『REVEAL』で見せたR.E.M.流 確信犯的 進化

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R.E.M.流 確信犯的 進化

この年齢でさ、その、まだアイデアがあるというのが嬉しいんだ

1st ALBUM

『REVEAL』

ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-11010
2001年5月9日発売 ¥2,520(tax in)

1The Lifting
2I've Been High
3All The Way To Reno(You're Gonna Be A Star)
4She Just Wants To Be
5Disappear
6Saturn Return
7Beat A Drum
8Imitation Of Life
9Summer Turns To High
10Chorus & The Ring
11I'll Take The Rain
12Beachball


R.E.M.の3年ぶりとなる新作『リヴィール』に対する世の中の反応は絶賛と酷評、賛否両論が真っ二つに分かれているようだ。個人的には、前作『UP』よりも、ずいぶんR.E.M.らしい作品だと思っている。

前作『UP』はビル・ベリーの脱退というバンドの根幹を揺るがす大事件を経て、3人編成となった彼らが再び一個のバントとして生まれ変わるために、やや「ドラマーを欠いた3人組」ということにこだわりすぎ、ちょっと無理しているなぁと感じるようなところもあった。しかし、最新作『リヴィール』では、核となる3人+助っ人というフォーマットが、ずいぶんこなれ、かなり自然に作られたことを感じさせる。

とは言え、デビュー作、いや、数枚前のR.E.M.と比べたって、最新作で聴ける音の印象はかなり異なるものになっている。それは認めよう。でも、このアルバムの、どこを、どう聴いても僕には、僕が知っているR.E.M.にしか聴こえない。ある意味、それは同じような作品を作ることを潔しとせず、アルバムを一枚作るごとに彼らが確実に進化してきた証拠だと言ってもいいだろう。

一言で言えば、『リヴィール』はドラマーというバンドの屋台骨を失ったことを逆手に利用した『UP』の自由度の高いサウンドを踏襲した一枚だ。

今回もまた、エレポップ・サウンドをベースにメンバー間で楽器を持ち替え、またストリングス、ホーン、キーボードといった基本編成にない楽器を、ふんだんに使い、バンドでありながら、バンドのフォーマットに縛られない多彩なアレンジを試しているけれど、ジャングリーなギター・ポップ・バンドとしてスタートしたR.E.M.が、前作で探り当てた、いわゆるソフト・ロックに近い音楽性を、最新作でもさらに追求している点が興味深い。

たとえば、1stシングル「イミテーション・オブ・ライフ」。

この曲などは従来のR.E.M.に最も近い曲。仕上げようと思えば、いくらでもジャングリーなギター・ナンバーにすることもできたはず。それを敢えてシンセを厚めに入れて、「ソフト・ロック」っぽいサウンドに仕上げている。つまり、『UP』で探り当てた方向性は苦肉の策でも何でもなく、R.E.M.のメンバーたちはそこに大きな可能性を見出しているということなんだろう。

最新作『リヴィール』を、従来のR.E.M.と違う、と批判することは簡単かもしれない。しかし、結成20周年を迎え、確かな評価も地位も手に入れた現在もなお前に進もうとする彼らの前向きな意志を支持したい。なぜなら、昔とは違うと批判するよりも、そっちの方が絶対におもしろいこと(もの)に出会えると思うからだ。

ピーター・バックもこんなふうに言っている。

このアルバムをすごく誇りに思っている。今までで最高のアルバムかもしれない。それに何年も活動してきて、この年齢でさ、その、まだアイデアがあるというのが嬉しいんだ。今回のアルバムはみんなをあっと言わせると思うな

現在のメンバーはマイケル・スタイプ(ヴォーカル)、ピーター・バック(ギター)、マイク・ミルズ(ベース)の3人のみ。『リヴィール』では、その他、6人のアディショナル・ミュージシャンの名前がクレジットされている。

その中でも有名な3人を紹介しておこう。

まず、スコット・マッコーイーはシアトルのガレージ・バンド、ヤング・フレッシュ・フェローズ、そしてピーター・バックも参加しているプロジェクト・バンド、マイナス5のメンバーだ。ケン・ストリングフェローは、やはりシアトルのミュージシャンで、'90年代に新世代パワー・ポップ・バンドの一つとして注目を集めながら、惜しくも解散してしまったバンド、ポウジーズの元メンバー。現在はソロ・アーティストとしても活躍中だ。

そしてジョーイ・ワロンカーは、ベック他の仕事でも知られる当代随一のセッション・ドラマーだ。

因みにこの3人はツアーでもR.E.M.をサポートしている。

文●山口智男(01/5/29)

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