【インタビュー】伊波杏樹、「私が私でいられるアーティストに」

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5月28日に、東名阪ツアー<Re merveilleux VOYAGE>を完走した伊波杏樹。彼女は自身の新レーベル「Queue me! Disque」を設立し、6月14日には1stシングル「Killer Bee」もリリースする。

◆伊波杏樹 写真

さらなる躍進を遂げていこうとスタートを切る彼女は、今どんな心境なのだろうか。東名阪ツアーの感想や1stシングルの楽曲についてはもちろん、昨今影響を受けたものなど、「伊波杏樹」という人物について本人にたっぷり語ってもらった。

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▪️その時が来た、心の準備ができた

──まずは、5月28日に千穐楽を迎えた<Re merveilleux VOYAGE>について、振り返りをお願いします。(ライブレポート)

伊波杏樹(以下、伊波): 2020年2月から<cartes Á jouer>という自身初の全国ツアーをスタートさせたのですが、開始早々にコロナ禍に突入してしまい、途中で開催中止になってしまったんです。初めてのツアーだったのにも関わらず完走できなかったことが悔しくて。しかも、役者として立つ舞台やコンテンツのライブが止まるということが今まで経験したことがなかったので、やるせない気持ちやどこにぶつけていいのかわからない思いがすごく強く残ってしまいました。今回、東名阪ツアーを行うにあたって、その時の想いをちゃんと昇華したいと考えていました。それは私自身だけでなく、応援してくださっているすべての方に対してもそうで。その気持ちをもってスタートさせたツアーだったので、無事完走できたことが奇跡のようなことだと感じています。

──伊波さんにとって大きな意味があるツアーだったんですね。

伊波:そうですね。新しい、大きな一歩でした。<cartes Á jouer>で披露する予定だったオリジナル曲「Raise the ACE!」をあえて1曲目に持ってきていて、「みんなが抱えていた悔しい思いを全部ここにぶつけようぜ」というメッセージも込めていました。完走して「私ってツアー、向いているんだな」と感じました。というのも、今回各公演でそれぞれ異なるカバー曲を披露していて。曲ごとに自分の成長を感じたり、違った風景が見えたりすごく楽しかったんですよ。「この曲ってこんな表現方法もあったんだ」、「みんなとならこんな景色が見えるんだ」と多くの発見があって、その成長を常に感じることができて楽しかったし、嬉しかったです。


──新しい一歩で言うと、新レーベル「Queue me! Disque」も立ち上げられました。これはどんな経緯で?

伊波:以前から、「アーティストデビューしませんか」というお声掛けはいただいていたのですが、「ありがとうございます」と感謝を述べて、お断りしていた経緯がありました。様々なお仕事での経験の中、私の根本には「役者」「芝居」というものがあって、歌はその世界や表現を広げる色のひとつと捉えていました。もちろん歌は大好きですし、ミュージカルに出演させていただくこともありました。ただ、現場で経験する度に、歌に対する自分の気持がどんどん厳しくなっていって。ミュージカルの世界に飛び込んで、「声楽を学んできてます」という方々に囲まれて過ごすにつれ、自分はちがう歌に対する形や色を感じていました。その時を境に、「もしアーティストとして歌に向き合う日が来たとして、ちゃんと覚悟を持って始めなきゃいけないぞ」と自身の方に強く力が入って重くなっていきましたね。

──あぁ、なるほど。

伊波:アーティストも歌にどれだけ真摯に向き合うかが問われる活動ですし、やりたい音楽が明確でバンドやステージ、楽曲を作ることを生業としている方がたくさんいらっしゃる中で、そこに「好き」という気持ちだけで飛び込んでいける自分はいなかったんです。それに、お芝居やライブを始めとして、いろいろなフィールドで活動させてもらっている中で、スケジュール的にしっかり向き合える時間が作れないんじゃないかと思うところも正直ありました。そんな不安な気持ちから、アーティスト活動については、その時が来るまで大切にしまっておいたんです。それからいろいろな経験を重ねて現在に至り、今回「その時が来たな、心の準備ができたな」と思えたことで新レーベル設立に踏み出しました。

──「その時が来たな」と思えたきっかけがあったということでしょうか?

伊波:「音楽をやりたい」という心が生まれたことが一番のきっかけだと思います。その心が生まれたのはファンの方の言葉と想いです。「アーティスト活動をしてほしい」という声を多くいただいていたからですね。これまでもファンの方々からは「伊波杏樹の歌が好きです」と言ってくださっていたので、ファンクラブ限定でライブを開催していたんですけど、その声が大きくなったことで、アーティスト活動に向けて背中を押してもらったというか。これからはひとりのアーティストとして活動をしていくので、自分の言葉や姿勢に責任を持ちつつ、皆さんと楽しい場所を作っていきたいと思っています。


──満を持してのレーベル発足だったのですね。その第1弾となるのが「Killer Bee」です。この作品について、伊波さんはどう見ていますか?

伊波:私、結構びっくりしたんですよ。スタッフの方々が会議をしている段階で、「どういう曲調でデビューするんですか?」と聞いたら、「満場一致でロックになった」って言われて。「そこには踏み込ませてもらえないだろうと思っていたジャンルに飛び込ませてくれるんだ」って思いましたね(笑)。第1弾だから、やっぱり爽やかで明るくて疾走感がある曲なんだろうなって思っていたので、自分が好きで、得意な楽曲ができることが嬉しくて。それを理解してくれる方々が側にいてくれるのは心強いですよね。

──実際に1曲目の「Killer Bee」を聴いたときはいかがでしたか?

伊波:最初に何曲か候補があったんですけど、「これだ!」と思いました。私、ボーカロイド楽曲を聴いて育ってきた世代なので、ボカロックがすごく好きなんですよ。そのテイストも感じられたし、いいバランスでアーティストとしての伊波杏樹像が表現できるのかなと。

──ボカロックがお好きというのはお聞きしていたので、伊波さん好みのサウンドだと私も感じました。

伊波:そうなんです! 「Killer Bee」もロック一筋ではなくて、おしゃれなメロディやアレンジが効いているので、上品さもあるんですよね。今27歳なんですけど、年齢にも合った楽曲を歌わせてもらえるのが嬉しいですね。



──作詞はご自身が手掛けられていますね。

伊波:最初はお任せしていたんですけど、表現したいことについて話し合っていく中で最終的に、自分で手掛けることになりました。この曲は先にタイトルが決まっていたのですが、“Killer KIRA Beats! up&up!”あたりの歌詞をプロデューサーと一緒に作って、そのほかはポコポコとブランク状態になっていたんですね。そこから、私が自分の言葉で綴っていったのですが、タイトルに沿って「妖艶に人を惑わしていくハチ」のイメージで作っていきました。一時期、ハチについてたくさん調べたので、すごくハチについて詳しくなりました(笑)。チクッと刺して威嚇するだけの子ハチもいれば、ブスッと刺して猛毒を回す子ハチもいる。柄も警戒音も違っていて、ハチといってもいろんな個性があるなって感じたんですね。そこから、2種類の伊波杏樹を表現しようという考えに至って。1コーラス目では芯が強くて人を惑わせながらも魅了された者を導いていく大人の女性像、2コーラス目はもっと甘くて若い女性像を描いています。

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