【対談・短期連載Vol.1】メリーのガラ × [ kei ]、イベント<魑魅魍魎2>開幕直前に語る「初日の客演は一番刺激をもらえる人」

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■[ kei ]にはオーラがあった
■ヴォーカリストの空気をまとっている

──BAROQUEもメリーもヴィジュアル系の中で特異な存在で、シーンを作っていったバンドなんじゃないかと思いますが、お互いのバンドについてどんなふうに見ていましたか?

ガラ:シーンを作っていったのは[ kei ]たちじゃないですかね。俺らは先輩が作ってきたものをブラッシュアップして、なんとかそこにオリジナリティを入れようともがいてましたけど、[ kei ]たちは“こういうのもヴィジュアル系なんだ?!”っていう感じで。見た目もそうだし、楽曲に関しても、ヴィジュアル系っていう枠の中にはいないバンドでしたよね。見た目も曲もそうですけど、進化していくスピードがすごかったなって。

[ kei ]:僕らも最初の2年くらいは他のバンドのことがめちゃくちゃ気になっていて、“どうやったら頭一つ飛び抜けられるか”、“どうやったら売れるんだろうか”っていうことを個人的にも考えていたんです。その中でメリーの存在は元々の発祥が近いということもあって、結構衝撃的だったんですよ。BAROQUEは「あなくろフィルム」って曲が最初だったんですけど、歌謡曲っぽい要素とバンドサウンドで、メリーとテイストが近いところにあった。BAROQUEがあのままいってたら、負けると思いましたね。それをメンバーに話した覚えがあります。ガラさんの声の哀愁感や、歌謡曲を感じるソングライティングの面で、これは絶対に勝てないなって思って。コンポーザーとしても、“自分からどういう新しいものが出せるかな?”って考えるきっかけにもなったというか。だからパンクとかヒップホップとか、ヴィジュアル面もそうなんですけど、“メリーとは違うところにいこう”って思った覚えがあります。

──BAROQUEの進化のきっかけはメリーにあったと。

[ kei ]:あの頃、そういう日本的だったり、昭和的なムードがあったじゃないですか。cali≠gariとか、MUCCとか。メリーのバランス感ってすごく面白かったんですよね。当時ガラさんは全然しゃべってなかったりして、徹底してましたよね。

ガラ:そういう世界観作りみたいなことは、すごく徹底してましたね。当時やっぱり同じようなバンドが多かったから、“いかに違いを出すか”とか“絶対負けねえ”とか、そういう気持ちはいつも持っていたから。

[ kei ]:そうですよね。迎合する感じではなかったですよね。そういう独自のものがあったから、同じ方向性でいくと絶対負けるんじゃないかと思っていました。


▲[ kei ]

──そんなBAROQUEとメリーが共演したのが、2017年10月の赤坂BLITZです。

ガラ:同じ事務所になってから全然絡みがなかったので、「やってみよう」っていう話をして。せっかくだから、先輩も呼ぼうって[ kei ]と話してて、「薫さんも呼ぼう」ってことになって俺が電話して(笑)。そうしたら薫さんが二つ返事でOKをくれて、一緒にステージに立ったんですよ。結成時期は一緒なのに、15〜16年経ってやっと一緒にやったっていう。

[ kei ]:本当ですね。元メンバーがいた時期にはやってないですからね。

──その頃にやっていたら、どんな感じだったんでしょうね。

[ kei ]:楽屋が険悪だったんじゃないですか(笑)?

ガラ:そうかもしれないね(笑)。そのイベントの前に一度だけ飲んで、ガッツリ[ kei ]と話したんですけど、それまで絡んでなかったのに、すごく俺のことをよく見てくれてたんですよ。「ガラさんの歌はすごい。声もめちゃくちゃいいと思います」とか言ってくれて、悪いやつじゃないんだなって(笑)。俺もBAROQUEの曲を聴いてたけど、形が変わっていって、どんどんこういう曲がやりたいんだっていうのが明確になっていったし、[ kei ]と怜との信頼関係は半端じゃねえなっていうことをいつも感じてて。それをめちゃくちゃ羨ましいなと思っていたんですよ。“この声のために曲を書いてる、メロディを作ってる”ってヴォーカルからしたらめちゃくちゃ嬉しいことだし。この二人さえいればいいんだっていう、強いものを感じてましたね。

──[ kei ]さんはソロを始めて歌も歌うようになりましたが、改めて歌うことについてどんなことを思っていますか?

[ kei ]:一番最初に歌ってステージに上がろうとしたのが2021年のO-EASTでやった時なんですけど、その前にガラさんにお会いしたんですよね。結生さんに手伝ってもらうっていうこともあって、ガラさんに相談に乗ってもらったら、いろいろと勇気づけてくれたんです。最初は本当に怖かったんですよ。自分の歌にもコンプレックスがあったし、それをやるっていうこと自体にビビってたんですけど、たくさん勇気づけてくれたんですよね。当日も観に来てくれたし。当日のライヴ前後にも話をしたりして、本当に支えてもらったなっていう思い出がありますね。

──そうでしたか。たとえばどんなお話をされたんですか?

ガラ:たいしたことなんて絶対言ってないと思うんですけど。本人もどういうアプローチをしたらいいかとか、いろいろ悩んではいましたけど、やっぱり[ kei ]の持っている強さというか、ステージに立っているその立ち姿だけでカッコよかったんで、「ヴォーカリストの空気をまとっているよ」って話はしたと思います。自分も歌っているから、そういうのがわかるんですよ。ステージに立ってマイクを持って歌っている。その立ち姿だけでオーラをまとえている人と、まとえてない人、オーラがない人っていて。[ kei ]にはそのオーラがあったから、「全然大丈夫だよ」っていう話をしたのを覚えてますね。本人は緊張してたのかもしれないですけど、すごくよかったんですよ。歌が上手いとか下手とか、そういうものじゃないんです。いかに相手に届いているかっていうことが大事で。あの日、俺にはちゃんと届いてきてたんで。「俺に届いているってことは、たぶん観に来たファンにも絶対届いてるはずだから」って、そういう話はしましたね。

[ kei ]:嬉しかったですね。勇気づけられました。

──今回、メリーが<魑魅魍魎2>を開催するにあたり、[ kei ]さんに声を掛けられたのは、どういう理由からですか?

ガラ:この<魑魅魍魎>っていうイベントは、自分たちを奮い立たせるイベントでもあるんですよ。みなさんに観てもらいたいっていうのはもちろんなんですけど、一番は自分たちが“今この人とやりたい”って思える人とやりたくて。その中でも初日を[ kei ]にお願いしたのは、同じ時代を生きてきて、いつもアンテナ張って新しいことを追求し続けているところがあるから。[ kei ]っていう表記に変わってからのライヴを観に行った時に、“今の[ kei ]とメリーが一緒にやったらどうなるんだろう?”って、ちょっと想像がつかなかったんです。想像がつかないっていうことは、絶対に面白いだろうなと思って声を掛けたんですよね。このイベントの趣旨的にも、初日は[ kei ]しかいないなと。一発目を一緒にやって、ここからいいスタートが切れればいいなあと思っています。一番刺激をもらえる人を初日の客演にしたかったので。

[ kei ]:僕が今一番思うのは、メリーのような先輩ミュージシャンたちがいたからこそ、僕も今こうしていられるということで。最初の頃の競争心やライバル心を持っていた時代から、同じ時代を生きて共に成長してきて、10年くらい経った頃にもっと一緒に盛り上げようよっていう関係性になった時も嬉しかった。そういういろんな気持ちを今回感じたから、僕のファンの人たちにもメリーを感じてほしいし、メリーのファンの方にも僕が今もこうして熱を持って音楽に向き合っていることとか、いろんなものを背負いながらやっていることとか、そういう何かを感じてもらえるようなライヴになったらいいなと思います。またここから、10年後とか20年後、どうなっているかわからないですけど、僕もガラさんも自分らしく、自分が歩きたい人生を歩いていけるようなきっかけになるといいですね。

ガラ:うん。この初日の[ kei ]との2マンで、このイベントがどんなイベントになるか決まると思うんで。20年以上やってきたこの2バンドは、いろんなことがあったんですけど、今が一番カッコいいんだっていうことを、お互いのファンに少しでも感じてもらえたらいいなと思います。

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