奏でる音は昭和テイストたっぷり歌謡ムードスカ

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ある意味キザですよね、英語がないというのは…。

地元仙台の高校の同窓生が上京後に再会。楽器が出来る3人が寄ればバンドが出来るというわけで、'97年に結成したのがWhat's Love?だ。

まだまだ若いメンバーではあるのだが、奏でる音は昭和テイストたっぷり歌謡ムードスカ。そこにキャッチコピーよろしく“男の歌”を乗せている。メンバー間には、音楽性より人間性が第一にあって、「こんなに真面目にやるなんて思わなかった…!(笑)」と語る。

が、その一方で、自身で主催するライヴイベント<スカ帝国>は、ライヴハウスやイベンター任せではなく、自分たちの手で、自分たちのイメージを作り広げていくためのイベントでもあるのだけれど、「結果的にスカって言葉に助けられてる…、いや、利用してるか」とも言ってしまうところもあったりして。

そんなWhat's Love?の3人。彼らの横顔に迫ってみた。

「愛とはなんぞや」…“What's Love?”

『泣けるほど』
Warner Indies Network WINN-82058 発売中

1. 泣けるほど
2. 今年の夏
3. ゆくりなく
4. みちのくひとり旅


ライヴ・スケジュール>

●3/22(木)新宿LOFT
“スカ帝国 番外地 歌謡の夕べ”
出演:女体盛、クレイジーケンバンド、What's Love?

●4/2(月)渋谷club asia
●4/5(木)下北沢Shelter

【問】Warner Indies Network 03-5412-3300



■オフィシャルHP
www.tk1.speed.co.jp/ducksoup/
―――まずは、バンド名の由来からお聞きしていいですか?

菅野英児(Dr):

最近巷に聞くに、愛の歌が多かろうと。じゃあ、「愛とはなんぞや」というコンセプトでバンドをやろうと言ったらベースの阿部君が…。


阿倍光一郎(B):
“What's Love?”だねと。

菅野:
それで、いいねぇ~と。

――では、この3人が集まって、スカ…、しかも今流行りのスカコアといったハードなものでなく、歌メロを聴かせる歌謡スカの方向になっていったのは?

菅野:
もともと3人とも趣味趣向がバラバラでなかなか接点がなかった。でも、唯一の好みの接点であったIRON MAIDENを基に、そこからメタルをソウルやパンクっぽくやろうと。だからWhat's Love?のはじまりはオリジナルじゃなかったし、スカでもなかったんです。で、それとは別に僕は歌謡曲をスカにアレンジして演るバンドの手伝いもしてて。で、ある人がそっちを気に入って、「What's Love?でもこういうのやれば? スカのほうがおもしろいじゃん」って。それで今の形が出来上がっていきました。'97年の暮れくらいですね。それからオリジナルを作り始めました。

――その方はWhat's Love?にとってキーマンですね。

菅野:
ですね。今所属しているレーベルの人なんですけど、また彼にいろんなCDなんかも借りたりして、試行錯誤しているうちに出来たのが1stシングルとして出した「かえり路」(2000年4月リリース)だったんです。

松本雅光(Vo&G):
でも、音楽性はあんまり問題じゃないんです。この3人でやるのが前提にあるから。

菅野:
そうなんです。はっきり言ってしまえばスカって音楽性だけを取ればみんなそれにゾッコンというわけではありませんよ。阿部さんはジャズが好きだし、松本はアンダーグラウンドなオルタナが好きだし。僕はスカ好きですけど、オーセンティックなタイプのものが好きだから。でも、そういうことよりも3人が演れることが大事なんです。で、その次に松本の歌というのがありまして、彼の声には日本的な情緒がありまして、奇しくも今やっているようなビートが合った。で、リズムを合わせて、メロディを合わせて…、じゃ、これなんだ?といったらスカだった。ま、大元は音楽が好き、でいいと思いますしね。

――なるほど。それで2ndシングル「泣けるほど」がリリースされたわけですが、歌詞にも特徴があるな、と感じたんです。まったく英語を使ってないですし。歌詞は松本さんが書かれていますよね。

松本:
自分らしさ、What's Love?らしさってのは考えないですね。英語の詞は……意味のあることに思えないんですね。自然に思えないから。それが結果、ひとつの特徴になっているのかな。

菅野:
おそらく松本らしさ=What's Love?らしさなんですね。だから松本が松本たる松本らしさなんですよ。お客さん以前に僕らが松本に作為を感じられたら違和感があると思うんです。でも、そういうのは全く感じられないし、英語もわざと無くそうとしてるんじゃなくて、気づいたら…カタカナさえ無かった(笑)。でも、逆を言えば、ある意味キザですよね、英語がないって。言いにくい、伝えにくい、恥ずかしいって表現を横文字で逃げないわけですから。

松本:
スタイルに全然固執してないから出来るんだと思うよ。

菅野:
思い入れのあるジャンルだとこうあるべきだってスタイルに縛られるからね。

――そして、やっぱり気になるカップリングの「みちのく一人旅」(オリジナルは山本譲二)。このアイデアはどこから?

菅野:
松本はカラオケが得意でして、パーティや宴があると一番最初に歌わせるんですよ。で、「みちのく一人旅」もレパートリーにありまして、じゃ、これをバンドでスカやレゲエにアレンジしてやったらおもしれえんじゃないかなって。

――聴く前ってのは、ウケを狙ったのかなって思ったのですが、聴いてみるととんでもない。色モノにならずに、ちゃんと新たな曲としてきっちり聴かせてますね。

菅野:
やっぱり収録曲4曲のうち、この曲は一番苦労しましたから。色モノ的に捉えられるのだけはイヤだったから、出来るだけシリアスにクールに取り組みました。エンジニアの内田(直之/Dry & Heavy Connection)クンがレゲエやスカというジャンルを深く理解している人だったし、僕らの人間性も分かってくれて、音を構築してくれたので、素晴らしいものになりましたね。

――それはある意味、挑戦でしたね。

菅野:
ですね。だから120%の出来ですよね。凄く満足しています。他の曲もライヴでやっていたものがあるにせよ、この4曲は聴いていてフルアルバムくらい疲れるなぁって。1、2曲目と3、4曲目が違うタイプの曲なんで、終わってまた1曲目から聴けよと(笑)。いい感じで遊び心を感じてもらえればと思います。

取材・文●中島儀幸

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