【異色対談】ピエール中野(凛として時雨)×河野玄斗、好きなことを突きつめたスペシャリスト「方向は違うけど、やっていることは近い」

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凛として時雨が、11月28日よりNetflixにて独占配信されるアニメ『陰陽師』のオープニング主題歌として新曲「狐独の才望」(こどくのさいぼう)を提供。平安時代に実在した陰陽師・安倍晴明と源博雅を主人公とした夢枕獏の名作小説の初アニメ化となる『陰陽師』を彩る同曲は、11月8日より配信リリースされており、アニメOAサイズ『狐独の才望 -Onmyoji Edit(Mixed by Romesh Dodangoda)』が11月29日0:00(28日24:00)から配信開始となる。

今回BARKSでは、凛として時雨のドラマーであるピエール中野と、時雨のファンであるという河野玄斗との異色対談を実施。河野玄斗と言えば、東大医学部卒業、三大国家資格制覇(司法試験・医師国家試験・公認会計士試験)、さらに日本テレビ系列のクイズ番組『頭脳王』で3度優勝しており、自身が設立した教育系の会社StardyのCEOも務める人物だ。メジャーデビューから15周年を迎え、独自のポジションを築き上げているバンドのメンバーと、“神脳”“教育界の革命家”と称されるほどの頭脳の持ち主という、全く異なるフィールドで活躍するふたり。初対談のなかで、互いが辿ってきた人生や共通項が明らかになっていくと共に、凛として時雨や新曲の魅力を河野がわかりやすく分析。そして、それぞれの分野のスペシャリストとしての信念や目標にも迫った。

  ◆  ◆  ◆

■どこかのフェスで一緒にモッシュしてたかもしれない(笑)

── 非常にレアな組み合わせでとても興味深いお話が伺えそうです! よろしくお願いいたします。

河野玄斗:はじめまして。対談の機会というのがあまりないので、今日は緊張しています(笑)。僕、もともと緊張しいなんですよ。

ピエール中野:僕は、対談の機会はときどきあって、先日も芥川賞作家の高橋弘希さんと文芸誌「文學界」で対談させていただいたりしていますが、自分も緊張はしますね。特にDJをするときは、どんなに準備をしていってもその場のお客さんのノリやフロアの空気次第で全然変わってくるから、前もって読めないので怖いんですよ。

河野:それを聞いて少しほっとしました。僕もテレビに出るときや講演の直前まですごく緊張するんですが、一旦幕が上がってしまえば「俺のショータイムだぜ!」みたいなモードで振り切ってやってます。



── 河野さんはテレビや講義にたくさん出演されていますが、1対1の対談のほうが緊張しますか?

河野:はい。不慣れということもありますし、対話というよりは僕が関わるのは教育事業なので、生徒さんに対して自分の知識を伝えることが多いですから。

ピエール:河野さんは勉強法だったりをよく聞かれるだろうし、そういう声に対してYouTubeとかで答えたり伝えたりしている感じですよね。すごく有意義な活動だなと思います。

河野:ありがとうございます。僕のほうこそ、凛として時雨さんを学生の頃から聴いてました。高校生の時、大学受験の息抜きというわけじゃないですけど、結構YouTubeで音楽サーフィンみたいなことをしてて、そこで出会ったんです。

ピエール:いきなり聴くとちょっとびっくりしますよね?

河野:はい(笑)、最初はびっくりして、でも聴いていくうちにどんどん馴染んでいったというか。だから、今回の対談のお話をいただいて嬉しかったですし少し不思議な気持ちになりました。

ピエール:他にはどんな音楽を聴いてましたか?

河野:ロック系フェスに行くのが好きだったので、ヤバTやフォーリミとか、フェスに出ているバンドさんをよく聴いていましたし、会場ではモッシュもしてました。

ピエール:どこかのフェスで一緒にモッシュしてたかもしれない(笑)。

河野:元々はシンガーソングライター系の音楽を聴いていたんですが、もっと刺激が欲しくなってバンド系の音楽を聴くようになりました。聴いているとテンションが上がるんですよ。新しい音楽に触れるとワクワクするし、アップテンポな曲調で頭がリフレッシュされる感じもあって。聴き始めた頃はシャウトとかは苦手だったんですが、ネットサーフィンする中で、印象に残るのって強い個性があるバンドだったりするんです。時雨さんはもう、個性の塊みたいなバンドなので、どんどんハマった感じです。



── 凛として時雨は、日本の最高峰の頭脳に貢献してきたんですね! 時雨ファンの河野さん、新曲「狐独の才望」はいかがでしたか?

河野:これまでの作品もそうですが、曲の中で多彩に展開があったり、音もたくさん入っていますよね。いろんな音がぎゅっと詰まっていて、音圧がすごいから、時雨さんがスリーピースバンドだと知ったときは信じられませんでした。3人だけであのサウンドを出せるのがすごいなと思ったし、1人の負担も相当あるだろうなって思いました。

ピエール:そうです、みんなライブ前のリハーサルでバタバタしてます(笑)。

河野:他のバンドさんを聴いていると、ボーカルが主役で楽器隊はそれを引き立てる役割なのかなって思うことも多いんですが、時雨さんのイメージは、全部がそれぞれ主役というか。僕は1つの曲を何回も聴くんです。最初はボーカルを聴き、じゃあギターはどうなってるんだろうって聴いて、ベースはどんな音だろうとか、ドラムはこういうビートなんだなって、1個1個なぞってくのが結構好きなんです。時雨さんの曲は、ボーカルラインに対して「ギターがこんな遊ぶんだ」みたいな発見がたくさんありますし、今回の曲も、遊び心満載と言いますか、曲の展開がコロコロ変わっていくので、次はどうなるんだろうというドキドキやワクワクする高揚感がありました。



ピエール:確かに僕らのようなタイプのバンドって、あまりいないかもしれません。

河野:はい。すごくマニアックなシーンで探したらいるかもしれませんが、メジャーでは本当に唯一無二だなと思います。

ピエール:だから、そういう僕らの音楽を聴いていてくれたことがまず嬉しいですね。ライブでも3人だけで鳴らしているので、ぜひ観ていただきたいです。

── 12月8日に、メジャーデビュー15周年を記念したライブ<凛として時雨 Tornado Anniversary 2023〜15m12cm〜>が東京ガーデンシアターで開催されます。せっかくなので河野さん、この公演タイトルの意味の謎解きをしていただけますか?


河野:「15m12㎝」、面白いタイトルですね。会場である東京ガーデンシアターを起点として、15m12㎝の距離にあるライブハウスから凛として時雨が始まった、というような意味ですか?

ピエール:うーん…、それです!

河野:いや、きっと違いますね(笑)。

ピエール:こうしたタイトルを考えるのはTKなんですが、僕らに正解を教えてくれないんですよ。そんなに考えないでも大丈夫、ってよく言ってます。だから僕も自分なりに、15mはメジャー15周年、12cmはCDのサイズだなと勝手に推測するだけで、答えはわからない。まあ、自分から正解を聞いたこともないんですけど。

河野:受け手に解釈を委ねてるんですね。デビューから15年も続けるってすごいですよね。いろんな方から、「東大生ってすごいね」と言っていただくんですが、僕からしたらメジャーデビューしているほうがすごい。毎年たくさんのバンドが出て、その中でデビューできるのは本当に一握りだろうし、さらに15年も続けるなんてものすごい確率だと思います。東大生って毎年3,000人出てるんですが、その比じゃないくらい難しいことだなって。

ピエール:でもインディーズの頃によく、「なんかかっこいいけど、メジャーは無理っしょ」みたいなことをよく言われてましたよ(笑)。

河野:地上派ウケしない的な意味合いですか?

ピエール:いろんな意味で手に負えないバンドだなって思われてたんでしょうね。それに、東大生はみんな努力してますけど、メジャーデビューとかって、運の要素が大いにあると思うんですよ。

◆インタビュー(2)へ
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