佐藤慎吾/Vo


高田憲明/G


川口賢太郎/B


堀川ヒロユキ/Dr

 54-71。そのバンド名からして謎なバンドだが、いざライブでその姿を現すと
その謎はさらに深まるばかりだ。ジャミロクアイの動きを3倍速にしたような踊りで
ラップとも呻きともつかない高音の叫び声で歌い続けるヴォーカル、
突然発作のようにノイズギターをまき散らすギター、通常ドラムの立ち位置で
なぜか終始後ろを向きながら黙々とベースを弾くベース、そして通常ベースの位置で
タムのない不思議なドラムセットで淡々とヒップホップのリズムを刻み続けるドラム。
サウンドの方も、音響派ともアブストラクト・ヒップホップともミクスチャーとも、
如何様にも表現できないグルーヴが不気味な緊迫感と共に繰り返される不思議なもの。
 ただ、そんなアバンギャルドに見えるサウンドの中に実にわかり易いフックもあり、
それがその一度見たら二度と忘れることの出来ない強烈な印象を脳裏に延々と
刻み続けもしている。そんな唯一無二の個性は、一部の耳の早い業界関係者の間で
話題を呼び、ナンバーガールの向井秀徳も「今もっとも対バンしたいアーティスト」として
注目してるほど。今後間違いなく最もヒップなサウンド・クリエイター、
あるいはライブ・アクトとして注目されること間違いなしのこの集団。
一体どんな連中なのだろうか。
Interview:沢田太陽 photo:Ikuta

●54-71の音源は前に某米輸入CDショップでフリー・サンプラーとして配布されてたのを
持っててね。あの宮本武蔵のジャケ写のヤツ。
堀川・・ああ、あれですね。あのジャケはリーダー(川口)の意向ですね。
佐藤・・それでありつつですね、バンドの姿勢でもあるんですよね。
●サムライ・スピリット?
堀川・・そうそう、たとえば僕がスネアを叩くだけでお客さんが失神するような(笑)
●そんなことあったら驚きだねえ(笑)
堀川・・(笑)いや、そうなんだけど、それぐらいの気持ちでやりたいなと。
●へえ、そもそもみんなが会ったのは大学のとき?
高田・・もともと自分とヴォーカルとベースが慶応の藤沢キャンパスの学生で作ってて。
最初は今のベースのがドラムをやってたんですが、3年目のときに当時のベースが
抜けたのを機にドラムだったリーダーがベースを弾くことになって。
堀川・・で、僕がそこで加入したんですよ。
●あっ、それでベースの川口君は通常のドラム位置でベースを弾いてるのか。
堀川・・そうですね。あそこが居心地が良くなったんじゃないですか(笑)
●でも、まさか最初からあんな音楽じゃなかったよね。
(ベースでリーダーの川口がここでようやく到着する)
川口・・すみません、で今どこまで話が・・・?
高田・・結成当初の音楽性。ほらっ、あんたが「集大成作った」って言ってた頃の・・・。
川口・・ああ、ヘヴィ・ロックつうかジャンクっつうか。ツェッペリンっぽかったなあ。
あとはキャプテン・ビーフハートとか、アルバート・アイラーみたいなフリー・ジャズとか。
まあ、あの時はああいうフリーでゴチャゴチャにしたのをどう整理するかに興味があって。
そこで、そういう物の断片をサンプリングという手法でまとめあげる点で
ヒップホップに興味を持って。
●そのときはもうヒップホップぽかったの?
川口・・どうだったかな。でも、俺当時ドラマーで早いの叩けなかったから自然とリズムが
ヒップホップぽくはなってたかもしれない。
●でさ、何でキミはベース弾くときずっと後ろ向いてるの?
川口・・いや、俺ドラム叩いてるときは前に行きたかったの。
でベースになったときに前に行こうと思ったんだけど、
普通の楽器の並びじゃつまんないなあとか思い出して「まあ、いいか」と。
それに前向いてる必要もないんじゃないかと(笑)
●佐藤君は昔からああいう歌い方だったの?
佐藤・・いやあ、昔はダメだったですねえ(笑)
●その「ダメ」ってなんだよ(笑)?
川口・・いやあ、こいつ大学1年ときからの知り合いなんだけど変なヤツでね。
元々はこいつキーボードだったんですよ。メタリカのTシャツ着て(笑)
メタリカにキーボードなんていないのに(笑)
●(笑)で、なんで歌うようになったの?
佐藤・・いやあですね、川口君のバンドで「パンテラのコピーやろう」って誘われてですね、
そのときにキーボーディストとして誘われましてね。
(一同爆笑)
●(笑)なんでパンテラにキーボードがいるんだよ!
佐藤・・いや、いるままやろうと(笑)。それでヴォーカルがいないから歌うことになって。
●で、今の歌い方になったのはいつ頃?
川口・・オリジナル作ったときからあんな感じですよ。
●で、あの踊りは?
佐藤・・いやあ、山に籠もりましてね(笑)
●山に籠もったあ(笑)!
佐藤・・ええ、電気もないとこに寝袋だけでですねえ、練習のための合宿をしまして、
そのときに鍛えられました(笑)。川口君に伝授された踊りもあります。
川口・・いや伝授はしてねえよ。あれはただオマエの踊りが中途半端だったから
アドバイスしたんだよ。手を逆回転にしろとかさ。
●昔からあの踊りはやってたの?
川口・・1年ぐらい前からですかね。そのとき佐藤君は前衛舞踏に凝っててね(笑)
暗黒舞踏をね。おい、そんなことよりあの話をしろよ!踊りのルーツの話をさ。
佐藤・・ああ、僕が小さい頃、うちの母の体調不良の治療として活元法というのがあって、
それを小さいときから無理矢理道場に通わされて習わされてたんですねえ。
川口・・それであるとき、みんなでキャプテン・ビーフハートの話をしてたら、
佐藤君が『あのノイズは踊りでいうとこうだ』とか言っていきなり踊り出したんですよ。
『それに比べるとオマエのギターはこうだ』とか言って踊り続けちゃって(笑)
その踊りを見てるうちに「じゃあ、何でオマエはその踊りをステージでやらないんだ」
ということになって。
●それで踊り出したの?
川口・・いやあ、最近いい踊りをするヤツもいないからいいかなと。

●今回のアルバム、ノイジーなギターが減って、音数も少なくなってるよね。
川口・・そう、それで音を減らしはじめて気づいたことなんだけど、やっぱりね、
せーのでガガガーッってやったところで外人には勝てねえんじゃねえかと思いだしてね。
それに何か白々しいなあとかも思いだして。「轟音に感情を込める」って言うけど、
じゃあ、1、2、3、4のカウントでホントに向こうの世界に行けるのかなって。
最近よく友達とかと言ってるんだけど、1,2,3,4の4つのカウントで本気で怒れるのかなと。
●なるほどね
川口・・やっぱり俺はそんな短期間では怒れないからね(笑)
●そこで感情の本来の起伏に合わせた感じにしようと。
川口・・そうですね。音を埋めて行くより減らしていって間を楽しむ方が
無限に面白さがあると思うんですよ。
●それでアブストラクト・ヒップホップみたくなっちゃったのかな?
川口・・そうかな、そうですね。
●音響派は?
川口・・それね、よく言われてるんだけど、実は聴いたことないんですよ。
最初『音響』とか言われても何のことかわからなくてね。で、トータスとかよく引き合いに
出されるんで人に借りて一回だけ聴いたけどソフトロックみたいだと思った(笑)
こういう言い方しちゃうとおこがましいけど、トータスの人も俺らも好きで聴いてるものが
同じなだけじゃないですか?マイルス・デイヴィスとかマハヴィシュヌ・オーケストラ
みたいな初期のフュージョンとかね。
●練習とかはちゃんとやってるの?
川口・・いやあ、よくやりますけどどうして?
●キミたちのライブって凄く集中力を感じちゃうんだよね。見ててすごく緊張するというか。
ずっとこのテンションでやり続けてたらこりゃ大変だなと思って。
川口・・でもね、練習にくらべりゃライブはまだ楽ですよ。
堀川・・ライブは時間が短いけど、練習だったら同じ曲を6時間やったりもするし
川口・・ライブにしたって、『今日は良かった、悪かった』があるうちはダメで、
常に同じに出来ないと。ホントは毎日8時間ぐらい練習したいんだけど。
●そんなに練習してるの?
川口・・いや、学校のスタジオを卒業して大分たちますけど使わせてもらっててね。
うちらの場合、「楽しけりゃいいじゃん」っていうのが根本的にない。
100%以上をやろうとしてるから。だから楽しくないですよ(笑)
●そりゃ神経を消耗するなあ。
堀川・・胃痛起こしますよ(笑)
川口・・いや、前にみんなで北鎌倉に座禅組みに行ったんですけど、
あの厳しさに比べりゃ俺らの練習なんて楽なもんですよ。
●禅の影響なんかあるの?
川口・・いやあ、そのときだけですから影響なんて。
あっでも、剣豪ものの小説の影響はありますね。
津本陽さんの小説を読んだときに『こりゃあただの小説じゃないな、
この考えは音楽に生かせるな』と思って。集中力うんぬん言い出したのはその時ですね。
で、メンバー全員でそれを回し読みして、それで今みたいになっちゃったんですよね。