【対談】Rest of ChildhoodのHAL × 漫画家のふるかわしおり、共鳴する異業種と増幅するシナジー「曲を聴いたときにキャラクターが無理なく動いていく感覚」

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■彼女と知り合って
■漫画家ってカッコいいなと

──個人的には、「MILK」の主人公は年上に憧れる10代で、男の子は社会に出ている人なのかなと想像して聴きました。

ふるかわ:ピンポイントすぎです(笑)。

HAL:設定はしおりちゃんが考えていたのと同じだね。そういう提案は大事にしてた。

ふるかわ:大人になると18歳も23歳もさほど変わらなく思うんだけど、18歳の時の23歳ってめちゃめちゃ大人に見えたし。私自身18歳当時は、それぐらいの年齢の人に憧れたから、むちゃくちゃ背伸びしてたんですよ。で、“何でこのひと言が言えないのかな”って悩んだりとか。

──いろいろ考えて、言葉を呑み込んじゃうことがありますよね。

HAL:女の人のほうがませてるな(笑)。「MILK」という曲は最後の部分がドラマティックな展開をするんですよ。“ミルクで薄めた思い出へ 別れ告げた”と歌っているのは、大人になった女の子が過去を振り返って、“あんなことがあったな。懐かしいな。でも、未だにコーヒーはブラックじゃ飲めないんだよな”と思っている感じ。飲んでるもの自体は同じなんだけど、過去と今では、感情が全然違う。そういうことを疾走するロックで伝えたかった。


▲ふるかわしおり

──なるほど。今作のジャケットは「MILK」からインスピレーションを得た漫画のひとコマだったりするんですか?

HAL:それとは別に、「こんなイラストも描いたよ」って送ってきてくれたものだったんですよ。ジャケット前提の絵ではなかった。だけど、カラーだし、これを使おうかって。ただ、まんま使うと少女漫画色が強いから、「ロックの要素を入れよう」って僕が落書きしたのが、手に描いた星とコーヒーカップのロゴ。で、ポラロイド写真みたいなデザインにして。

──漫画家とペインターのコラボによって完成したデザインなんですね。女の子の表情や、男の子のカップを持つ手だけが描かれている構図がいいですよね。

ふるかわ:そういえば電話で、「「MILK」という曲は何色のイメージ?」っていう質問をしたことがありましたね。

HAL:訊かれた。「赤」って答えたんだけど。

ふるかわ:「赤と黒」って言われたと思う。だけど、自分の中でどうしても“赤色”が探し出せなくて、「どこに“赤”があるの?」と訊いて。



HAL:この曲には“赤”“黒”“白”のロックなイメージがあって、最初はその色でジャケットを作ろうと思っていたからね。ミルクって牛も人間も、血液が混ざってるものじゃない? だから“赤”だったんだよ。

ふるかわ:私には“白”と“灰色”のイメージがあって、光の三原則だと“白”は“赤”“青”“緑”の集合体だから、それをジャケットの絵に落とし込んだんですね。

HAL:なるほどね。

ふるかわ:それをさらに“白”で薄めて、“緑”と“ピンク”と“水色”を使って描いたんです。ジャケット前提で描いたものじゃなかったから、こういう形にしてもらって本当に嬉しかったし、イラストって漫画家の仕事とはまた違う世界なので、すごく楽しかったですね。


▲HAL(G&Vo)

──冒頭で「フィーリングが合った」という話がありましたが、お互いどんなところで共鳴したんですか?

HAL:ふるかわしおりという人は漫画家という職業にプライドを持っていて、ストイックだから、ハッとさせられることが多いよね。「ヴィジュアルもいいし、もっと表に出たら?」っていう話をしたことがあったんだけど、「漫画家だから作品の影に過ぎない」っていう答えが返ってきて。自分の出方だったり、立ち位置をすごく気にしてるんだよね。僕はもっとふわっとしてて、“あれもやりたい。これもやってみたい”ってなっちゃうんだけど、彼女と知り合って、漫画家ってカッコいいなと思うようになった。

ふるかわ:私もペインターという職業の人に会ったのは初めてだったから、最初の印象は“掴みどころがない人だな”って。みんな、そう思うんじゃないかな。“この人、何考えてるんだろう?”って(笑)。でも、実際に話してみると情に厚いし、いつも前向きだから、引っ張ってもらえる感覚があるんですよね。

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