UKロックSupergrassはまばたきを許さない

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UKロックSupergrassはまばたきを許さない

一般に英国出身バンドの全米ツアーで前座に出て来がちなアメリカ人バンドというのは、英国系バンドを目標にしていることが多い。

5月22日、英国オックスフォードを拠点とするSupergrassの前座でハリウッドのロキシーに登場したTsarも、そんなバンドのひとつである。彼らはロサンジェルス在住だが、明らかにT.Rexおよびそれに関連するあらゆる事物を愛している。

彼らのグラムロックは、雰囲気もルックス曲も一般人が近づきやすくて、客席の盛り上がりは後から登場したSupergrassにひけを取らなかった(Tsarの短いライヴのあいだ、一部の観客たちが「Ricky Schroeder」とTV俳優の名前を叫んでいた。どうやらそれは、プラチナ色の髪をしたバンドのフロントマンが指示していたらしい。)。

Tsar
Tsarのダブルギターは見た目優先だが、重い音のリズムセクションがそれを背後でしっかり支えていた。この日演奏された何曲かは将来スタジアムを熱狂させる可能性が感じられたが、それもリズムセクションあっての話である。

すでにTsarのライヴの途中から、観客たちはそわそわしてSupergrassの登場を待っていた。彼らが現れると、火薬が爆発した。

Supergrassは(ライヴには、ヴォーカリスト/ギタリストのGaz Coombesの弟Bobsieがキーボードで参加していた)、10年近く一緒にやってきただけあって、まったくスキのないバンドだった。非の打ち所のない演奏、ぴったりのハーモニー、完璧なリズムセクション(ドラマーDanny GoffeyとベーシストMick Quinn)。息もつかせぬライヴのいたるところで、Supergrassの実力がはっきり分かった。

曲目は全3枚のアルバム…『I Should Coco』『In It For The Money』および最新の『Supergrass』…のあちこちから取り上げられたが、どの曲も観客の心を捉えていた。そもそもどのアルバムにも“生焼け”の曲は1曲もないのだから、そこから精選した演奏曲目は最上のフルコースだった。

ライヴアレンジで聴く「Moving」「Sun Hits The Sky」「Going Out」「Strange Ones」「Caught By The Fuzz」「Mary」「Pumping On Your Stereo」は、すべて鳥肌モノだった。客席前方では、かわいい少女たちと取りつかれた少年たちが、すべての歌詞を合唱していた。彼女たち彼らは、このライヴを1秒たりとも見逃さないために、まばたきすらしたくなさそうだった。

アンコール1曲目「Lenny」の演奏を始めるとき、Supergrassのメンバーは三角に向かいあった。心臓が止まるようなこの曲のイントロを演奏するには、こうするしかない。このとき、ギターピックやライヴの曲順表などが、舞台近くの観客たちに盗まれていることが分かった。Supergrassは曲順表なしで平然と演奏を続けた。さすが、ロックしている。

by Lily Moayeri

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