【インタビュー】ASKA、デイヴィッド・フォスターと共演「あの人の音楽に出会わなかったら自分の音楽はここまで長続きしてない」

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音楽をやるにあたって、特定のアーティストに憧れてという経歴をもたないASKAが、唯一影響を受けたと名前を上げるアーティストがいる。それが、シカゴのアルバム『Chicago 16』を通して出会ったデイヴィッド・フォスターである。ASKAが作る音楽がフォークを抜け出し、よりたおやかに、優雅にきらめきだし、日本を超えてアジアのヒット曲になっていったのはこの人の存在があったからこそ。

デイヴィッドはこれまでシカゴの「Hard To Say I’m Sorry(素直になれなくて)」を始め、セリーヌ・ディオンの「Falling Into You」、アース・ウィンド・アンド・ファイアー「After The Love Has Gone」、ホイットニー・ヒューストンの「I Have Nothing」などを手がけ、過去に16のグラミー賞を獲得した超大物アーティスト。そんな彼とASKAの初対面は4年前。デイヴィッドのライブにASKAが出向き、楽屋で挨拶したところから始まった。そうして昨年、日本でデイヴィッドがBillboard Liveで公演を行なった際に、彼が「歌いたい人?」と客席に呼びかけたとき、ASKAは自ら挙手して飛び入りで登壇。そのとき、デイヴィッドとASKAがその日限りのメロディを即興で披露したエピソードはBARKSでも紹介していた。そして2023年3月、そのASKAがいつかは一緒にやりたいと語っていたデイヴィッドと夢の共演<ASKA&DAVID FOSTER PREMIUM CONCERT 2023>がついに実現。この公演について、さらには4月1日から始まる単独公演<ASKA Premium Concert Tour -Wonderful World- 2023>についてASKAを直撃した。

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■ 自分がやりたいことは公言する

── ついに、ASKAさんに多大な影響を与えたデイヴィッド・フォスターと共演ですよ!

ASKA:あの人がいなかったら自分の音楽はここまで長続きしてないと分かってるから。

── あの人に出会わなければ?

ASKA:“あの人の音楽に出会わなかったら”ですね。世の中魅力的な曲は山ほどある。でも、これだけ長い間、そしてこれだけヒット曲を生み出したアーティストでありミュージシャンそしてプロデューサーはいないんじゃないかな。

── 今回この夢のような共演のお話を聞いて、BARKSで語っていたBillboardでのデイヴィッドとのエピソードは、このコンサートへの伏線だったんじゃないかと思いましたよ。

ASKA:ホントにね(微笑)。僕は自分がやりたいことは公言するから。口に出すと、自分の耳が聞いてるでしょ? 最初に聞くのは自分だから、ある意味自分を洗脳できるんでしょうね。きっと。口に出したことで自分の行動、発言が引き寄せる方向に持っていくんじゃないかな。口にするということは自分の未来を変えるんだと思う。だから、言葉にするってすごく大切なことで。でも逆に、悪いことはいっちゃダメってことでもある。形になっていくから。

デイヴィッド・フォスター

── こうしてデイヴィッドがアジアでアーティストと1ステージ共演するのは、ASKAが。

ASKA:初めてですね。でも、そこを狙って活動してる訳じゃないから。ふと思えばってことだから。デイヴィッドと1ステージ共演するのはたまたま初めてだったってことで、これまでデイヴィッドプロデュースの日本人アーティストはいます。BARKSの読者のみなさんはデイヴィッド・フォスターのことはよくご存知だと思うんですけど、一般の方々は知らない人が多いと思うんです。でも、グラミーを16回も受賞した人っていうと、途端に驚く。まぁ、すごい方ですよ。

── この共演をきっかけに世界にASKAさんの音楽が広がっていって、ASKAさんにもグラミー賞をとってもらいたいです。

ASKA:いやいや(笑)。でも、やはり「グラミー賞」って響きは偉大ですね。ちょっと前に「ASKAグラミー賞ノミネート希望Acoustic Live」というタイトルで配信ライブをやりました(笑)

── ちょっと早すぎましたね(笑)。で、今回のデイヴィッドとのステージについて詳しく聞きたいのですが。ライブはASKAバンド&弦楽アンサンブルで挑むということですが、曲のセレクトなどはどうやって決めていくのですか?

ASKA:デイヴィッドはとにかく忙しい中でも、いろいろアイデアを出してくれて、この曲とこの曲をくっつけてやったらどうだろうみたいにね。ステージ上の余裕は、経験としっかりした設計図を引いてからなんだなと思ってます。本当に休まない人ですね。でも、わかります。急な仕事は忙しい人に回せっていうからね。忙しい人というのは常に頭がフル回転しているから、時間がない人ほど良い仕事する。

── おぉー。そんな法則があるのですね。

ASKA:「ゆっくりしてて時間はたっぷりあるので、いくらでも仕事振ってください」という人とやっても、仕事はうまくいかない。忙しい人ほどいい仕事をするんですよ。デイヴィッドは自他ともに認めるワーカホリックですからね。なのもあって、僕の仕事の依頼にも、スケジュールの空いたところで一緒にやってくれることになった。

ASKA/撮影:フォトスタジオアライ

── ASKAさんはそういうタイプですか?

ASKA:ときにそういうスパイラルに入るね。仕事してたらあっという間に時間が過ぎていってというのが何日も続くのは、レコーディングのときとかしょっちゅうだし。歌詞を書いてるときも。それはワーカホリックとはいわないだろうけど。でも、休みたいなと思いながらも、時間ができたら思いついたことをやるから、似てるのかもしれないですね。ゆったり過ごしたいとか、時間を作ってどこかに行くとか、美味しいもの食べにみんなであそこに行こうとか。そういうのは全然やらないから。

── なるほど。選曲については、デイヴィッドからこれをやりたいというリクエストがあったのですか?

ASKA:いや。僕が選曲したものをデイヴィッドにまず送った。その中でデイヴィッドが引っかかったものをこっちに送り返してきてて。なかにはデイヴィッドの作品も織り交ぜてあったり。まだ決まってないことが多過ぎて、もうちょっと経たないと輪郭は見えないかな。

── デイヴィッドがアレンジして、スコアを書いて送ってくる感じになるのですか?

ASKA:というものもあるでしょうね。

── ASKAさんがこれは絶対に一緒にやってみたいと思っている曲は?

ASKA:いや。僕はデイヴィッドに影響された曲は自分で分かってるので。

── 「MY Mr.LONELY HEART」を筆頭に。

ASKA:そうねぇ。本当にまだ決まってないです。でも、ステージ上で作るものもあるでしょう。あの日の即興をもう一度やってみたいかな。

── カッコいい! それでこそASKAさん。

ASKA:またまた(微笑)。まぁ、でも本当に音楽が鮮やかな人ですからね。僕は、その鮮やかさに惹かれてきたミュージシャンですから、そこは共通したものが生まれたらと思っています。


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