【ライヴレポート】DEVILOOF、メジャーデビュー後初ワンマンで「続けていたら邪道ではなくなる」

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エクストリームなサウンドと時に恐怖心すら煽るヴィジュアルを武器に個性的なライヴを繰り広げてきDEVILOOFが、去る4月29日にメジャーデビューEP『DAMNED』のリリース記念となる単独公演<MAJOR DEBUT ONEMAN LIVE「RUIN」>を東京・渋谷クラブクアトロにて行った。満員の観客を前に新たな進化を遂げた圧倒的轟音が披露された同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆DEVILOOF 画像

場内が暗転して大歓声が巻き起こると、不気味な音色のオープニングSEが流れ始め、後方から赤い照明が放たれる中でメンバーがステージに登場。すぐさま演奏が始まったのは新曲「Damn」だ。アグレッシヴなサウンドに激しく頭を振り乱すオーディエンス。この日を楽しみしていた思いが一気に発散された瞬間だった。桂佑(Vo)は多彩なグロウルを轟かせながら、タイミングよく煽りも入れつつ、「楽しんでくれ! 飛ばしていくぞ!」と前作に当たるアルバム『DYSTOPIA』(2021年)からの「Libido」を導き、さらには「渋谷! 一つになろうぜ!」と『鬼』(2019年)に収録されている「Dusky-Vision」へとつないでいく。


アンダーグラウンドなレベルで言えば、DEVILOOFの名は相応に知られていた。ただ、この3年超に及ぶコロナ禍は、特に彼らのようにライヴの場でより魅力を発揮するバンドは、飛躍を迎えるタイミングを遮られてしまったのも事実だろう。現に国内のみならず、決定していたヨーロッパツアーも延期せざるを得なかった。

しかし、その期間にDEVILOOFは着実に成長への糧を培っていたようだ。それが明確に示されたのが中盤で、ブルータルな「ISHTAR」で揺さぶりをかけた後、初めて実演を体感する人ばかりの『DAMNED』のマテリアルを連発させたときだった。まずは「The Blackened Sun」でフロアにはサークルピットが発生。デヴィルホーンサインを掲げる桂佑の表情も誇らしく見える。



立て続けに叩きつけられた「Afterlife」は攻撃的ではありながら、コール&レスポンスも交えて一体感を高めていく。さらに興味深かったのが「Terpsichore」だ。インストゥルメンタルとはいえ、必ずしもじっくり聴き入らせるのではなく、それまでの緊張感を継承。もちろん、盛り上がりの様子は変わらない。とりわけ『DAMNED』では際立っているが、彼らの楽曲にはキャッチーさがある。Ray(G)が奏でるテクニカルかつメロディックなソロプレイにバンドのパーソナリティが表れているだけでなく、曲作りの巧さがライヴでの即効性を高めていることは指摘しておきたい。

プログレッシヴな曲構成は多くのデスコア勢が採り入れるスタイルだが、複雑化させることに主眼が置かれているように映るケースも少なくない。その価値を否定するものではないが、DEVILOOFの場合、聴衆が頭で考えることなく音に身を委ねられる聴かせ方をする。言わずもがな、豪快にリフを刻む愛朔(G)にしても、太輝(B)と幹太(Dr)によるリズム隊にしても、かなり高度かつ精緻なプレイが要求されるのは間違いなく、そこも見どころの一つではあるものの、自身が目指すべき楽曲の姿が明確だということだ。その視点にはブレがない。



和の音色も印象的な「Newspeak」、集結したファンの参加意識をさらに高める「HERO=MURDERER」を経て、桂佑はこれまでの活動をしばし振り返った。ヴィジュアル系なのかメタルなのか。日本の音楽史を辿れば、本来、そこが不可分であるのは自明の理だが、邪道の烙印を押されることもあったのだと口にする。ただ、「続けていたら邪道ではなくなる。今日、この場で確信した」と、熱狂に次ぐ熱狂でバンドに応えたこの日のオーディエンスに伝えたのである。

そして曲はMVが公開されたばかりの「False Self」へ。“偽りの自分”など意味はない、自分たちの信じたまま、前に進んでいくだけなのだ──歌詞にはそんな揺るぎない思いが綴られている。彼らの気持ちはファンも十分に理解したことだろう。



二度に亘ったアンコールの最後には「Ruin」が用意されていた。DEVILOOFの初音源に収められていたトラックであり、1年以上も前から計画していたという今回のライヴのタイトルにこの言葉が冠されていたのは、彼らが原点を忘れず、「これからも前例のないことを進めていく」(Ray)という意思を改めて掲げたものだったはずだ。目の前で繰り広げられたウォールオブデスには、新たなスタートたる起点を無事に築き上げられたことに安堵感を覚えたと同時に、自らが遂げるべき次なる進化への希求を改めて抱いたに違いない。

DEVILOOFがこれからどのように音楽シーンを撹乱してくれるのか。ライヴを目撃すれば、すでに高いポテンシャルを備えたバンドであることは誰しもわかるだろう。拠点となる日本はもちろん、グローバルな規模で活躍していく姿を想像するだけで頼もしくなる。


取材・文◎土屋京輔
撮影◎森 久

■<MAJOR DEBUT ONEMAN LIVE「RUIN」>2023年4月29日@東京・渋谷CLUB QUATTRO セットリスト

01. Damn
02. Libido
03. Dusky-Vision
04. ISHTAR
05. The Blackened Sun
06. Afterlife
07. Terpsichore
08. Newspeak
09. HERO=MURDERER
10. False Self
11.拷訊惨獄
12. ESCAPE
13. DESTINATION
14. Ruin

■ライブ/イベント情報

▼<Ailip Doepa主催ライブ>
5月14日(日) 名古屋RAD HALL
▼<FC限定ワンマンライブ>
6月18日(日) 東高円寺二万電圧
▼<JIUKA主催ライブ「MAD PIT FES」>
7月02日(日) 新宿BLAZE
▼<DEVI BATTLE~デビバト~Vol.8 Unlucky Morpheus×DEVILOOF>
7月08日(土) 目黒鹿鳴館

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