日)  富山・オーバード・ホール
5月18日(木)  大阪・大阪オリックス劇場
5月19日(金)  大阪・大阪オリックス劇場
5月21日(日)  愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
5月27日(土)  岡山・岡山市民会館
5月28日(日)  愛媛・松山市民会館
6月2日(金)   福岡・福岡市民会館
6月16日(金)  宮城・仙台サンプラザホール
6月20日(火)  埼玉・大宮ソニックシティ
6月24日(土)  広島・広島分化学園HBGホール
6月25日(日)  兵庫・神戸国際会館こくさいホール
6月29日(木)  東京・恵比寿ガーデンシアター

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