【音楽と映画の密接な関係 2001 GW Special!】『LOVE SONG』

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音楽と映像の密接な関係――。

'85年。北海道のレコードショップで、一枚のアルバム『17歳の地図』(尾崎 豊)をきっかけに出会う2人がいた。
それぞれの道を歩んでいった2人だったが、道に迷った女の子が、男性を探すために東京へ出るのだが……。

“歌が伝わっていった先にあるもの”に対する絶望を救うひとつの作品


『LOVE SONG』
オリジナル・サウンドトラック

『ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK 「LOVE SONG」』

SRCL-5074 ¥3,059(tax in)
2001年4月25日発売

1hello/casualsnatch
2Friday/Hue art Rage
3リュービンシ・リ・ミニャ?/露菜
4蒼い歌/RALLY PALLY SU:PLEX
5感情/三輪明日美
6weep/casualsnatch
7Garbage sky/Hue art Rage
8青春/RALLY PALLY SU:PLEX
9BROOKLYN/BATH MANIA
10たんぽぽ/tko
11AKIKO/BATH MANIA

尾崎 豊 最新シングル

「FORGET-ME-NOT」

SRCL-5075 ¥1,020(tax in)
2001年4月25日発売

1FORGET-ME-NOT
2OH MY LITTLE GIRL
※劇中、重要な核となる2曲(c/w「OH MY LITTLE GIRL」)を収録したシングル。




気になる「LOVE SONG」の予告編はこちら!




『LOVE SONG』
(2001年日本)
2001年4月28日より、全国松竹・東急系劇場にて公開!

●監督・脚本/佐藤信介
●エグゼクティブ・プロデューサー/森島恒行
● 音楽プロデューサー/須藤 晃
●出演/伊藤英明、仲間由紀恵、一條俊、原沙知絵、ジョビジョバ、ほか
● 配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

上映時間/100分

Special Thanx to www.lovesong-movie.com/
2両編成の電車、橋に架かる鉄橋、5千枚のアナログ盤のあるアパートの部屋、高校の音楽室、東京に行く…こうした幾つかのエレメンツを書き出すだけで、映画『LOVE SONG』の“淡さ”の一端は伝わるかもしれない。


『十七歳の地図
/尾崎 豊
Sony Records
SRCL-5076¥3,059(tax in)
2001年4月25日発売
(再発)

1. 街の風景
2. はじまりさえ歌えない
3. I LOVE YOU
4. ハイスクールROCK'N'ROLL
5. 15の夜
6. 十七歳の地図
7. 愛の消えた街
8. OH MY LITTLE GIRL
9. 傷つけた人々へ
10. 僕が僕であるために

僕が尾崎 豊のデビューアルバム『17歳の地図』('83年)以来彼の作品を愛聴し、他界する3週間前まで取材をした、そのOZAKIの中に何がしかの淡さを認められたか?と問われれば、「おそらく、ない」と答えると思う。実際、尾崎の初期のビデオクリップにしても、水の中でもがいたりたくさんの色のペンキを頭からかぶったり、ただひたすらバイクを飛ばすという“否・淡い”ものだった。

しかし、彼の歌は彼の“純粋観念”を正確に投射したものであり、その歌が波及していく時、聴き手の心を揺らし、さらに限りない日常に己のできることを聴き手が探そうとする時、それは淡いものであればあるほど優れたものであると断言できる。

僕の曲を聴いて、バイクを盗んでもらってもね…」と言って苦笑した尾崎の、横顔に存在した“歌が伝わっていった先にあるもの”に対する絶望を、映画『LOVE SONG』は何処かで救っている。言い換えれば、了見の狭い視点でしかとらえられなかった尾崎楽曲をこの映画は新たな視点で抱擁しているとも言える。

<会いたい。会いたい。ただあなたに会いたい。>

これが、映画のコピーである。そして同時にこの感情は純粋観念の入り口でもある。

では、会えれば、つまり、その強い感情が成就すればよいのか?との問いに映画は答えてもいる。

自由っていったい何だい? どうすりゃ自由になるかい?」と尾崎は歌った。歌の問いに「形式こそ社会だ」と言える自分が現在いて、その自分を「オトナになってアカにまみれたんだよ」と卑下したりしない自分もいる。しかしながら、自由に対して何度も考えるようにターンテーブルに針を下ろした時間は決して無駄ではなかったとも思う。

昔はよかった」などという雑な思考ではなく、理想が現実化するときに必ず生じるギャップも人間の病であり特性だと相対化した先に未だくすぶる、行間に凛と存在する純粋観念があることに気付く映画。

「LOVE SONG」はそんな映画だと思う。

主人公の松岡(伊藤英明)が警備員として勤めるオフィスビルのショウウィンドウで、ディスプレイ・アーティストの千枝(原紗知絵)に出会い、彼女が言うひと言「
もう、聴かないの?」の説得力と温かみが胸に滲みた。

尾崎がこの映画を観たら何と言うだろうか。

文●佐伯 明

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