【野津山幸宏×伊東健人 対談インタビュー】『ヒプマイ』新作EP発売。有栖川帝統と観音坂独歩、真逆な2人が描いたものと意外な共通点

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『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』(以下『ヒプマイ』)初となるEP2タイトル『The Block Party -HOMIEs-』と『The Block Party -HOODs-』が8月23日に同時発売した。

◆撮り下ろし写真(12枚)

「HOMIEs」の1曲目を飾るのは、シブヤ・ディビジョンFling Posseの有栖川帝統とシンジュク・ディビジョン麻天狼の観音坂独歩だ。今回はそんなふたりの声を担当する野津山幸宏と伊東健人に、新曲『Rivals!』の印象やレコーディングの思い出について話を聞いた。

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▪️真逆に見えるふたりの絶妙な幸福感が表現された歌詞

──まずは、EP制作を知ったときのお気持ちを教えてください。

伊東:帝統と独歩は何回かラップバトルをしたことがあったので、そこまで意外性はなかったですね。今まで敵対していたふたりがタッグを組むというのが、「音楽で世界を勇気づける」というこのEPのコンセプトにふさわしいなと思いました。

野津山:初めて『ヒプマイ』がラップにこだわらずにいろいろな楽曲でアプローチするとお聞きして。新しい挑戦ですよね。

伊東:今までバトルをしてきた人たちが肩を組んで、ラップから片足はみ出して皆さんを楽しませるような曲をやっていくんだ、と。そんなコンセプトを知って前向きな気持ちになりました。

野津山:一旦ヒプノシスマイクを置いてみんなで肩を組む様子が「HOMIEs」「HOODs」というタイトルからも感じられますよね。今までは他ディビジョンのキャラクターと仲間として歌うことがなかったので、そういう点でも新鮮でした。僕らの楽曲は「Rivals!」というタイトルですけれど、“ライバルと書いて「友」と読む”ように感じました。

伊東:音楽でみんなを勇気づけるって、音楽の本流ですよね。拳ではなく言葉や音楽で世界を変えるという『ヒプマイ』の源流を感じました。

▲『The Block Party -HOMIEs-』初回仕様 ジャケット

▲『The Block Party -HOODs-』初回仕様 ジャケット

──仮歌を聴いた印象はいかがでしたか?

伊東:こんなに愉快な曲がくるとは思っていませんでした(笑)。それに、思ったより歌うなって。今まで観音坂独歩としてここまでちゃんと歌ったことがなかったので、独歩としてこういう曲を歌うとどうなるんだろう?と想像するのに、最初は少し時間がかかりました。

野津山:確かに、独歩としてはあまりなかった雰囲気の曲ですよね。

伊東:カラオケで酔っぱらって舌を巻ながら歌うイメージはできるのですが(笑)。どう歌うかは、レコーディングの時に相談しながらやろうと思っていました。

──野津山さんはいかがでしょうか?

野津山:個人的には、シンジュクとは最初のバトルで戦っていましたし、帝統と独歩がラップで戦うパートがあったので、新鮮というよりは懐かしい感じがして。あんなにバチバチにバトルしたのに今回は一緒に歌うということで、新鮮さと懐かしさが合わさった不思議な感覚でした。

──歌詞も、今までとは少し違う楽しげな印象ですよね。

野津山:帝統と独歩って真逆というか、帝統は自由に生きているのに対し独歩は社会の荒波に飲まれまくっているじゃないですか。でもこの歌詞を読んで、ふたりは異なる世界で同じ方向を向いているんだということに気付かされて。

伊東:なるほど。確かに、そういう解釈もできる歌詞かもしれないですね。

野津山:帝統も自由人だけど全部が上手くいっているわけではないし、独歩も上手くいってないことだらけに見えるけどいいこともあるだろうし。そんなふたりの絶妙な幸福感がぴったり合っているのかな、と感じました。


──そして、作詞作曲はビッケブランカさんです。

野津山:実は僕、ビッケブランカさんとは以前違うお仕事でご一緒させていただいて、もともと彼の音楽を聴いていたんです。なので、今回作詞作曲を担当していただけると聞いて「こんな形で再会できるとは!」とびっくりしましたし、非常に嬉しかったですね。

伊東:僕もビッケさんのお名前はもちろん存じ上げていました。ビッケさんのみならず、今回のEPに収録される他の曲を担当しているクリエイター陣を聞いて、驚きすぎて笑ってしまって(笑)。もう、来るところまで来たなと。

野津山:毎回、予想の斜め上をいきますよね。

伊東:本当にド肝を抜かれますよ。「嘘だろ!?」と。楽曲もバラエティ豊かですしね。(毒島メイソン)理鶯の「Move Your Body Till You Die!」の後ろでは、しごかれてヘロヘロになっている独歩も参加しています(笑)。

野津山:最初に伊東さんがおっしゃっていた「音楽で世界を勇気づける」というEPのコンセプトが本当に表現されていると思います。

伊東:予定調和が全然ない、意外でびっくりすることしか起こらないEPだよね。「HOODs」に収録されている(伊弉冉)一二三の曲はKis-My-Ft2の宮田(俊哉)さん作詞ですよ。はやく聴きたい!

野津山:僕は(白膠木)簓と(躑躅森)盧笙の曲にお笑い芸人の銀シャリさんが参加されているのが面白過ぎて。アーティストというより表現者として、どんな楽曲を作られたのか本当に楽しみです。

──その他に、気になったクリエイター陣とキャラクターの組み合わせはありますか?

野津山:基本どの曲も気になりますが、やっぱり帳兄弟には驚かされました。いや、大塚明夫さんと中尾隆聖さんが歌うコンテンツってほかにある!?みたいな(笑)。ボーナストラックでいいんですか、これ(笑)。

伊東:いやほんと、ボーナストラックがとにかくやばい。『ヒプマイ』で大塚明夫さんと中尾隆聖さんの楽曲が聴けるだなんて、楽しみでしょうがないですね。

野津山:あともうひとり、「HOMIEs」のボーナストラックに収録されている邪答院仄仄もね。普段歌っているところがあまり見られないキャラクターの曲もアルバムに収録されているので、そこも注目ポイントですよね。

伊東:俺も個人的にいちばんびっくりしたのは邪答院仄仄。しかも作詞作曲がアヴちゃんで。なにこれ!?って(笑)。

野津山:有名なアーティストの方々と『ヒプマイ』のキャラクターが組み合わさった時にどんな化学反応が起きたのか、ぜひチェックしてほしいですよね。


──今回のレコーディングにあたり、おふたりでお話されたことはありますか?

伊東:特になかったよね?

野津山:僕の前に伊東さんがレコーディングされていたので、それを聴かせていただいたくらいですかね? 伊東さんは、僕が録っているところをちょっとだけ聴いて帰っていました(笑)。

伊東:(手元でトークアプリを遡りながら)あ、最近のづとメッセージのやり取りをしたのは、「ビッケさんのライブに行きませんか?」と誘われて「その日は仕事が入っていて行けない」というのが最後だった(笑)。レコーディングについての話はしてないですね(笑)。

野津山:そうそう、残念ながら伊東さんがお仕事で行けないのですが、僕は行ってきます!(笑)

伊東:楽しんできてね!

──では、収録のお話もお聞かせください。

伊東:レコーディングは僕が先だったのですが、今回に関しては先でよかったなと思っていて。先ほども言ったのですが、観音坂独歩としてこの曲を歌うところを想像するのに時間がかかってしまったので、自分のなかで固めきらずにレコーディングで相談しようと思っていたんです。そこでスタッフさんとも話し合い、自分が考える独歩のなかでいちばんカッコいい独歩でやろう!と思って。ある意味、許される限り好き勝手にやって、後からレコーディングするのづのハードルを上げるだけ上げてやろうと(笑)。

野津山:えぇ! でも確かに、2番の独歩の「全身全霊歌わせていただきます」は、いつもみたいなシャウトでくると思っていたら、カッコよく歌っていたのに驚いて。なるほど、そういうことか!(笑)

伊東:(笑)。だから、普段の独歩よりも爽やかさを意識しています。この曲をステージの上で歌ったらどういう動きになるかをイメージして、普段のレコーディングより体を動かしながら歌っていましたね。

野津山:僕も、帝統としてラップじゃない曲を歌うのは初めての試みだったので、伊東さんと同じであえてあまり作り込まずにレコーディングに臨みました。ラップと歌は勝手が違いますし、ディレクションに対して臨機応変に対応しづらくなってしまうので。ビッケさんもレコーディングに参加されるとお聞きしていたので、新しい帝統をビッケさんと一緒に作れたらいいな、という気持ちでしたね。

伊東:なので、聴いてくださる皆さんは、いつもと違うふたりを感じていただけると思います。

──一緒に歌う相手がいつものディビジョンメンバーとは違いますが、その点について意識したことはありましたか?

伊東:帝統もそんなに歌い上げるイメージがなかったので、どういう風に歌うんだろうと思っていました。ただ、今回はカッコよさを突き詰めていくということだったので、あえて帝統のことはあまり考えず、ふたりのカッコよさの最大値を出せればいいのかな、と。

野津山:僕は普段の『ヒプマイ』のレコーディングでは濃い目に「帝統!」って感じの色付けをして歌っているのですが、今回はその味付けを薄くするイメージで歌っています。それも、キャラを薄くするのではなく「独歩と一緒に歌う」ことを意識していて。“「Rivals!」を歌う帝統”ではなく、“「Rivals!」を歌うふたりのうちの帝統”というイメージなんです。



──そうだったのですね。おふたりの声の親和性が高く、耳馴染みの良さに驚かされました。

野津山:確かに、今まで帝統と独歩が一緒にがっつり歌うことはなかったので、「こういう曲になるんだ」と思いました。

伊東:それは曲が持つ力でもあると思います。でも、『ヒプマイ』ってあえて聴き心地を良くなくしている曲もあるじゃないですか。今回は、EPのテーマ的にそういう曲はあまりないかもしれないですね。

野津山:伊東さんがハードルを上げてくださったおかげで(笑)、後からレコーディングした僕がそのハードルに追いつこうとした結果、自然と聴き心地のよい仕上がりになったのかもしれません。

伊東:ハードル上げといたかいがあったよ(笑)。

伊東:「Rivals!」は今回のEPの世界観を象徴するような曲になっていて、独歩も帝統もテンションを上げてみんなを引き込む役割を担っているので、その意味でも聴き心地のよい曲に仕上がっているのだと思います。


──その他に、レコーディング時に意識したことはありますか?

野津山:いちばん褒められたのは「Go」の歌い方(笑)。「Go」という歌詞は『ヒプマイ』の楽曲にたまに出てくるのですが、いつも褒めていただきます(笑)。帝統のキャラクターとしても勢いがあるので、歌いやすくて。あとは全体的に難しかったですが、トップクラスは「あぁなんて運命(さだめ)だ」というところ。ここは結構苦労しましたね。

伊東:確かに、そこは一気にテンションが変わるからね。個人的にその歌詞はバチッと決まったのですが、独歩のソロパート冒頭の「やだ」の歌詞でテンションが急降下し、さらにそこから急上昇していくところは時間をかけてレコーディングした記憶があります。「やだ」の部分はテンションの違いを五段階くらい変えて歌ったのですが、自分が想像していたよりも落差が激しかったので、めちゃくちゃウケました(笑)。

野津山:独歩の「やだ」の直前の「ぴえんぴえんぴえんぴえんGoGoGoGo」は、歌詞が絵文字で表現されていて。最初間違っているのかと思いきや、仮歌を聴いて「どうやらぴえんって言ってるなぁ」って(笑)。絵文字の歌詞ってなかなかないですし、ビッケブランカさんらしくて楽しいですよね。

伊東:ここの独歩は思い切りテンションを上げて、半ばキレ気味です(笑)。楽しすぎて若干キレてる、みたいな。

野津山:あとは、2番の帝統パートの「成り行きまかせで勝負」の「勝負」の音程が難しくて。ここはビッケさん本人も「俺も自分で作っておいて苦戦したところです」とおっしゃっていて、個人的にすごく経験値が上がった楽曲になりましたね。

伊東:それと、今まで独歩の楽曲に英語が出てきたことがほとんどなかったので、「Action Plz」とか「Take it Easy Baby Now」とか、言葉遊びのような英詞には少し苦労しました。

野津山:確かに独歩の英語って新鮮ですね。苦労した感じは全然しなかったですけど。

伊東:それはもう、仮歌のおかげですね。言葉遊び的な英語のフレーズが頻出するので、仮歌を聴き込みながら歌わせていただきました。また、独歩らしさが表現できるように仮歌とは別角度の表現をスタッフさんとも相談しながら細かくこだわってレコーディングしました。。

野津山:仮歌を聴くとアーティストさんの印象が強いのですが、レコーディングをするとちゃんとキャラクターが歌っているものになるんですよね。その変化がいつも面白くて。今回も最初に仮歌を聴いたときはまさにビッケ節だと思っていたのですが、帝統と独歩が歌うことによってしっかりふたりの曲になったと思います。


──では、完成版を聴いた感想をお願いします。

伊東:めっちゃいいですね。今回はいうなれば“お祭り”みたいな側面もあって。『ヒプマイ』でこういう曲を歌えると思っていなかったから嬉しいです。彼らがどんな動きをしながら歌っているのか想像しやすい楽曲なので、キャストライブや3Dライブが楽しみでもあって。僕はライブではダウナー気味に振る舞っていますが、この曲ばかりはくるくる回りながら歌っているかもしれないです。

野津山:確かに、ライブで歌ったら盛り上がりそうです。この曲に限らず、全曲、全キャラクターが新しいので、このEPをきっかけに『ヒプマイ』を知ってくださる方が増えそうだな、と感じています。

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◆「HOMIEs」トレーラー一覧
◆「HOODs」トレーラー一覧
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