【対談 #4】逹瑯(MUCC) × 柩(NIGHTMARE)が語る、<悪夢69>と確かな関係性「“株式会社ヴィジュアル系”で言ったら社長クラス」

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■みんなすげーことをやってきたんだなって
■自分で歌い始めて思ったから


──NIGHTMAREが一時活動を止めたときとか、ソロプロジェクトGREMLINSをスタートさせたときなど、逹瑯さんに相談もしたんですか?

柩:いや、俺からはなくて。タッツーから後で「あれはどうだったの?」とか聞いてもらうことはありましたね。

逹瑯:「自分で歌ってみてどうだったの?」とか。それぐらいの話で。

柩:やっぱ難しいですよね、歌って。上手い下手だけではどうにもならないってのが、露骨に出るパートかなと。

逹瑯:物理的に、出ねえ声は出ねえからな。

柩:そうそう。

逹瑯:ギタリスト的に言うなら、「ギター1本でなんとかしろ」って言われてる感じじゃん?

柩:そう、エフェクターもなしでね。

逹瑯:エフェクターはギリ使ってもいいけど、このギターしか弾いちゃダメだ、みたいなさ。このギターとこのアンプとこのキャビしか使っちゃいけませんって言われてる感じ。

柩:それでも、いかに表現するかっていう。やろうとしたら、やっぱすげぇ難しい。YOMIに対しても、他のバンドのボーカリストに対しても、みんなすげーことをやってきたんだなって、自分で歌い始めて思ったから。

逹瑯:しかも自分で選んで買った好きなギターじゃなくて、ずっと前から家にあったギターしか使っちゃダメだよって言われてる感じで(笑)。

柩:そうそう(笑)。理想と現実をまず思い知らされて、それでもいかに表現をしていくかって。


▲逹瑯(MUCC)

──歌うということでは、逹瑯さんのここ数年の成長ぶりは、ライヴを観るたびに感激するんですよ。2022年からソロワークスを本格スタートさせたのも、いい効果につながっているんですか?

逹瑯:それで言うと、SATOちが抜けたタイミングで、いろいろ時間もできたので、根本的なところから見直したんですよ。まず環境を整えたかな、歌いやすい環境を。良くも悪くも、MUCC全体がスポ根みたいな感じというか、“できない理由は自分にあるんじゃないか”って思ってしまう人種の集まりで(笑)。環境を整えようって考える前に、自分に問題があるんだろって感じの脳みそを持ってる人ばかりで。SATOち脱退後にサポートドラムを入れて練習する時間が多くなったとき、まず歌う環境を見直して、歌いやすい状況を作っていく時間もあったんですよ。だから、その過程で気づきがたくさんあったかな。

──そういう経験をした逹瑯さんから、ソロではボーカルも兼任する柩さんにアドバイスもありますか?

逹瑯:GREMLINSは結成してから何年経った?

柩:今年で10年。でも全然やってない時期もあったから。ライヴはトータルで50本ぐらいかな。音源はアルバム2枚、ミニアルバム1枚、あとシングルが3〜4枚。今日もさっきまでGREMLINSのリハで歌ってて。この対談が終わってからもまた歌うんですけど、リハのときから大変な思いをしてます(笑)。

逹瑯:GREMLINSでは、全曲でギターとボーカルを?

柩:ギターはAメロだけ美月(G / TheTHIRTEEN, Sadie)が弾くとかもあるけど、ギターソロとかは基本俺が全曲で弾いてるんで。

逹瑯:そりゃ大変だわ。歌ってないところではずっとギターを弾いてるんでしょう?

柩:そう。あとサビでは、歌いながら弾いているんで。

逹瑯:そうなると水分補給する時間も隙間もないでしょ?

柩:曲の途中にはないよ。曲と曲の合間しかない。

逹瑯:そりゃキツいな。楽器をやっている人は、曲の途中にノドを湿らせるっていう考えがないんだよね。ボーカリストは、曲の途中でノドを湿らせて、一度仕切り直すってのが、実はけっこう大事だから。

柩:あっ、それやってないかも。タッツーの助言を聞いて、この後のリハ中はノドを潤します。


▲柩(NIGHTMARE)

──歌の表現とか声の表情という面で、“こうすればいいかも”というアドバイスもあります?

逹瑯:それは好みとか歌のスタイルにもよるでしょう。K-POPとかR&Bとかが好きな人、泥臭いフォークソングが好きな人、ハードロックが好きな人、ミクスチャーが好きな人とか。それぞれによって歌い方も目指すスタイルも違うから。どのスタイルで、どういうボーカリストに憧れているかによっても、表現とか表情の付け方も違ってくると思うな。

柩:ちなみにタッツーは、細かいピッチとか気にしながら歌ってる感じ? それとも、そういうのはわりと自由にフィーリングのままで?

逹瑯:ピッチは気にするよ。今、自分がどのピッチで歌っていて、どういう声を出しているんだろうってのが、すごく分かるようなモニターの作り方を頑張ってる。自分が今、どれぐらいの声量で、どんな声を出しているのかが分からないと、それってそのまま歌のニュアンスに直結していくからさ。モニター環境も含めて、けっこう細かく煮詰めているかも。

柩:そんなところまで? 器用な人じゃないとできないパートだなって改めて思う、ボーカルは。

逹瑯:うん、そうだと思う。しかもライヴって、演奏して歌っていればいいってだけではないからさ。今、ライヴ全体がどんな空気感だとか、どういうふうに次の曲へつないでいこうとか、それはボーカルが考えなくちゃいけないから。ここで煽りを一発入れて、盛り上がったところで次だなとか。

柩:ライヴ全体を引っ張っていくというか。

逹瑯:そうそう。だから曲に没頭しつつも、どこかひとつ冷静になって、ライヴ全体の状況や空気感を見ていないとダメかもな。

柩:そこがすごいんだよな。俺、いっぱいいっぱいになるんだよ。

逹瑯:実際、難しいと思うよ。YOMIもアホなようでいて、ちゃんとやってるもんね(笑)。

柩:いや、アホだけどね(笑)。「アホなようで」ではなくて、YOMIはアホだけどやってる。この間、タッツーと飲んでいるときにもちらっと言ったんだけど、「いつかタッツーのソロとGREMLINSで一緒になにかやれたらな」って。

逹瑯:そうそう、やりたいよね。おもしろそうだから。

柩:俺も勉強になるし、絶対に。

逹瑯:勉強とかしないだろ、オマエは(笑)。

柩:いや、こう見えてすぐに刺激を受けるタイプだから、俺は(笑)。


▲<V系って知ってる?>2022年12月27日@日本武道館【BUCK-TICK Respect Session】逹瑯(MUCC) × 柩(NIGHTMARE)

──お互いに受ける刺激があるでしょうし。

逹瑯:NIGHTMAREとMUCCの対バンもさ、一回だけで終わらせずに、何回もやりたいよね。今回の対バンに合わせて、こういう対談で、俺と柩以外のメンバーも仲良くなっているじゃん?

柩:そうそう。RUKAさんもYUKKEさんとの対談でけっこうしゃべったみたいで。

逹瑯:RUKA君なんて、そもそも強めに引っ張り出さないと出てこないからね。

──今までは、2バンドの全員がワチャワチャ仲いいって感じでもなかったんですか?

柩:今までは個々で仲がいい、という感じでした。俺とタッツーが一番面識ある感じだったかな。

逹瑯:柩とNi〜yaとはちょこちょこ会ったりしていたけど、意外とYOMIとは遊ばなかったもんね。昔、アイジさん(LM.C)と飲むこともたまにあったから、そのへんのつながりで咲人と飲んだことがあった程度かな。RUKA君とは全然遊んだことないな。街中で偶然会って話すことがあったぐらいで。

柩:そっちのほうがレアケースだけどな(笑)。

逹瑯:「今、あそこにいました?」って突然LINEに連絡が来て、「おおっ、確かにいたよ」って(笑)。でも、結局本人とは出会わずで、どういうこと?みたいなこともあったり(笑)。

──全員がグッと急接近して絡むツーマンツアーだから、楽屋もそうだし、ステージ上でも刺激的なことしか起こらないでしょうね。

逹瑯:絶対に起こる。この前、2バンド全体の生配信番組の雑談からの流れで、ツーマンライヴのセッション企画にRUKA君が参加することになってね。RUKA君をセッションに引っ張り出せただけでも、すでにすごいと思ってる(笑)。

柩:確かに(笑)。RUKAさんは、みんなでワイワイやらなそうな人だから。それを引っ張り出したタッツーはすげえな、と横で見てて思ってたから(笑)。

逹瑯:しかも、すげえ自然な会話の流れのままセッション企画に引っ張り出すというね。

柩:さすが、全体をコントロールするボーカリスト=逹瑯だなって(笑)。やるなーと。

逹瑯:ツーマンツアーがスタートする前から、楽しそうなライヴになりそうって感じでしょ。

柩:NIGHTMAREのファンも嬉しいと思います。あんまり見たことのないRUKAさんの姿を目撃できることになるから。引っ張り出したタッツーに対して、NIGHTMAREのファンみんな、すごく感謝すると思います。

逹瑯:それは嬉しい。それにRUKA君の笑顔を取り戻してあげないと。

柩:いやいや、笑顔はあるよ(笑)。笑顔がない人ってことじゃないから。

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