【インタビュー】由薫、“ひとりぼっち”から“みんな”へ「近い距離感で素の私の言葉を聞いてほしい」

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由薫が5月26日、デジタルEP『Alone Together』をリリースする。2022年6月に映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』主題歌の「lullaby」でメジャーデビューを果たし、2023年冬クールのドラマ『星降る夜に』主題歌に「星月夜」が起用されるなど、話題を集め続ける中での5曲入りデジタルEPリリースとなる。

◆由薫 画像

弾き語りによる音楽活動を始めつつ、メジャーデビュー後はONE OK ROCKのToru(G)プロデュースのもと、壮大なバラードから軽やかなダンスチューンまで多彩な楽曲を発表してきた。4月リリースのデジタルシングル「Blueberry Pie」では MONKEY MAJIK をサウンドプロデューサーに迎えて、洋楽ライクなチルポップを歌いこなすなど、表現力を鮮やかに開花させている。

メジャーデビュー後初のEP『Alone Together』は、由薫の幅広い歌声を堪能できる1枚だ。インディーズ時代から温め続けていた楽曲から最新曲「Swimmy」まで、自身が作詞作曲を手掛けた全5曲には、ただ自分の想いを発散したくてギターを抱えた頃の衝動やメジャーデビューからの経験値、“音楽を作るよ、君のために”(収録曲「ヘッドホン」より)というピュアな想いなど、由薫というシンガーソングライターの変遷と素顔が5曲5様の楽曲にぎゅっと詰まっている。

メジャーデビュー1周年を前に、どんな想いで『Alone Together』という作品をつくり上げたのか。先ごろの<SXSW MUSIC FESTIVAL 2023>出演で改めて感じたライブの喜びなど、新しいものを吸収し続けている由薫の現在地を紐解く。

   ◆   ◆   ◆

■インディーズの頃からの楽曲を集めたEP
■タイミングは今なんじゃないかって


──メジャーデビューから約1年が経ちますが、この1年を振り返っていかがでしたか?

由薫:まだ1年しか経っていないとは思えないくらい、たくさんのことがあって。メジャーデビューを経て、私自身かなり変化した気がします。インディーズの時は、ただどうしても音楽に手が伸びてしまうからやっている感じだったんですよ。でも、デビューしてライブをするようになったり、「星月夜」をたくさんの人に聴いてもらえたりしたのもあって。音楽を届けたい気持ちは変わらないけど、自分が本当に伝えたいことは何なんだろう?とか、どうしたらもっと私らしさを感じてもらえるのかな?ってより考えるようになりました。


──音楽を始めた頃は、衝動的にギター持って歌いたいことを歌う、という感じだったんですか?

由薫:はい。自分の気持ちをうまく言葉にできない煩わしさみたいなものをずっと感じていて。そういう日頃消化しきれない気持ちを詞にすることで、自分と向き合ったり理解したり…何かに突き動かされてギターを毎日持って、曲を作っていた10代でした。人に聴いてもらいたいと思って作った曲と、自分で自分を消化するために書いた曲と両方あって。自分を消化するために書いた曲はもうあんまり残っていないんですけど、そういう曲も含めて、自分にとって大事な作業だったのかなと思います。

──歌手になって有名になりたいとかよりも先に、歌で表現することで自分を解放するような体験だったんですね。

由薫:そうですね。その間にいっぱい曲を作ったんですけど、本当に音楽で生活していきたいと思ったのは、20歳くらいになってからでした。でも、その時の気持ちは、音楽活動を続ける中で今もずっと残っているものなので。よく思い返したりもするし、当時感じていた孤独感とかは大切にしてあげたいと思っています。

──アーティストとしてそういう初期衝動は大切なものですよね。あと、2000年に沖縄で生まれて、2歳から3年間アメリカに移住した後、1年間を金沢で過ごして、6歳から4年間はスイスへ。その後、日本に戻ってこられたということですが、幼少期にアメリカとスイスで過ごされてた経験からの影響も感じますか?

由薫:それはあると思います。小さかったので、そこまで細かく覚えてはいないんですけど。スイスはちょうど物心がつく頃に住んでいて、空気感とかが自分の中に記憶としてすごく残っています。本当に素敵な場所で、特にスイスでの音楽の授業がすごく自由だったんですよ。初めての音楽との触れ合いがそういう環境だったのは大きいかなと思います。



──どんな音楽の授業だったんですか?

由薫:天井が三角形になっているような屋根裏部屋で、中心に置いてあるビーズクッションにみんなで座るんです。そのまわりにたくさん楽器が置いてあって、そこから好きな楽器をひとつ取って、先生が決めたテンポに合わせてなんとなく楽器鳴らしていくっていう。教科書もないし、こうしなきゃいけないっていう決まり事は基本的になくて。音楽を聴いてどう感じたかとか、なんとなく楽器に触ってみて音を出す楽しさを感じよう、みたいな授業だったので。それが音楽の出会いになったことはすごく大きいです。

──素敵ですね。そこから、洋楽も邦楽も両方聴くようになったんですか?

由薫:そうですね。ちょうど半分半分という感じです。子どもの頃から、両親が聴いていたCDや、自分で何気なく買ったCDとかを繰り返し聴いていました。

──15歳の頃、テイラー・スウィフトを始めとするシンガーソングライターに興味を持ったことからアコースティックギターを手にしたそうですが、これまでリリースしてきたシングル群を聴くと、どんどん音楽性が広がっていますよね。2023年4月リリースの「Blueberry Pie」は、MONKEY MAJIKのプロデュースもあって、洋楽ライクな新しいサウンド感になっていて。

由薫:MONKEY MAJIKさんと初めてお会いして一緒にランチを食べた時に、「どういう音楽が好き?」みたいなところからじっくりお話をさせていただいて。実はこれまで、自分が作っている音楽と普段聴いている曲は結構違ったんです。で、「次にどういう音楽を作りたいか」という話から、「自分の引き出しには今までなかったけど、自分が好きな感じの曲を作ってみたい」ということで出来上がったのが「Blueberry Pie」です。「どんな時に音楽を聴くの?」って訊かれて「メイクとかしながら音楽を聴くのが楽しいです」「じゃあ、女子がメイクをしながら聴く曲みたいなイメージで曲を作っていくのはどう?」とか。そういう会話から作っていきました。



──映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』主題歌の「lullaby」やドラマ『星降る夜に』主題歌に起用された「星月夜」などでは壮大な世界観の曲を歌ってきていますが、そこからグッと日常的な等身大の歌詞になっていますよね。

由薫:そうですね。自分が好きな音楽をそのまま自分で歌う、みたいな。音楽を楽しむという力もMONKEY MAJIKさんにお借りしました。歌詞を書くのも楽しかったです。実際MONKEY MAJIKさんのライブに行かせていただいた時も、音楽を純粋に楽しんでいる気持ちがステージ上から伝わってきてました。

──ミュージックビデオからも、メイナードさんと一緒に楽しんで作っている感じが伝わってきました。

由薫:自分があんなに楽しそうな顔してるなんて!と思って驚きました(笑)。


──そこから、今回の『Alone Together』は、デビュー後初めてのデジタルEPで、全曲ご自身で作詞作曲を手掛けた1枚です。それぞれの楽曲に個性がありつつ、1枚を通しての物語性も感じたんですが、作曲はいつ頃に?

由薫:実は、「Swimmy」以外はインディーズの頃からある楽曲を集めたEPなんです。「星月夜」をリリースしてたくさんの方々に聴いていただけましたし、インディーズ時代に作ってきた曲たちをリリースするタイミングは今なんじゃないか、ということになって。本当にそれぞれがそれぞれの方向を向いてる曲たちなので、私自身も“1枚にまとめられるかな?”と思ったんですけど。でも、曲を並べて『Alone Together』というタイトルをつけたら、完全に自分の中でしっくり来たんですよね。結果的に、さっきおっしゃっていただいたみたいに、ひとつの作品として良いと思えるものができました。

──「ミッドナイトダンス」から「Swimmy」「ヘッドホン」と、だんだん外に向かって開かれていくような流れがあって。先ほど「Blueberry Pie」についておっしゃっていた「音楽を楽しんでいる」という雰囲気も伝わってきました。

由薫:そういうふうに受け取っていただけると嬉しいです。このEPは、何よりこの子たち、この曲たちを今のタイミングでリリースしてあげたいっていう気持ちがあって作ったので。ありのままの素の自分を伝えたくて、ジャケット写真もジャケット用に撮影したものではなくて、たまたま撮れた写真を使っているんですよ。曲はそれぞれが全然違う世界観なので、聴いてくれる人がどんなふうに聴いてくれるのか、リリースした時にどんな反応をいただけるのかは、自分でも楽しみです。

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