ストーリー展開のある場景に日常性が加わる、そんな詩の中で…

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衒(てら)いのないメロディ・メーカー 兼 ストレートな詩人、林 邦洋

ストーリー展開のある場景に日常性が加わる、そんな詩の中で…


「春の新作コレクション」
2001年4月23日(月)
渋谷NEST

1. 思ふ事
2. 講義A
3. 春雷
4. HIT AND RUN
5. 目黒にて
6. 有給休暇がとれたなら
7. 順番に眠る夜
8. タンブル・ウイード
9. 私利滅裂
10. HEAVEN STAGE
11. 心の園芸
<アンコール>
12. 沢村恵子
13. No more Rock, one more Rock



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サイズはMのみ。ちなみにイラストの横のS.S.Wとは「シンガー・ソングライター」の略とか。

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「思ふ事」



「春雷」



「HEAVEN STAGE」



「HIT AND RUN」

今日の渋谷NESTは超満員。出入口のドアは閉まり切らない。一般のお客さんはもちろんのこと、音楽業界関係者も多く、林 邦洋に対する注目度は相当に大きいようだ。

そんな林は、地元の九州でフツーに就職し、「
音楽を仕事といえるような生活を送れたらいいな」なんて思いつつもフツーに趣味のひとつとして詩を書き、ギターを奏でていた。が、1本のデモテープをキッカケに上京し、本格的に音楽中心の生活を送るようになる。そして、インディーズで1枚のミニアルバムと3枚のシングルをリリース。2001年2月1日にはシングル「私利滅裂」でメジャーデビュー、6月には2ndシングル「そして僕らの毎日」がリリースされる、といった経歴のミュージシャンだ。


「私利滅裂」

日本コロムビア COCA-15382
¥1,050(tax in)
1. 私利滅裂
2. 沢村恵子
3. 里山の夏


「そして僕らの毎日」

日本コロムビア COCA-15399
1,260(tax in)
1.そして僕らの毎日
2.タンブル・ウィード
3.デジタリアン
4.そして僕らの毎日 Version.2

この日が初ワンマンということだが、同時に「初に近いバンド形式」で行なわれた。実際、彼が行なってきた吉祥寺の井の頭公園でのストリートライヴのように、これまでは屋内のライヴイベントでもアコースティックで通してきたようだ。でも、オープニングはハードなバンドサウンドで「思ふ事」のイントロを奏でる。それはまったく違和感はなく、自身もすごく楽しそうに歌い、ギターを掻き鳴らしている。今までリリースした作品からまんべんなく披露、バンドでの演奏がしっくり来ていて、弾き語りを聴きなれたファンにも、かなり新鮮だったのではないだろうか。

もちろん、アコギも登場。「目黒にて」「有給休暇がとれたなら」ではアコースティック・セットで聴かせてくれたし、アンコールの「沢村恵子」は、弾き語りだ。……この曲タイトル、気になる。

“沢村恵子”とは架空の人物らしく、林が高校時代に書いていた小説のヒロイン名だとか。誰もが“絶対、彼女のことに違いない”と思わせるタイトルは、歌詞で一層強く思わせる。実際、赤面しちゃうくらいのラヴソング。当然、歌っている林もちょっと赤面気味?

彼女を本当に尊敬している 顔より性格を だけど実のところ見た目にひとめぼれをした

(笑)。とにかく、林 邦洋は詩人だ。難解な言葉遣いは決してしない。そして、暑苦しいメッセージ・ソングなんかじゃない。ストーリー展開のある場景に日常性が加わる、そんな詩だ。

それは、6月にリリースされるシングル「そして僕らの毎日」(この日のライヴではお披露目なしだったが)でも言える。

「何もしない勇気があって だけどそれを逃避とは呼ばない」君は言い切る
「何もしない勇気とは やっぱり逃避と呼ぶべきなのか」君が俯(うつむ)く

と。“君”が言ってはいる言葉だけれど、誰にだって投影できる。それに対して、明確な答えなんて出ない。そして、

だけど君の手を握れば 不安が死んでく

という事実。林 邦洋の表現するところは、そんな誰もが感じつつも、具体的に言葉に具現化していない部分を、やわらかく指摘するところのようにも思える。そして、そこからまたゆっくりと聴き手は自分に投影して咀嚼していけば、いいのだろう。

文●バークス

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