【ライブレポート】ACIDMAN、12年目の<LIVE in FUKUSHIMA>「最高の1分1秒を」

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ACIDMANのワンマンライブ<ACIDMAN LIVE in FUKUSHIMA 2023>が2023年3月11日、福島県・いわき市文化センター大ホールにて開催された。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆ACIDMAN 画像18点

<LIVE in FUKUSHIMA>はACIDMANが東日本大震災の翌年以降、毎年3月11日に福島県で開催しているライブで、今回で12年目を迎えた。「原子力発電の危険性を知らずに福島県で作られた電気を東京で使い続けていた事を反省し、そして3.11という日が少しでも楽しい日になれば」という気持ちから毎年開催し、ライブ収益は全額『東日本大震災ふくしまこども寄附金』に寄付している。




2022年11月にさいたまスーパーアリーナで開催された主催フェス<SAI 2022>を大成功させたACIDMANだが、ワンマンライブとしては約5ヵ月ぶり。SE「最後の国」が流れると、待ち構えていたかのような力強いハンドクラップが会場全体に響き渡る。即日ソールドアウトとなった満員の観客の想いを一身に受け、大木伸夫(Vo/G)、佐藤雅俊(B)、浦山一悟(Dr)の3人が登場した。

一瞬の静寂の後、大木が静かにギターを奏で始める。コードやフレーズをループに重ね、幻想的なアンビエントサウンドで、ゆっくりと会場を優しく染めていく。まるでこの地に捧げるレクイエムのように。そこへ、ボリューム奏法によるベース、原始的な鼓動を感じさせるドラムが加わり、美しいアンサンブルでさらに神聖な空気へ。

そして始まった1曲目は、「世界が終わる夜」。ACIDMANのライブではワンマン、イベント問わず幾度となく演奏されてきた代表曲だが、この曲で始まるライブはおそらく初。しかし、意外なほどにハマっている。特に今日という日には、この曲に込められたメッセージがより一層深く深く響く。




「<LIVE in FUKUSHIMA>へようこそ! 最高の1分1秒を共に過ごして、最高の夜にしましょう!」大木の掛け声とともに「式日」、そして「イコール」へ。

この日はコロナ禍以降、ACIDMANにとって初の声出し解禁のライブ。3曲を終えて最初のMCでの鳴り止まない歓声に、大木が「最高だね! 一瞬で時が戻った。これがライブだね!」と興奮気味に話し始める。コロナ禍で制限された中でも様々な企画でファンを楽しませ続け、歓声がなくても最高のライブができると示し続けてくれたACIDMAN。だが、歓声のパワーはその感動を何倍にも増幅させてくれることが改めて証明された。3年の時を超え、会場が一体となる。

歓声への感動と感謝、そしてこの日のライブへの想いを語り、次に披露されたのはアニメ「あひるの空」オープニングテーマとなった「Rebirth」。鋭いカッティングが印象的の軽快なナンバーでフロアを揺らす。




そして大木の「声を出す準備はいいですか?!」という煽りの後に掻き鳴らされたギターリフから始まったのは、約5年ぶりの披露となる「アイソトープ」。2ndアルバム『Loop』収録曲で、各地のフェスやワンマンライブを盛り上げてきたバンドと観客の掛け合いが醍醐味の、初期ACIDMANのライブ定番曲だ。会場は割れんばかりの歓声と突き上げられた拳で満たされ、加速度的にライブの勢いが増していく。続いてガットギターによるアコースティックサウンドが魅力の「レガートの森」へ。心地良い音色とルーパーを駆使したバンドサウンドで盛り上げる。

鳴り止まない歓声に改めて感激するメンバーからは高揚感が伝わってくる。くだけたトークを交えながらのMCを挟んで披露されたのは、世界初の“人工流れ星”の開発に挑む企業ALEへの応援歌として作られた、最新アルバム『INNOCENCE』収録曲「ALE」。そして1stアルバム『創』から「spaced out」、11thアルバム『Λ』から「水の夜に」と続く。これぞACIDMANの真骨頂とも言える、たゆたうような浮遊感と静と動が行き交うカオスな展開の楽曲で、会場をサイケデリックなアート空間に染め上げていく。この幅の広さがあるからACIDMANは堪らない。



2022年、結成25周年&メジャーデビュー20周年を迎えたACIDMAN。結成時の話から、改めてファンへの感謝を伝える。そして「<SAI 2022>の後、しばらくこれを超える感動を味わえないんじゃないかと思ってたけど、皆のおかげで今日あっという間に超えました! 今後ともよろしく! 盛り上がっていこう!」という大木のMCから披露されたのは、最新曲でありながら既にライブでは欠かせない楽曲となった「夜のために」。その疾走感とエモーショナルさでフィナーレへのギアが一気に上がり、観客も1秒も無駄にしまいと声をあげる。

「ありがとう、福島! もう一歩上行くぞ!」──掻き鳴らすギター、躍動するドラムに呼応する観客の掛け声、ボルテージが最高潮に上りきったところで、ライブ鉄板曲「ある証明」へ。バンドのグルーヴも加速し唸りを上げ、楽曲本来のエネルギーを取り戻すかのように声の限りの歓声が鳴り響く。そして最後は、最新アルバムの表題曲「innocence」。切なさや悲しさを内包しつつも、25年のキャリアを感じさせる力強い圧倒的なサウンドで本編が終了した。



アンコールの拍手に応えてメンバーが登場すると、大木が<ACIDMAN LIVE TOUR “Loop、再現”>の開催を発表。2003年に発売した2nd アルバム「Loop」を再現するツアーで、全国5公演を行う。悲鳴にも似た歓声が上がり、予想以上の反応に驚き喜ぶメンバー。

「声出し解禁後、初のライブが今日で良かった。最高の景色を本当にありがとう!」──そう言って演奏された最後の曲は「Your Song」。お互いの日々を讃えあうように、ねぎらいあうように、寄り添い合うように、「You're O.K.」の大合唱で12年目の<LIVE in FUKUSHIMA>が幕を閉じた。

震災以降福島に想いを寄せ続け、コロナ禍に於いては新たな楽しみ方を示し続け、<SAI 2022>でも多くの驚きをくれたACIDMAN。どんな状況においても独自の道を歩み続けるその姿は、タフでありながら優しく、見るものの心に種を蒔いていく。結成26年・メジャーデビュー21年目を迎え、ますますタフさと優しさが増した3人がこれから見せてくれる景色が楽しみで仕方ない。

盛大な歓声と熱気に彩られた<LIVE in FUKUSHIMA 2023>は、ACIDMANの醍醐味が存分に詰まった圧巻のステージだった。



撮影◎Victor Nomoto - Metacraft

■<ACIDMAN LIVE in FUKUSHIMA 2023>3月11日(土)@福島県・いわき市文化センター大ホールSETLIST

SE. 最後の国
01. 世界が終わる夜
02. 式日
03. イコール
04. Rebirth
05. アイソトープ
06. レガートの森
07. ALE
08. spaced out
09. 水の夜に
10. 夜のために
11. ある証明
12. innocence
encore
en1. Your Song

■<ACIDMAN LIVE TOUR “Loop、再現”>

▼2023年
6月16日(金) 大阪・Zepp Osaka Bayside
6月23日(金) 神奈川・KT Zepp Yokohama
7月21日(金) 宮城・仙台Rensa
7月25日(火) 東京・Zepp Haneda(TOKYO)
7月28日(金) 愛知・Zepp Nagoya


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