【ライブレポート】the GazettEが響かせたハードネスな讃美歌「自分らのファンは自分らできっちり幸せにしてみせます」

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2021年5月にリリースした最新アルバム『MASS』を携えた全国ツアーを2022年5月から2023年7月にかけて行い、ファイナルの日本武道館を成功で終わらせたthe GazettE。

◆ライブ写真
そんな彼らが12月25日に11年ぶり(クリスマス公演としての開催は14年ぶり)となるクリスマスライブ<LIVE 2023-HERESY LIMITED- A HYMN OF THE CRUCIFIXION ver.2>を、パシフィコ横浜 国立大ホールで行った。レコーディングを含めると約3年をかけて『MASS』という作品と向き合い、最良の形に昇華したことから年内の公演は武道館が最後になるかと思われただけに、クリスマスライブの開催に狂喜したファンは多かったに違いない。

いつもながらthe GazettEの意欲的な動きには頭が下がるし、ファンクラブ会員限定ライブをパシフィコ横浜 国立大ホールという大きな会場で行えるということも注目といえる。始動から20年を超えた今でもthe GazettEの人気は不動であることをあらためて実感させるライブとなった。


暗転した場内にダークホラーを思わせるテイストにアレンジさせた「Silent Night」が流れ、続いてプロジェクターを使用した巨大なステンドグラスがステージ前面に浮かび上がった。シネマライクな幕開けに惹き込まれているとステージにメンバー達が姿を現し、客席が騒然となる中ライブはダークなスローチューンの「DIM SCENE」から始まった。

全身で内面の感情を表しながら、抑揚を効かせた歌声を聴かせるRUKI。ステージに“スッ”と立った美しいシルエットとエモーショナルなギターソロの取り合わせが印象的な麗。凛とした表情でヘヴィ&ソリッドなギターワークを展開するクールな姿に目を奪われる葵。ミステリアス&アグレッシブなオーラを発しつつ重厚なベースサウンドを轟かせるREITA。ドラムセットの後ろから強い存在感を放って、スケールの大きなドラミングを展開する戒。個性の異なるメンバー5人が並び立った華やかな情景と深く引きずり込む力を持ったサウンドが相まって、場内は瞬く間に非日常の世界へと化した。


その後はRUKIの「暴れる準備はできているか!」というアジテーションも交えつつラウド&ダークな「DOGMA」と「NINTH ODD SMELL」を続けてプレイ。「DIM SCENE」で引きずり込んだ後パワフルに炸裂する流れが決まってオーディエンスのボルテージは一気に高まり、客席では激しいヘッドバンギングが湧き起こった。“クリスマスライブ”という言葉からは明るいパーティー感やロマンチックなムードなどをイメージする人が多いと思うが、全く異なった攻撃的なアプローチを採り、なおかつ説得力に溢れているのはthe GazettEならでは。彼らの特異性や揺るぎなさが光るオープニングブロックだった。

「メリークリスマス。よくこんな12月25日というこの日に、時間を空けて来てくださいましたね(笑)。2023年も今日で俺らのライブはラストになります。今夜は忘年会ということで、楽しもうぜ横浜!」というRUKIのMCを挟み、セカンドブロックでは狂騒感を湛えた「UGLY」やスリリングな「VENOMOUS SPIDER’S WEB」、獰猛な歌中にキャッチーなサビを活かした「GABRIEL ON THE GALLOWS」などが演奏された。全身に響く轟音やthe GazettEのライブならではの刺戟的かつスタイリッシュなライティング、フィジカルなステージングを展開するメンバー達の姿、そして全力でリアクションするオーディエンス。場内は爽快感に溢れた空気に染まり、“たしかにthe GazettEのパーティーといえば、こうだ”と思わずにいられなかった。


その後は翳りを帯びたスローチューンの「WITHOUT A TRACE」を皮切りに、透明感を湛えた「reilla」やラグジュアリーな雰囲気の「籠の蛹」などが続けて届けられた。中盤にバラードやエモーショナルなナンバーを聴かせるのはthe GazettEのライブではお馴染みのパターンだが、今回はレアな楽曲を披露。曲が始まると同時に客席からは歓声やどよめきが起こり、オーディエンスがスペシャルライブにふさわしい選曲を楽しんでいることが伝わってきた。また、かなり久しぶりに演奏する楽曲であることをものともせず、深みのある世界観をしっかりと構築してみせたthe GazettEはさすがの一言に尽きる。

「クリスマスライブということで、いろんな曲が出てきますが、着いてこれますか? 緊張は、ほぐれましたか? ここから、さらに暴れていきたいと思います。やれるか、横浜! いけるか! かかってこい!」というRUKIの煽りからライブは後半へ。ここではハードネスと洗練感を巧みに融合させた「黒く澄んだ空と残骸と片翅」やデジタリックかつヘヴィな「ATTITUDE」、力強く疾走するシーンと重厚なセクションのコントラストを活かした「HEADCHE MAN」などが相次いで演奏された。


圧倒的なヘヴィネスを押し出していながらエモさが香るthe GazettEのハードチューンはライブ映え抜群で、気持ちを強く駆り立てられずにいられない。上質なサウンドとステージ全体を使ったアクティブなパフォーマンスの応酬にオーディエンスも熱さと一体感に満ちたリアクションで応え、場内のボルテージはさらに高まっていく。本編のラストソングとなった「TOMORROW NEVER DIES」ではイントロの大合唱に続いて怒涛の盛り上がりを見せ、the GazettEがステージから去ったパシフィコ横浜 国立大ホールの場内は完全燃焼ライブならではの爽やかな余韻に包まれていた。

2023年を“スペシャル”という言葉が似つかわしい、強く印象に残るライブで締め括ったthe GazettE。今回のライブはファンの期待に応えるべくレアな曲をピックアップするという側面はあったにせよ作品などによる縛りはなく、今の自分達が提示したい方向性のライブだったことは想像に難くない。そのことからは現在のthe GazettEがラウドモードであることが推測できるし、前述したように彼らのハードネスは唯一無二の魅力を湛えている。


そんなthe GazettEだけに、今後の動向も本当に楽しみだ。アンコールでRUKIが語った「2024年にまた新しいものを生み出して、進化したthe GazettEをみんなに届けたいなと思っています。きっと良いものを届ける自信があります。来年も自分らのファンは自分らできっちり幸せにしてみせます。だから、期待して待っていてください」という言葉は説得力に溢れていた。2024年のthe GazettEにも大いに注目していきたいと思う。

取材・文◎村上孝之

『LIVE TOUR2022-2023 / MASS "THE FINAL" LIVE AT 07.15 NIPPON BUDOKAN』

2024年3月13日(水)Release

■初回生産限定盤(Blu-ray)
Blu-ray(1枚組)
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収録内容:武道館公演(本編+アンコール) / LIVE TOUR2022-2023 MASS DOCUMENTARY
Photo Book / 特製LPサイズ仕様

■初回生産限定盤(DVD)
DVD(2枚組)
品番:SRBL-2245~2246
価格:¥11,136+TAX / ¥12,250(TAX IN)
収録内容:武道館公演(本編+アンコール) / LIVE TOUR2022-2023 MASS DOCUMENTARY
Photo Book / 特製LPサイズ仕様

■通常盤(Blu-ray)
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価格:¥6,727+TAX / ¥7,400(TAX IN)

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