『モア/MORE』は、米国で大ヒットの1stシングル「The Itch」、全米シングルチャートを急上昇している2ndシングル「As Long As You're Loving Me」、さらにはデビューアルバムに収録されていたヒット曲「Smile」と「Graduation (Friends Forever)」も含まれており、ベスト・アルバム的な要素も含んでいる。
だが、彼女自身は今回のアルバム『モア/MORE』で、彼女自身の音楽のスタイルを見出すことができたとして、前回のデビューアルバムとは異なると、ロンチに話した。「私は“ノールール”ポップって呼んでるの」と彼女は話す。
「いろんなサウンドを自由に、上に重ねていくことによって、違うサウンドをつくってみたの。そういう意味では少しポストモダンな感じになってる。時には上手くいくし、上手くいかないときもある。でも、トータルでは、単に型にはまったポップには仕上がっていないと思う。少なくともそこにチャレンジがあったし、音的にとても面白いものになった。それに、今まではずっと歌詞を中心としていて、言葉を重要視してた。そういった点が、前のアルバムとの大きな違いかしら」 成熟したミュージシャンになった、ということと同時に、Vitamin Cは女優でもある。
'88年のJohn Watersのカルト的作品「Hairspray」、'95年の「HIGHER LEARNING」(日本国内では未公開)、'96年の「HIGH SCHOOL HIGH」、2000年にはヒップホップやラップを素材としたコメディ作品で、EMINEMやFugeesのPrasなどと共演した「DA HIP-HOP」、さらには「Dracula 2000」にも出演している。'01年には米国で3月12日に公開され、カーステン・ダンスト、ベン・フォスター主演の最新映画でもあり、あのSisqoの初出演映画でもある「GET OVER IT」に歌手“Vitamin C”として出演するなど、女優として着実な道を歩んできている。
そんなシンガーであり、女優でもあるVitamin Cは、ゆくゆくは歌や演技を超えて、活動の幅を広げていきたい、と話している。 「自分が何か作り出す方法に、必ずしも限界を見出す必要はないと思うの」と彼女は説明する。
「たくさんのいろんなフィールドとか、実験に横断的に関わって、いろんなものをミックスさせてみたいの。最近は、一か八か賭けてみる、っていうことをしたがらない人が多いでしょ? そういう人たちはみんな、成功することだけを考えていて、それはとても残念なことだと思う。昔は音楽は、反抗心で溢れていた時代があって、とても面白くて、挑発的な時代だった。それによって良い音楽をプロデュースできるかなんて誰も分からなかったけど、そういうことを人に能動的に考えさせるものだった」 Vitamin Cはまた、人に何かを考えさせるということが、彼女が曲を書く大きな理由のひとつだと語っている。
「どんなことがあろうとも、それがゴールでありたいと思う。音楽は人に何かを感じさせるものであってほしいし、何かを考えさせるものであってほしい。人の腰を奮わせるものだし、頭を振らせるものでもあるし…とにかく何でもできる。でもそういったもの全ては、互いに関係してる」
Vitamin Cはデビュー当時、音楽制作の面白さについて、次のように語っていた。
「私が今取り組んでいることの中で、とてもいい瞬間が2つあるの」
「1つは、楽曲を作って、それに対してとても誇りに思えたり、とても素晴らしい作品だと思えた時。もう1つは、それをライブでオーディエンスの前で披露できる時」
単に爽やかさやポップではなく、彼女自身の音楽に対する挑戦、歌手、女優としての広がり、そして人の感情を動かす音楽が、『モア/MORE』には溢れている。文●ロンチ・ジャパン |