【インタビュー】横山剣がルーキーの気分で取り組んだ“シン・クレイジーケンバンド”によるアルバム『世界』

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■ 楽しい気持ちで、絶望でふさぎ込まれてる世界からの解放

──アルバムで重要なのは曲順ですが、今回はどういう風に考えたのでしょうか?

横山:「宇宙ダイバー」はできた瞬間に1曲目に決めたのですが、その後、できた曲をiTunesに入れて並べていくうちに曲順が決まっていきました。ただ「観光」は、最後の最後にできた曲で、当初は予定になかった曲なんです。今作のリード曲になっていますが、どこにも入れる場所がなくて最後にしました(笑)。

──「観光」は、かなり印象的なフレーズですよね。

横山:ちょうどその頃カンボジアに旅行に行ってて、その帰りの飛行機、とは言ってもタイ国際航空だったんですけれど(笑)、その飛行機の中で──僕はよく飛行機の中で曲が浮かぶのですが、羽田に着くか着かないかくらいの時に、あのフレーズが浮かんだんです。あと『RRR』というインド映画を観てから、パンジャービーMCなどを久しぶりに聴いたり、インドのよくわからないアーティストの曲とかをYouTubeで聴いたりして、そういったインスピレーションがあって沸いてきた曲ですね。


──いわゆる裏ハネビートといいますか、かなりオリエンタルチックな感じですよね。

横山:最初はワンコードでイメージしていたのですが、これにビル・ウィザース的なコードを当ててみたら(笑)、メロディがカラフルになるかなって。7小節と8小節目だけに変化をつけて、ビル・ウィザースコードで進行しています。8小節目だけコードに変化をつけて進行しています。

──一方で、インスト曲ですが「横浜美味礼讃」は横浜感が良いですよね。

横山:ギターの小野瀬(雅生)さんによるギターのインスト曲ですが、これはもう、僕の「観光」以上にカンボジア臭の強い曲ですよね。埼玉のカンボジアコミューンみたいな場所でカンボジア人がバンド演奏で踊り狂っている映像があって、そのサウンドがモロああいうビートで、そこから感化されてできた曲みたいです。そして、それプラス、寺内タケシさんのニュアンス。何も打ち合わせもしていないのにふたりでシンクロしちゃったのには、ビックリしましたよね! というわけで、むしろ「横浜美味礼讃」のほうがカンボジア・フィールなんですよ。

──剣さん的に、このアルバムの中の推し曲は?

横山:「観光」です! それと「SHHH!」。すでに配信リリースしているこの2曲ですね。自分の中でも日替わりで気分が変わりますが、この2曲はブレないです。


──少し話が戻りますが、飛行機の中で曲が浮かぶというのには、何か理由があるのでしょうか?

横山:飛行機って、メロウな空間でもあり、なんとも感受性豊かな気持ちになるんですよね。移動空間なので自分も押し出される感覚もあって、歌詞も浮かんだりします。映画を観たりして感化される部分もあるでしょうし。あと「来年はこうしよう!」とかすごくアイデアが出てくるんですよ。そういうときは忘れないようにメモしてます。機内は暇なので(笑)。

──旅行はよく行かれるのでしょうか?

横山:本当は、毎年旅行に行きたいのですが、コロナでずっと行けなかったんです。やっと今年はハワイも行ったし、カンボジアも行ったし、台湾にも行ったんですけれど、いっぱい行きまくって影響を受けまくりたいですね。やっぱりアウトプットのためにインプットも必要なので。音楽じゃないものから受けた影響が音楽に変換された楽曲っていいなと僕は思っています。

──インプットは絶対に必要ですよね。

横山:音楽ばかり聞いてても、なんだか自分がわからなくなってしまいますからね。で、世の現実というのは、熱波というかとにかく暑いですから、これを歌にしても余計苦しくなるのでやめようと(笑)。それにいまのロシア情勢などについても、ただでさえみんな苦しんでるんだから、これを歌にするのはやめておこうと。(現実と自分の歌の内容とが)逆に向かうという発想も、その意識(現状認識)があってこそなんですよね。やっぱりどうしても時代というのは(音楽に)映し出されてしまいますから、“あえてそこは避けよう”というのも含めてメッセージ。言葉じゃないメッセージ。楽しい気持ちで絶望でふさぎ込まれてる世界からの解放と言いますか、ジョークでなんとか延命して欲しいとか、いろいろと思うわけです。自分も音楽でかなり救われて来たので、そういうのってあるのかなと思ってます。



──10月からは、ツアー<CRAZY KEN BAND TOUR World Tour 2023-2024>も始まりますが、どんなことを考えていますか?

横山:今回も福生からスタートするんですけど、いま仮に考えているセットリストでは、1曲を除いてこのアルバムからは全部やる予定です。ちょっとやりすぎかなという気もしないでもないですが、日替わりで演ろうかなとか。あとは、このアルバム含めて23枚ある中から、隙間だった曲とかをやって不人気曲を人気曲にしたいなとも思ってます。タイミングをずらせば、不人気曲が急に人気曲になったりすることってあるじゃないですか?

──それはありますね! いまのシティポップブームじゃないですけれど。

横山:「まさかあの曲が!」みたいなね(笑)。こうやって世界で評価されるって本当にいい時代だと思っています。インターネットの影響は大きいですよね。もちろん良い部分も悪い部分もありますが、ひとつ言えるのは世界の人に時代を越えて聞いてもらえるということです。僕らも海外の人からリアクションがあると興奮しますよ、「こんな風に思ってくれてたのか!」って。オメガトライブだったり、70年代80年代の曲がいま評価されたりしてますからね。本当に丁寧に真面目にクオリティ高く作ったものが、日の目を見て良かったと本当に思います。

──CKBも現在進行形として世界に行っていただきたいです!

横山:ええ。今回のアルバムは、世界で聞いて欲しいという思いも込めて『世界』というタイトルにしました。

──最後にファンの方へ、今作のアルバムについてのメッセージと、CKBとしてひと言お願いします。

横山:今まで作ったアルバムは22枚ありますけれど、はじめての方は、まずはココから入ってください。ここから興味を持って遡っていだたきたいですね。いままでずっと応援してくれている方には、「ここから、またはじまりました!」ということで、リニューアルというか、フレッシュでルーキーのような気分で取り組んだアルバムです。しかも全編「せーの!」で録ったライブ感溢れる内容となっています。とにかく、僕らもみまさまも細胞が生き生きするようなアルバムですので、イイネ!イイネ!イィーネ!!という感じでお願いします!

取材・文:カネコヒデシ(BonVoyage)
撮影:淵上裕太

  ◆  ◆  ◆

アルバム『世界』

2023年9月6日(水)発売
【初回限定盤】
価格:CD+DVD 7,700円(税込)
品番:UMCK-7220

【通常盤】
価格:CD 3,575円(税込)
品番:UMCK-1755

<収録内容>
[CD]初回限定盤・通常盤共通
01:宇宙ダイバー
02:eye catch * transit lounge
03:Do it!世界は愛を求めている
04:SHHH!
05:東方旅館 - Oriental Hotel -
06:マンダリン・パレス
07:eye catch * CKB23
08:お湯
09:Sweet Vibration - CKB tune -
10:残り香
11:Sweet Soul Train
12:TERIYAKI
13:レコードの日
14:夜は千の目を持つ
15:横浜美味礼讃
16:eye catch * airport limousine
17:観光

[DVD](初回限定盤のみ)
CRAZY KEN BAND TOUR 樹影 2022-2023
2022.10.23 NAKANO SUNPLAZA
01:棕櫚
02:Almond
03:ドバイ
04:ウェイホユ?
05:Orange Cinnamon Sunset
06:莎拉 -Sarah-
07:雨に泣いてる
08:プラスティック・ラブ
09:夏のクラクション
10:IVORY
11:こわもて
12:夕だち
13:強羅
14:箱根スカイライン
15:Let’s Go Crazy Ken Band ~ タイガー&ドラゴン
16:コウタイ ~ マリリン・モンロー・ノー・リターン
17:混沌料理
18:路面電車
19:スージー・ウォンの世界
20:木彫りの龍
-encore-
21:世界、西原商会の世界 ~ 世界、西原商会の世界Part2 逆featuring CRAZY KEN BAND / RHYMESTER
22:肉体関係Part2 逆featuring CRAZY KEN BAND / RHYMESTER
23:The Roots
24:空っぽの街角 ~ Punch!Punch!Punch!

<CRAZY KEN BAND TOUR World Tour 2023-2024』>

2023年10月7日(土) 福生市民会館(東京)
2023年10月9日(月祝) 福岡国際会議場メインホール(福岡)
2023年10月15日(日) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)(東京)
2023年10月27日(金) NHK 大阪ホール(大阪)
2023年10月30日(月) カナモトホール(札幌市民ホール)(北海道)
2023年10月31日(火) 斜里町公民館 ゆめホール知床(北海道)
2023年11月5日(日) 神奈川県民ホール 大ホール(神奈川)
2023年11月17日(金) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(愛知)
2023年11月19日(日) 神戸国際会館こくさいホール(兵庫)
2023年11月23日(木祝) 小田原三の丸ホール 大ホール(神奈川)
2023年11月26日(日) ミュージックタウン音市場(沖縄)

<2024年公演>
2024年1月20日(土) 仙台電力ホール(宮城)
2024年1月27日(土) シンフォニアテクノロジー響ホール伊勢 大ホール(三重)
2024年2月3日(土) 浦安市文化会館 大ホール(千葉)
2024年2月10日(土) 町田市民ホール(東京)
2024年2月12日(月祝) 京都劇場(京都)
2024年2月13日(火) 北國新聞赤羽ホール(石川)
2024年2月18日(日) 太田市民会館(群馬)
2024年3月2日(土) アイプラザ豊橋(愛知)泣きながらツイスト

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