【インタビュー】Ken Yokoyama、2023年第3弾シングルに魔法の言葉「愛情深くて、人間らしくて、大切なこと」
Ken Yokoyamaが11月29日、2023年第3弾シングルにしてアルバム先行シングル「These Magic Words」をリリースする。5月に第一弾シングル「Better Left Unsaid/Whatcha Gonna Do」、9月に第二弾シングル「My One Wish」を発表したKen Yokoyamaだが、それぞれ異なる発売形態でCDの価値を検証するという方法論は、サブスクが一般化した現代にアルバムの意味合いを問うものでもあったようだ。
◆Ken Yokoyama 画像 / 動画
そしてリリースされるシングルシリーズ最終章「These Magic Words」は、3作の中で最もKen Yokoyamaらしく、多彩なアプローチながら調和の取れた3曲が収録された。彼らの十八番とも言える疾走する8ビート、危険な匂いを孕んだキレ味鋭い2ビート、メロウでスウィートなロックチューン。いずれも待ってました!な曲調の揃い踏み。ニューアルバムへの期待はますます高まるばかりだ。
注目すべきは、それら楽曲の歌詞にある。「「These Magic Words」の歌詞を説明するなかで、家族ってものが出てきたときに」と切り出した横山健 (G&Vo) の言葉は深く、不純物がない。Ken Yokoyamaというバンドの本質が、10000字にわたる横山健とJun Gray(B)のロングインタビューから伝わるはずだ。
◆ ◆ ◆
■次のアルバムの中心に据えられる曲できたって
■明るい気持ちになった。テンションは上がります
──シングル三部作の第三弾である『These Magic Words』のレコーディングは、今年2月とか3月ぐらいに行なっていたという話でした。今回の第三弾にはどんな企みがあるのか、まず教えてください。
横山:べつに企んでないっすよ(笑)、なんも。
──いや、シングル三部作では作品ごとにリリース形態や仕様を変えてきましたよ。
横山:そう。第一弾の『Better Left Unsaid』は2曲入りシングルで、自社通販。第二弾の『My One Wish』は3曲入りシングルで、流通会社の手を借りて意外と単独のポンとしたリリース。今回の『These Magic Words』は、アルバムからの先行シングルになります。
──当初、今年2月にレコーディングしていた段階で、そういう位置づけのシングルや楽曲という心づもりで、アレンジや録りをしていたんですか?
横山:そうですね、これがアルバムからのリード曲になるぞって。
▲横山健 (G, Vo)
──前回インタビューで「自分はアルバムアーティストだと思っている」と語っていましたが、アルバム先行シングルとなると、思い入れや気合いなど、アルバムに通ずる感じだったんですか?
横山:3曲入りのシングルそのものは、そこまで変な気合いは入ってはいないです。どう言ったらいいかな。アルバムにはバラエティに富んだ曲が入るけど、「These Magic Words」はちょっと飛び抜けている、と僕は曲を作っていたときから思っていたんですよ。そこに対する気合いはあるけども、3曲入りの作品を成立させるための特別な気合いはないって感じかな。
──前回の取材時、南(英紀[G])さんが「次のシングルの表題曲が、春にレコーディングしていた曲の中で一番好き」だと言ってましたね。それが「These Magic Words」で。作曲していた時期のマインドなどを教えてほしいんですが?
横山:まず曲と歌詞は別で、曲からできて。
Jun Gray:最初から「いいのができたよ」って、Aメロとサビを(横山)健が持ってきたんです。実際に聴いて、俺がよく言う“健メロ”ってのがこれで、“もうこれじゃん”みたいな。南ちゃんに限らず、初めて聴いたときからメンバーみんな、“これは絶対にイケるじゃん”って。前回、『My One Wish』のインタビューを受けたとき、収録された楽曲を褒めてくれてましたけど、こっちとしたら“いやいや、ちょっと待てよ。次もあんだから”ってぐらいの気持ちではいた(笑)。
──なるほど、“勝手にテンパってんじゃねえよ、お前”という感じだったんですか?
Jun Gray:そうっすね(笑)。“まあまあ、慌てんな”っていうね(笑)。そういう思いはありました。
──横山:Ken Bandの欲しがり屋である他のメンバー3人も、聴いた瞬間、ギンギンに来ちゃった曲だったんですね。
横山:僕の寝技でねじ伏せてやりましたよ……やめよう(笑)。“ギンギン”とか言うからだよ(笑)。
▲Jun Gray (B)
──しょうがない、だって取材しているこの時間、もう夜ですよ(笑)。でもシングル三部作として去年から曲を作り始めたとき、当初は「ミディアムテンポのものとか、いろいろ考えていた」とも語っていました。「These Magic Words」の作曲時期は、そうした考え方から一歩飛び抜けたところに横山さんはもういたんですか?
横山:そうですね。曲調は特に狙わず、この曲はすっとできたんですよ。あとはもうバンドに持っていって、曲そのものが求めるアレンジをやったというぐらいに、全てがすっといったかな。あと考えたのは、真ん中のコーラス部分をどうするのか、転調をどうするかとか、すごい細かいところだけで。大枠はパッとできた曲ですね。
──メンバーが欲しがる“健メロ”だったから、バンドアレンジするときも、次々にアイデアが止まらない感じで?
Jun Gray:そうですね。でも、例えばギターと歌で始まってというアレンジも、けっこう最初の段階から案としてあった気がする。あと、“ここで転調したいんだ”ってことだったので転調させて、次から次へとできた感じ。アレンジであまり悩んだ記憶がないから、この「These Magic Words」は。
横山:バンドのメンバーみんなが求めていて、わりと得意なものだから、ストレスなくすっと最後までできちゃった感じですね。
──恐ろしいぐらいの自然体で?
横山:「These Magic Words」に関しては。ああ、自分たちの才能が怖いですよね(と言って、革ジャンの襟を立てる横山)。
──ははは。メンバーの求めるものが生まれたからには、テンションも熱量も高まっていくものだし、それが溢れ出た仕上がりということですね。
横山:そうですね、テンションはすごく上がりますね。“よし、次のアルバムの中心に据えられる曲できた”って明るい気持ちにもなるし。
──その高揚感のまま、アルバムに向け、さらに次の曲なども作っていった感じですか?
横山:これはどのぐらいの段階でできたんだろうね? でも「These Magic Words」を作ったことで、インスピレーションも湧いて、どんどん曲ができたってことでもなかったですね。
Jun Gray:シングル三作というのは初めから決めていたことだったから、「These Magic Words」を作ったとき、これはいい曲だから第三弾に入れようってことは決めていたかな。第一弾や第二弾シングルではなくてね。だから「My One Wish」は確かにいい曲だと思うけど、前回あれだけ褒めてくれたとしても、“まあ、待てよ”って(笑)。
横山:話は違うんですけど、今、ライブで「My One Wish」を演奏しているんですよ。やるたびに好きになるな。あれもすごくいい曲できたなって、今でも思います。でもJun (Gray)ちゃんは、“慌てんな”と思ってたという(笑)。
Jun Gray:「My One Wish」は曲作り期間のけっこうケツの段階でできたんじゃない?
横山:そう。もともとシングルにする予定だった曲と差し替えたんだもんね。
Jun Gray:それぐらい「My One Wish」も良かったんです。
横山::でも、“まあ、慌てんな”ってことで(笑)。
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