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薄暗いGREEN STAGE、メンバーがそれぞれの立ち位置につくと歓声がわきあがる。FUJI ROCK初日のトリは解散を発表したBlankey Jet City最後のステージ。

スタートのナンバーは軽く意表をつく「プラネタリウム」。まるでバイクを軽くふかすかのように、それぞれの間合いをさぐりあいながらボルテージを除々にあげていく3人。けっして派手なオープニングではない。

しかし、東京では考えられないぐらい星が見える苗場でベンジーはこの曲(「プラネタリウム」)を演ってみたかったのかもしれない。だからなのか、しばらくすると降り続けていた雨も止んでしまった。

そんな静かな幕開けも、3曲目の「スカンク」で一気にヒートアップ。悲鳴のようなベンジーのボーカル、一音一音に全身全霊をこめる達也と照井のリズム隊に会場はぐしゃぐしゃになり、揺れるはずのない地面が揺れる。

以前ベンジーに「“アラスカ帰りのチェインソー”という言葉に意味や説明を求めるのはおかしいですよね?」と話した時、黙ってとてもうれしそうに同意していたのを思いだす。

結局BJCとは、自分達がカッコいいと思うことをカッコよくプレイする。その問答無用のパワーだった気がする。しかし、今の世の中で純粋にカッコいいことだけを追及していくのは困難で、だからこそ彼らは苦闘し、唯一無二の存在として輝いていった…。

続いて繰り出される切ないメロディーが印象的な「赤いタンバリン」、梵百のへヴィー・ロックバンドが裸足で逃げ出す「ガソリンの揺れかた」、一定に刻まれるビートがまだ終わらない旅を予感させるラスト作「Saturday Night」。絶妙な流れのヒット・シングル3連発に大合唱で応える会場。もちろんバンドが無理にコーラスを強調するような予定調和は不要。それはごく自然にステージと客席が一体になっていくコンサートの理想的な姿だった。

久々に聴く初期のナンバー「絶望という名の地下鉄」、「Soon Crazy」。「Soon Crazy」では感極まった達也がドラムセットを飛び出して機材の関係ない部分まで叩いてしまう。ベンジーが機関銃のように言葉を連射する「3104丁目のダンスホール」、ウッドベースに持ち替えた照井が弾けるようにロカビリーなフレーズを披露する「ロメオ」、とそれぞれの観せ場もたっぷりだ。

最もパンキッシュなナンバー「僕はヤンキー」の後に、聴きなれないアップテンポのナンバーが1曲披露された。ファンサイトなどでは“(浅井の別ユニットである)シャーベッツの1stに入ってる曲のリアレンジでは?”などという情報が飛び交っていたが、最後の最後に及んで新曲を披露してしまう所が、いかにBJCが破格のバンドかを物語っている。

そして本編ラストは、すべてのブランキストのライフ・ソングともいえる「D.I.J.のピストル」。感極まった照井がぶちきれたように絶叫し、マイクスタンドを勢い良く蹴り倒す。これは“いけるところまでいけ!”という合図であり、“今日のプレイはノっているぞ”という証でもある。まさに後半4曲は超ハイスピード・チューンのノンストップ攻撃だった。

デビュー時からずっとBJCのライヴを見続けているが、これほど激しい終盤は初めてである。すべて叩き終えた達也がドラムセットにスティックを投げつけてステージを去る。長いつき合いだが、まだまだ彼のパワーとスタミナは天井しらずと知り愕然とする。もはや人間のドラマーではない。照井がベースを普段しないような乱暴な置き方で去ったので、“ひょっとしてアンコールはなしか?”という気がしていたのだが、歓声に応えてメンバーが再登場。

ベンジーが「最後の曲やるよ」とMCを入れる。その口調はまるで友達や恋人に話してる様に優しく、いかに彼がファンを大切に思っていたかが切実に伝わってくるものだった。と同時に、今日初めてメンバーからBJCがラストであることを表明した言葉でもある。

そしてベンジーはさらに何か思いついたようなしぐさをみせて、もう一言付け加えた。

きっと 世界中で 音楽はすごい大切だと思う

その場面はまるで映画のように美しい1シーンだった。

正直にいえば、やはりメンバーも緊張していたのか前半はミスしたり、もたついたりした所があったりしたのだが、それを乗り越えて除々にフルパワーに近づいていき、最後にこんなクライマックスが待ち受けていようとは!?

本当にブランキーのライヴはドラマそのものだ。もうこんなライヴは2度と体験できないだろうな、と思ったら不覚にも涙が溢れてきた。

BJC歴史の幕を閉じる最後のナンバーは「baby baby」。しかし、もう涙で何も見えなかった。

reported by K.O.D.A