【インタビュー 後編】KAMIJO、新曲「美しい日々の欠片」を語る「だけど、愛だけが残ってしまった…」

■Zepp Shinjukuワンマン＜The Anthem＞は
■いよいよ本格的なスタートになります

──そして瞬時に惹きつけられるのがギターソロですよ。そんなに長い尺ではないにもかかわらず。

KAMIJO：これは熱いですよね。実はすごく感動したことがあって。HIROさんはメモを持ってレコーディングスタジオに来てたんですね。そのメモに何が書いてあるのかなと思ったら、僕が仮歌で歌ってた歌詞を全部書き起こしてくれていて。この人物はどういう状況なんだろう？とかを考えながらソロを作ってくれていたんです。歌詞を自分で書き起こすなんて、ないですよ。初めてです。

──ええ、聞いたことがないです。素晴らしいエピソードですね。

KAMIJO：はい。もちろん、ギターソロだけではなく、アルペジオもオクターヴ違いのものを入れて、一つだけトレモロをかけていたり、かなりHIROさんマジックが炸裂してて。Bメロ後半から出てくる、ちゃっちゃっちゃって裏を突くギターフレーズがあるんですけど、それがサビへの半音下がり転調をとても美しく締めてくださってるんですよね。ギターアレンジは本当に素晴らしかった。HIROさんも構築美の人なんですよね。たとえば、バッキングでいうと、スタジオミュージシャンの方々だったら、大体は刻んだり、ストロークしたりするんですけど、もう全然違いますね。すべてをフレーズ構築してる。“これがLa’cryma Christiの秘密か！”って思いましたね。


──わかります。ピアノソロのフレーズはKAMIJOさんが考えたものですか？

KAMIJO：入りと進行は僕ですが、ニュアンスとかちょっとしたフレーズとかはピアニストの佐山こうたくんにお任せして。

──マイケル・ナイマン的な雰囲気がありますよね。

KAMIJO：そうなんです、マイケル・ナイマンの『ピアノ・レッスン』をめちゃめちゃイメージしました。よかった、わかってもらえる人がいた（笑）。

──それはよかった（笑）。新曲「美しい日々の欠片」は東名阪ツアー＜KAMIJO TOUR「NEW VAMPIRE IS BORN」2024＞から披露されていくことになりますが、ライヴに関しては、「“新主人公”が登場し、完全オリジナルストーリーが幕を開ける」と告知されています。

KAMIJO：本編は『LOUIS XVII』を丸々ほぼそのままやるんですが、ディレクターズカット・バージョンという形になります。ものすごくマニアな人ならわかる美味しい台詞とかが途中に混ざってくるんですが、実は僕の過去のライヴの演出の中に秘密がある…そういう伏線も回収しようかなと思ってて。それから、「美しい日々の欠片」を披露するにあたっては、10周年を経て、ルイ17世の物語は一旦区切って、その次の新しいものとして描いていきたいなと思っています。


──ツアータイトルには＜NEW VAMPIRE IS BORN＞という記述があります。

KAMIJO：直訳すれば、新しいヴァンパイアが生まれるということになりますが、新しい主人公というふうに捉えてもらえたら。やっぱり僕のライヴは、わかりやすい物語があることによって、楽曲がより映えていくんですよね。今回は第1話というよりも、プロローグ的なところになるので、そこを楽しんでもらえるようなライヴになると思います。自分なりに新しい表現方法もチャレンジしますので、演出を含めて、わかりやすくその世界にみなさんを連れていけると思っています。

──6月にはヨーロッパ7ヵ所を廻る久々の海外ツアーも決定していますね。

KAMIJO：はい。「美しい日々の欠片」のジャケットなどは、パリを見下ろせるモンマルトルが舞台になっているんですね。それもあってパリからスタートしたいなと思ってて。その前に国内では4月20日に、Zepp Shinjukuでライヴを開催することが決まってます。これは＜KAMIJO -Visual Rock Identity-「The Anthem」＞というタイトルで、次のリリースも計画中なんですけれど。いよいよ本格的なスタートということになります。

取材・文◎土屋京輔






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