メロディック・スピード・メタルの原点に立ち返ったハロウィン

ポスト
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『RABBIT DON'T COME EASY』は困難を乗り越えて作った 
スピード感に溢れててハロウィンらしさが充満している

80年代のデビュー以来、様式美系のメロディックメタル界を牽引し続けるハロウィンが、原点に立ち戻る形で完全復活劇を演じた。
2000年リリースのアルバム『DARK RIDE』は、その過剰なダークネスな作風でファンの間に賛否両論を巻き起こし、またメンバー自身の不満も鬱積していった。そしてニューアルバム・レコーディング中に、ウリ・カッシュ(Dr)とローランド・グラポウ(G)が脱退し、バンドはカイ・ハンセン脱退以来の危機的局面に直面する。
しかし、新メンバーとして迎えたサシャ・ゲルストナー(Gr)とステファン・シュワルツマン(Dr)の加入で行われたレコーディングで会心の作を生み出し、ハロウィンは息を吹き返した。
ハロウィンらしく速い、メロディアスでヘヴィなサウンドのニューアルバム『RABBIT DON'T COME EASY』が完成、そしてバンドは復活したのだ。

来日したオリジナルメンバーのマイケル・ヴァイカート(Gr)と新加入のサシャ・ゲルストナーに、新生ハロウィンの意気込みについて語ってもらった。ハロウィンは、自分達があるべき場所を見つけたのだろうか。


“サイン”とはファンに対するサイン。ハロウィンはこのサウンドに戻ってきたぞという 

最新アルバム

Rabbit Don't Come Easy
ビクターエンタテインメント
2003年05月17日発売
VICP-62323 2,520(tax in)

1.Just A Little Sign
2.Open Your Life
3.The Tune
4.Never Be A Star
5.Liar
6.Sun 4 The World
7.Don't Stop Being Crazy
8.Do You Feel Good
9.Hell Was Made In Heaven
10.Back Against The Wall
11.Listen To The Files
12.Nothing To Say
13.Fast As A Shark


プレゼント

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――前作の『ダーク・ライド』から3年半。この間にバンドにはどういう変化があったの?

Michael:前作の『DARK RIDE』は、メンバー全員がリハーサルして作ったというものではなかった。俺にとってはフラストレーションたっぷりだったんだ。曲自体もダークすぎる気がしていたし、製作過程も自分自身がタッチするところの少ない作品だったんだ。この方向性で行くなら自分がバンドをやめるか、そちらへ行きたい人がバンドを辞めるかというところまで行ってしまった。それでローランド(Dr)とウリ(G)が辞めることになり、代わりにマーク(Dr)とヘンジョ(G)が入った。でもマークが病気のため、ヘンジョも音楽性の違いで脱退してしまった。ガンマ・レイのギターを誘ってみたんだけどうまくいかず、ハロウィンにぴったりのギタリストがいるということで、プロデューサーにサシャ(G)を紹介してもらったんだ。ドラマーはもっと難航したけど、ステファン・シュワルツマン(ex.アクセプト、UDO)に落ち着いたんだ。

――サシャのこれまでのキャリアを教えて。それとハロウィンは歴史のあるバンドだけど、こういうバンドに加入してどう?

Sascha:いくつかのカヴァーバンドで年間120回くらいのショーをやっていたんだ。21歳の時にフリーダム・コールで2枚のアルバムを発表した。そのバンドを脱退してからはスタジオの仕事やワークショップでの講師、そしていくつかのカヴァーバンドで演奏していたんだ。それで2002年にハロウィンに入ることになって今に至ってるというわけさ。今は夢を見ているような気持ちだよ。13年間ギターを弾いてきて、ビッグなバンドでプレイすることが目標だった。それが、こんなビッグなバンドに入ってヘヴメタル・シーンで活躍できるなんて信じられない。これから世界中を回って、いろいろなところを見て、いろいろな経験ができることを考えると、本当に夢のようだよ。

――ロックにはいろいろなジャンルがありますが、サシャはハロウィンのようなメロディックメタルのバンドをやっていたの?

Sascha:いや、メロディックなスピードメタルのバンドにいたことはないんだ。僕もそういう音楽だけを聴いてきたわけでもない。よく「メタルに命をかけてるのか?」とか聞かれるんだけど、そんなことはない。メタルをやるためのバンドがハロウィンではなく、ハロウィンのやっている音楽がそう呼ばれているだけってことさ。曲によってもそれぞれ個性があって違うものになっているので、ひとつのジャンルに当てはめなくてもいいと思ってる。

Michael:ロックにはいろいろなジャンルがあるってことが重要なことろで、彼はポップミュージシャンではなくロックミュージシャンさ。でもミュージシャンであることには変わりがない。ハロウィンでスピードメタルをやりたいから加入したんじゃなくて、ハロウィンの音楽をやりたいってことさ。

――ニューアルバムの『Rabbit Don't Come Easy』の意味は?

Michael:もともとは英語の言い回しで、マジシャンが帽子からウサギを出すように、“うまく事を運ぶ”という意味なんだ。このアイデアは5~6年前から温めてたもので、今回ベースのマーカスに相談してみたら、奴が「俺たちがウサギだったら簡単には出てこないってことだろ」って賛成してくれたんだ。だから本来はRabits Don't Come Easyが正しいんだが、ちょっとお遊びで単数形にしてみたんだ。なんでこのタイトルがぴったりきたかというと、今回のアルバム製作はメンバーの出入りなんかで本当に大変だった。簡単に取り出せなかったっていうことなんだ。それと、スペイン語でラビットとは女のアソコのことなんだ。だからスペイン語でこのタイトルを読むと面白い意味になるっていうお遊びもある(笑)。

――このアルバムは、ヘヴィーだった前作と違って、スピード感に溢れててハロウィンらしさが充満している。手ごたえはどう?

Michael:いろいろな困難を乗り越えて作ったからね。みんなでアイデアを出し合って納得して曲を作り出してレコーディングして、という作業を楽しみながらやった。みんなでやりたいものを楽しんでできたというのが大きい。前作の『DARK RIDE』の時は、方向性が偏っていたり、メンバー間の雰囲気も良くなかった。レコーディングの仕方もコンピュータで作ったものだったんだ。みんなでリハーサルしながら作り上げていったものじゃなかった。だから今回はハッピーな雰囲気が前面に出たんだと思うよ。

――シングルカットされた「JUST A LITTLE SIGN」は、まさにハロウィンの音で、キミ達にしかできないというような曲だけど、これをあえてシングルカットしたのは?

Michael:そう、まさにハロウィンっていうのがこれをシングルにした理由さ。かつてのハロウィンらしいパワーを持ってるこの曲を選んだんだ。ファンはインターネットや雑誌なんかの情報とかを見ないで、CDショップでシングルを聴いてから買う人も多いんだ。だからシングルでコマーシャルなものを出したら、アルバムと全然印象が違うということになってしまう。でも「JUST A LITTLE SIGN」はハロウィンらしさの塊だから、アルバムも想像通りのものだとファンにはわかる。それと、タイトルの“サイン”ていうのはファンに対するサインなんだ。またハロウィンはこのサウンドに戻ってきたぞっていう。。

――なるほどハロウィンはここに戻ってきたんだね。でも昔と同じことをやってるんじゃなく、新しいアイデアも入ってるね。「NEVER BE A STAR」や「SUN FOR THE WORLD」のシタールギターなんかもそうだと思うんだけど。

Sascha:僕のアイデアなんだ。「SUN FOR THE WORLD」のイントロの部分は2年前くらいに考えていて、オリエンタルな民族的なものが以外にハロウィンに合うんじゃないかと思って。「NEVER BE A STAR」は曲自体は全然オリエンタルなものじゃないんだけど、個性あるものにするために使ってみたんだ。実際はアイリッシュな曲なんだけどね。シタールが使いたかったわけじゃないんだ。曲に合うと思ったからだよ。

Michael:「OPEN YOUR LIFE」もサシャのアイデアが詰まってる。途中のクラシカルなパートはキーボードでオーバーダビングしてるけど、実際には本物のバイオリンを使ってるんだ。アルバムを聴いた人に、変わった感じのキーボードだねって言われるんだけど、違うんだ、本物のバイオリンなんだよ。

――最後にアルバムの聴きどころを紹介して。

Michael:このアルバム『RABBIT DON'T COME EASY』は非常にフレッシュだし、全員で楽しみながら作ったものなので何も欠点がない。それは俺たちに何も欠点がないのと同じことさ。日本のファンは素晴らしい。だから、このアルバムを手にして、よりクオリティの高い生活をしてくれ。

――本格的なスピード・メタルサウンドが帰ってくるのを待っていたファンにメッセージを。

Michael & Sascha:ハロー、ハロウィンのマイケルとサシャだよ。BARKSを見ているユーザーのみんなに俺たちのニューアルバム『RABBIT DON'T COME EASY』を紹介するためにやってきたんだ。このCDは、きっと満足してもらえると思うよ。日本ではメタルがものすごい人気だってことをうれしく思ってる。そして日本には12月にツアーで来るから、その日を待ち遠しく思ってるよ。

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