ただただ気持ちよさを求め、身体全身で受けとめ感じて…

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ただただ気持ちよさを求め、身体全身で受けとめ感じて…

3人がプレイし始めれば、そこがロック空間に


ゆらゆら帝国
2001.5.20@日比谷野外音楽堂

1.オンリーワン
2.頭炭酸
3.ミーのカー
4.星ふたつ
5.すべるバー
6.ラメのパンタロン
7.ゆらゆら帝国で考え中
8.男は不安定
9.午前3時のファズギター
10.最後の一匹
11.待ち人
12.針
13.ハチとミツ
14.evil car
15.わかってほしい
16.昆虫ロック
17.されたがっている
18.発光体
19.ズックにロック
20.グレープフルーツちょうだい
21.でっかいクエスチョンマーク



NEW マキシSINGLE

「ラメのパンタロンetc

ミディ MDCS-1050
2001年5月3日発売 ¥1,365(tax in)

1 ラメのパンタロン
2 男は不安定
3 頭炭酸レディ
4 3×3×3
5 少年は夢の中


みなさん、どうなんだろう? 音楽を聴かせること以外に関しては、まったくサービス精神がないっていうスタイル。

ゆらゆら帝国 III TOUR 2001>…なんて“もっともらしいツアータイトル”もない。

ステージ上にはPAスピーカー、アンプ、ドラムセット…、ここはリハーサルスタジオか!?ってくらい、必要最小限なものしか存在しない。

満を持して、メンバーがステージに現われても、SEもない。

立ち位置にスタンバイしたら演奏……、じゃなくてチューニング。そしてVo&Gの坂本慎太郎が「
軽く……」とボソっとつぶやいて「オンリーワン」。ジミなミドルテンポの曲。

続いて「頭炭酸」。これまたスローなナンバー。

こういうスタイル、考えてみれば、音楽好きで音を出す人のあり方を、そのまま変わらずに表現しているだけっちゃ、それだけだ。


『ゆらゆら帝国III』

ミディ MDCL-1405
¥3,150(tax in)

1. でっかいクエスチョンマーク
2. ラメのパンタロン
3. 幽霊の結婚式
4. 待ち人
5. ゆらゆら帝国で考え中(ALBUM VERSION)
6. 男は不安定
7. 砂のお城
8. 頭異常なし
9. 頭炭酸
10. 少年は夢の中
思えば、どうしてメジャーになると、ツアータイトルつけたり、仰々しいSEで登場したり、自分が奏でる微妙でデリケートなギターやベースの管理を他人がするのか。うむむ。そんな当たり前のことを改めて考えさせられてしまう。ごもっとも、と。

でも、ゆらゆら帝国の面々は、そんな反発心から今のスタイルを採っているわけではないだろう。この自然なスタイルは、「これが俺のスタイルだ!」なんて声高に発しなくても、彼らの行動が語っている。彼らの自由ななかでの、ルール。彼らの立ち位置。つまり、彼らの自信の表われ。

自信を持っている人間は何をやってもカッコいい。前半、スロー~ミディアムなナンバーが並ぶのは、言葉どおり、「軽く」、肩ならし的でもあるし、野外の開放感から緊張もいい具合に抜けちゃったか?ってな感じで、音も荒い。だけど、ゆらゆらサウンドのロックのツボは絶対ハズしていない。

夕暮れの空の色の変化とリンクして、サイケデリック・ナンバー「ミーのカー」、「星ふたつ」を演奏。このあたりでようやく乗ってきた感じの3人で、「ラメのパンタロン」や「ゆらゆら帝国で考え中」といったアップナンバーでありシングル曲へ続く。

が、私は思った。

彼らの最大の山場を、その後のドラッギーなサイケ・ナンバー「evil car」の間奏で披露したインプロヴィゼーションに焦点を合わせたのじゃないかと。それくらい3人の奏でる音の繰り返しの妙は、ただただ気持ちよさを求め、それを身体全身で受けとめ感じていたようだったからだ。ステージは緊張感と陶酔感で張り詰め、音で膨張していたし、観客も、これはゆらゆら帝国じゃないとできないワザ、と分かっているかのように、身を委ねていた。

そして、終盤は「発光体」「ズックにロック」「グレープフルーツちょうだい」「でっかいクエスチョンマーク」。

アップナンバーで締めくくる構成はメンバー3人の余力を吐き出すようでもあり、ファンへのサービス心が見え隠れしたナンバー連発で終了。今日ももちろんアンコールはない。

今更、語るのもおこがましいけど、ロックな人々の、ロックなステージ。素材が秀逸かつユニークなだけに、ごてごてした加工はヤボなだけ。

ゆらゆら帝国は、緑萌ゆる日比谷オフィス街での野外だろうと、ほとんど空調が効いてない小さなライヴハウスだろうと、3人がプレイし始めれば、そこがロック空間になる……そんなライヴだった。

文●星野まり子(01/05/24)

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