【インタビュー】Alstroemeria、1stフルアルバム『Blue Earth』のイメージは青春「少し大人になった自分の“濃い青”」

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■ 落ち込んだ時に、「7179」の本当の価値を知った

──今回のアルバムは、どのような作品にしたいと思っていました?

りくお。:最初の段階ではコンセプトとかを決めて作る感じではなかったんですが、1曲目ができた辺りでなんとなく見えてきたんです。今までの曲は「ロック」っていう感じで、そういう部分ももちろんありつつ、これから目指したい場所も融合させられました。全体的なイメージは、青春です。僕は専門学校を卒業して少し大人になったんですけど、そういう今の自分の「もっと濃い青」というか。そういうコンセプトのアルバムですね。

──アルバム全体を方向づけた最初の曲は、どれですか?

りくお。:「じゃあね、霞む灰色」とかです。2曲くらい同時にできたんですけど。今までと違った雰囲気の曲ができた感覚があったので、そこから「このスタイルでやってみよう」ってなっていきました。

──じっくり展開させながら多彩な質感を醸し出す「じゃあね、霞む灰色」は、新鮮な作風ですよね?

りくお。:そうなんだと思います。

──今作は10曲が収録されていますが、疾走感、エネルギッシュなサウンドと切ないメロディを併せ持っているのが、みなさんの特徴の1つだなと思いました。

りくお。:嬉しいです。そういう音楽が好きなので。

田中:僕はAlstroemeriaの曲が大好きなんです。僕が入る前の1stデモの曲もすごく良くて、「加入させてよ。ずっとギターを弾いてきたけど、ベースをやってもいいから」と言ったくらいなので。ファンなのかもしれないですね。

りくお。:そうだったのか(笑)。

──田中さんは一番身近なファンで、れいやさんは2番目?

田中:れいやは30番目くらいじゃない?

れいや:おい!(笑)。そんなことない。

──今回の10曲を聴いてもう1つ気づいたことがあって。3分以内くらいの短い曲が多いですよね?

りくお。:そうですね。密度濃く表現できたというか。今は短い曲のほうが受け入れてもらいやすいというのがわかってきたんです。これくらいの長さで自分の中にある想いを全部伝えられたらいいなあって思っています。

──例えば「セルフィッシュガール」は、1分14秒です。

りくお。:この曲は、今回の中で一番短いです。

田中:短くするのを結構狙ったよね?

りくお。:うん。歌詞もわかりやいものにするようにしました。

──この曲もそうですが、ラブソングが多いのも特徴なのかなと。

りくお。:そうですね。でもラブソングに限らず、人間味がある歌詞を書きたいなと思っています。

──「セルフィッシュガール」のドラムは、ものすごくエネルギーを使いますよね?
れいや:その通りです。

田中:「セルフィッシュガール」をセトリに入れるだけで、ライブ全体が体力的にしんどくなります(笑)。

りくお。:全員が体力勝負の曲です。

──「彩開前夜」は、同じタイトルのイベントをやったことがあるんですよね?

りくお。:はい。クリスマスイヴのイベントだったのでこのタイトルをつけたんです。この曲とは意味合いが違いますけど。


──ダンサブルですけど、切なさを感じます。

りくお。:僕はRADWIMPSが好きなんですけど、あのバンドもこういう雰囲気がありますよね。そういう影響も出ていると思います。いろんな展開も入れることができて、満足感が大きいです。歌詞は、今の自分みたいなところがあります。大人と子供の間で迷っている心情というか。世間に対して自分が抱く劣等感と自信、暗さと明るさを掛け合わせたような歌詞、メロディ、サウンドの曲です。

れいや:僕はこの曲が今回のアルバムの中で一番好きです。

田中:ライブだとちょっとアレンジを変えたりしているので、音源と聴き較べても面白いと思います。

──今回収録した曲は、ライブでお馴染みのものも多いんですか?

りくお。:「髪」は、昔からある曲です。


──2021年にリリースした1st EP『小指と小指』に収録した曲の再レコーディング版ですよね?

りくお。:そうです。アレンジも変わっています。歌詞もちょっと変えましたね。ライブでやりながら変わったところを田中が拾ってくれていて、それをやってみることにしたんです。

田中:コーラスも増えている部分があります。前に録った「髪」の音源は『小指と小指』にしか入っていないんですよね。もう在庫の枚数が少ないです。ライブの物販で持って行きますので、聴きたい人はぜひ会場で手に入れてください……って、宣伝みたいですが(笑)。

──(笑)。「スキマ」はストレートに疾走するサウンドですが、「これぞAlstroemeria」という感覚があるみたいですね。

りくお。:はい。めちゃくちゃまっすぐなサウンドなので、Alstroemeriaらしさみたいなのが出ているのかなと思います。


──「7179」は、田中さんが「つらい時に聴くといい」とおっしゃっているそうですね?

田中:はい。仕事とかでなにかやらかすと落ち込むじゃないですか? 半年前くらいにそういうことがあって、「自分たちの曲でも聴くか」ってなったんです。「7179」が流れてきて、「こういう時にこの曲の本当の価値が知れるな」と思いました。

──幼馴染と集まった時の想いが伝わってくる曲です。

れいや:月1くらいで地元の友だちと集まってご飯を食べたりするんですけど、毎回この曲を流しています(笑)。インスタのストーリーで友だちがこの曲を流してくれたりしていて、嬉しいですね。

田中:りくお。とれいやの地元は田舎だから、同級生は10人とかだったんだっけ?

れいや:うん。10人しかいなかった。

りくお。:人数が少なかったので、クラス替えとかもなかったです。

──「独善」は、迷いを抱える心情を赤裸々に描いていますよね?

りくお。:はい。弱さをそのまま出していますね。曲を作る時にそういう部分を表現したいと思うようになっているので。

──田中さん、れいやさんは、歌詞の背景にある出来事がわかることもあるんじゃないですか?

田中:今回の曲じゃないですけど、1stシングルの2曲目の「バイマイルーム」は、まさにそうですね。「これ、めっちゃりくだな」って思う曲の1つです。そういう内面をもっと出して欲しいんですよ。

──先ほども少し触れていらっしゃった「じゃあね、霞む灰色」についても、改めて語っていただけますでしょうか?

りくお。:はい。風景とかを想像しやすいですけど、どこか靄がかかっているような感じというか。そこが今までになかった新しさなのかなと思っています。

田中:今までの曲とはまた別の広がり方みたいなのを感じる曲です。この感じは、今後の何かにも繋がっていくんじゃないかなと。僕、この曲が今回の中で一番好きなんですよ。ライブでもやってるんですけど、お客さんがじっくり聴いてくれています。人によっては引いてるのかもしれないけど(笑)。

りくお。:あれは「喰らってる」っていうことじゃない?

田中:たしかに。訂正します。「喰らってる」です(笑)。

れいや:ドラムのフレーズに関しても、今までにやっていなかったようなフレーズ、ニュアンスとかが入っていると思います。難しくてなかなかできなかったようなことができたので、この曲が完成した時、めちゃくちゃ嬉しかったです。

りくお。:繊細なニュアンスを出せた曲ですね。

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